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JR東海 300系新幹線

2009-10-31 18:00:00 | 電車図鑑・新幹線
東海道新幹線の速度向上と「のぞみ」の運行開始に伴い登場した車両である。
平成2年に試作車の9000番台16両編成×1本が登場し、平成4年より量産が
開始され、平成10年までにJR東海所属車が16両編成×61本=976両、
JR西日本所属車が16両編成×9編成=144両の合わせて16両編成×70本=1120両が
製造されている。
編成記号はJR東海所属編成が「J」、JR西日本所属編成が「F」である。
なお、F編成は製造番号に+3000番台となっている。

車体は軽量化のため、東海道新幹線で初めてのアルミボディを採用した。
先頭部分はより空気抵抗の少ない形状とされたほか、断面をこれまでよりも
小さくしている。
試作車では先頭部分のライトの形状や運転席ドア下付近に膨らみがあるのが
異なる。
パンタグラフ周りには騒音を抑えるため、カバーが設置された。当初は単純な
台形だったが、後に一回り小型にされ、その周りにもう一つカバーを設けたものに
変更されている。
またパンタグラフも当初は下枠交差形だったが、後にシングルアーム形に
変更された。
ドアは片側2箇所で試作車とJ15編成までとF5編成までの初期車は車体断面と
ツライチになるプラグドアを採用した。
その後、費用効果の面から通常の与圧機能付きの引き戸に変更されている。

塗装はホワイトにブルーのラインを踏襲し、ブルーのラインは窓下に細帯が上、
太帯が下となっている。

車内は普通車とグリーン車の2種類あり、普通車は1~7号車と11~16号車、
グリーン車は8~10号車に設定されている。
まず、普通車は2列-3列配置の回転リクライニングシートである。
背面テーブルを有しているが100系とは異なり、跳ね上げ式のフットレストは
軽量化のため設けられなかった。
グリーン車は2列-2列の回転リクライニングシートである。
2面回転式のフットレストと、肘掛内蔵のテーブル、オーディオサービス、
読書灯を設置している。
なお、モケットの色がJ編成とF編成で異なる。
各車客室出入口上にLEDスクロール式旅客案内装置を装備している。
カード式公衆電話は偶数号車東京側デッキに、トイレは奇数号車新大阪側デッキに
それぞれ設置されている。
7号車と11号車の8・10号車側デッキにはサービスコーナーが設置され、弁当などの
販売を行っていたが、平成15年のダイヤ改正で使用が中止されて、現在は
車内販売基地にされている。
また、グリーン車ではオリジナルミールのシートサービスが行われていたが、
これは早々に廃止されている。
編成での定員は1323名(うちグリーン車200名)で、これは以降の東海道新幹線の
定員の標準となっている。

主制御装置はVVVFインバータ制御を新幹線で初めて採用した。
モーターの交流化に伴って、出力を向上しつつも小型軽量化が図られ、編成での
軽量化と速度向上に寄与している。
しかし、素子にGTO方式を採用したため、起動・減速時の騒音が大きい。
ブレーキは新幹線で初めての回生ブレーキを採用した。またモーターを装備しない
付随車については渦電流ブレーキを搭載した。空気ブレーキは電気指令式で
車体の軽量化で旅客の重さを考慮する必要が出てきたことから、
応荷重装置付きである。
台車はヨーダンパー付きボルスタレス台車を採用した。

運行開始当初は朝夕2往復の「のぞみ」と1往復の「ひかり」で用いられたが、
営業導入までの期間が不十分だったためか、走行機器を中心に
トラブルが相次いだ。
また、高速運転を重視して設計されたため、居住性が犠牲となっており、
車体の振動が大きく、車体の肉厚の薄さから空調の効きが悪い、
回生ブレーキ使用時の前後衝動が大きいなど現在でも解決されていない
不具合がいくつかある。

しかし、270km/hで走れる高速性能は評価され、「のぞみ」の増発に合わせて
増備が重ねられ、また「ひかり」、「こだま」の速度向上にも寄与した。

平成13年で「のぞみ」の定期列車から撤退し、現在は「ひかり」や「こだま」、
臨時の「のぞみ」を中心に運用に就いている。
後期に量産された編成では、700系やN700系で採用された技術を用いて
平成18年から乗り心地向上改造を行い、台車回りのダンパーの強化を行った。
車両間ダンパーはアルミ車体で加工が難しいことから装備していない。
初期投入の編成ではN700系の増備で置き換えが予定されたことから
実施されていない。

平成19年よりN700系の量産化に伴い、初期車を中心に廃車が進められている。
F編成は全車健在であるがJ編成は既に20本程度が廃車となった。
前述した乗り心地向上改造を実施していない編成については平成21年までに
全車廃車されている。
今後もN700系の増備に合わせて廃車が進められる予定である。
なお、廃車された編成のうち、9000番台の先頭車322-9001が浜松工場に
保存されており、JR東海が建設を予定している博物館への移設が予定されている。
なお、この博物館へは300系の量産車も1両(車号未定)、展示される予定である。



○300系F編成。外観ではほとんど区別がつかない。

○グリーン車車内。写真はJ編成のものでブラウン系のシートが特徴。

○普通車車内。上のグリーン車と同じ編成のもの。


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