とりあえず法律・・・・かな?

役に立たない法律のお話をしましょう

風呂溺は難しい

2012-12-23 22:45:49 | 指定なし

 冬になると,酔っ払いの凍死と並んで,必ずニュースになるのが,風呂溺といわれる入浴中の主に老人の溺死である。


 


 今回も,老人の溺死で,かつ頭部に傷があるという状況から,事故と事件の両方からの捜査が行われているとのことである。


 


 頭の傷との関係でいえば,頭を殴りつけて気絶させ,風呂で溺れさせたということであろう。十分成り立つストーリーである。しかし,よくある風呂溺のパターンは,立ちくらみ,倒れて頭部を打撲,気絶して溺死というものである。さらに,立ちくらみではなく,心筋梗塞や脳梗塞で先に意識喪失がきて,倒れて頭部を打撲し,溺死というパターンもある。


 


 こうした場合,最初の犯罪になるものはともかくとして,立ちくらみから頭部打撲気絶溺死というのは,保険でいうところの不慮の事故になるので,生命保険に事故割増がついていれば,割増保険金がもらえることになる。しかし,心筋梗塞等による意識喪失が先行していれば,意識喪失の原因が病気であるので,病死となり,割増保険金はもらえなくなる。


 


 ということで,風呂溺は,保険金をめぐって,しばしば裁判で争われることになる。


 


 よくいわれるのは,頭部打撲で脳しんとうを起こしても,溺水の際に意識を回復するはずだ,ということである。私には,それが真実かどうか分からない。また,仮に溺水の際に意識を回復しても,プラスチック浴槽やタイル浴槽では,滑りやすいので,足を滑らせて起き上がれず,溺死してしまったということもいわれる。


 


 だから,風呂溺では,解剖は必須であるが,解剖も,必ずしも万全ではなく,これが事故死なのかどうかの判断は,とても難しいことになる。解剖して,脳梗塞や心筋梗塞の形跡が見られたとしても,それが直ちに深い意識喪失をもたらす程度の重傷かどうか判断が難しいこともある。頭の打撲にしても,それによる意識喪失の程度を簡単に知ることはできない。


 


 そんなことだから,年寄りの入浴は,誰かが付き添っているに越したことはない。


 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿