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弁護士の医者の違い

2010-08-20 18:54:42 | 指定なし

 正直言って,遂にこうなったかという感がする。


 


 弁護士は,資格要件が厳しく,禁錮以上の刑に処せられた場合,成年後見(後見・保佐)に付せられた場合,破産者になった場合などは,欠格事由として,弁護士になることができず,既に弁護士になっていても,登録を抹消されて,弁護士業務を行うことができなくなってしまう。


 


 これを医者と比較すると,医師免許の絶対的欠格事由は,未成年と,成年後見(後見・保佐)だけである。相対的欠格事由は,心身の障害により意思の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものとか,罰金以上の刑に処せられた者とか,医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者などと,結構幅広いが,実際にどの程度の幅で運用されているかはよく分からない。


 


 ただ,資格の剥奪という面から見ると,弁護士の場合には,禁錮以上の有罪判決が確定すれば,仮に執行猶予でも,その時点で弁護嗣子の資格を失うのに対し,医師は,成年後見になっても,構成労働大臣による免許の取消という処分がなされるし,相対的欠格事由については,戒告,3年以内の医業の停止,免許取消,の3段階で処分され,何でも免許取消とはならない。


 


 平成22年2月の医道審議会では,医師41名に対する処分が検討され,28名について処分,13名は厳重注意,免許取消は2件で,準強制わいせつ(薬物を使った職務犯罪だろう)ばかり2件であり,医業停止3年が1件(覚せい剤と大麻),医業停止2年が3件(覚せい剤2件,脱税1件)といった程度で,交通事故は1件で,戒告になっている。この他に,歯科医師に対する処分もある。


 


 対し,弁護士に対する懲戒処分は,どうも公表されていないようだが(弁護士会報の「事由と正義」には掲載されている。),ある本には,平成3年から14年の12年間で353人だと紹介されているらしい。


 


 医者と弁護士の数の違いに加えて,弁護士については,当然失格があるから,この数字は,現実には,処分数(特に人数割合)に相当の開きがあるということになるだろう。


 


 もちろん,弁護士は,法を司る職業であるから,弁護士に対する法の適用も厳格でなければならないというのは当然であろう。


 


 しかし,医師も,命を預かる仕事である以上は,医業上の非違行為には,もっと厳しく臨んでもよいと思うのだが,それにしては,医道審議会にかけられる処分件数は少ないという感を免れない。


 


 違う制度を比較して,公平にせよとはいいにくいことであるが,医師に対する処分も,もっと厳格にされるべきではないかと思うのだが,どうだろうか。


 



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