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JR西日本 500系新幹線 「のぞみ」

2008-08-02 10:30:41 | 電車図鑑・新幹線
JR西日本が山陽新幹線の高速化を目指して、試作車の500系900番台「WIN350」の
走行実績などを基に平成8年に登場した車両である。
16両編成9本が製造された。

空気抵抗の減少とトンネル通過時の衝撃波(トンネル内の空気が列車で圧されて
出口付近で「ドン」と大きな音共に放出される)の減少のため、航空機のような
円形状の車体断面と鋭く長い正面形状が特徴となっている。
同じ理由で床下機器を車体で覆ったボディマウント方式を採用している。
車体の材質はアルミ合金でハニカム構造をとり、軽量で高い剛性を有する。

車内はグリーン車が2列-2列、普通車が2列-3列の回転リクライニングシートである。
グリーン車の座席は淡いブラウン系でオーディオサービス(イヤホン要持参)とフットレスト、
肘掛内蔵のテーブル、上下可動式のヘッドレスト、読書灯が備わる。
普通車の座席はパープル系で背面テーブルを備える。
基本的に2ドアであるが、車体断面の関係で両側の先頭車の運転台側には
ドアがない。
また、先頭車運転台付近では天井の高さが下がるため、網棚を設けられず、
この部分を2列-2列にして、座席の脇に荷棚を設置している。
この上、JR東海より着席定員の共通化を強く要望されたため、普通車のシートの
前後間隔が300系や700系よりも20mm狭くなっている。
窓側の座席も車体断面のため、天井が低くなっており、圧迫感のあるものに
なってしまった。
デッキと客室の仕切り戸の上にLEDスクロール式旅客案内装置を設置、電話室を
2両おきに設置、7・11号車にサービスコーナー、11号車に多目的室を設置している。
ただし、サービスコーナーは、現在は廃止になり、車内販売準備室に改装されている。
11号車と12号車の間のデッキは身障者対応となっており、12号車の電話室と
11号車のトイレが車椅子対応となっている。

主制御装置はVVVFインバータ制御で、全ての台車にモーターを搭載した
全電動車方式をとっている。
機器を分散して4両で1ユニットを形成し、整備費用の低減とレールにかかる重量の
適正化を図っている。
台車はボルスタレス台車で、1号車、5号車、グリーン車、13号車、16号車には
車体の横揺れを抑制するセミアクティブサスペンションを装備している。
パンタグラフは、騒音を抑えるため、フクロウの羽根を参考にした「翼型」と
呼ばれるT字型の独自のものを採用している。
ブレーキは回生ブレーキで300km/h運転中の急ブレーキでも270km/hから
急ブレーキをかけた300系と同等の減速力を有する。
また急ブレーキ時に減速力を補助するため、1・8・9・16号車にセラミック噴霧器を
装備している。
これら軽量化と高出力な装備から、加速から僅か4分で300km/hに達する性能を
有し、
さらにブレーキ、騒音対策、省エネといった面でも世界最高水準の車両といえる。
それだけに製造費用も莫大で16両1編成で46億円もかかったため、9編成の増備に
留まった。

平成9年3月より山陽新幹線の「のぞみ」で営業運転を開始したが、
直後より大変な人気を誇り、今尚、絵本や新幹線を紹介する本で
表紙になるほどの存在である。
営業開始当初の表定速度(始発から終点までの平均速度)は261.8km/hと、
世界最高速となり、ギネスブックにも登録された。
同年11月からは東京にも乗り入れて、東京と博多の間を4時間49分で結んだ。
平成11年以降は、概ね2時間に1本の「のぞみ」で使用されていた。
しかし、座席配置が独特で他の列車と共通化できず、緊急時の対応が難しいこと、
客室の居住性に難があることなどから、N700系の登場で平成20年より置き換えが
開始されており、同年現在は、定期列車で4本2往復を担当している。

平成21年までに東京発着の博多「のぞみ」の全定期列車がN700系化される計画で、
本形式は8連化の上、山陽新幹線に転用されることになった。
8連化された編成では全車が普通車となり、元グリーン車の車両は、
フットレストなどを廃して指定席にしたほか、パンタグラフのシングルアーム化、
全車禁煙化に伴う喫煙室の設置などである。
営業開始は本年11月ごろからで、最後まで残った0系新幹線を置き換える予定である。


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