水の丘交通公園

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国鉄 200系新幹線電車

2011-10-21 16:42:56 | 電車図鑑・新幹線
東北・上越新幹線の開業(大宮~盛岡間及び大宮~新潟間)のために登場した
車両である。
昭和55年~平成3年にかけて700両が製造された。
製造を担当したメーカーは川崎重工、日本車輛、近畿車輛、東急車輛、日立製作所
である。

編成の組み方は用途によって異なるため省略し、大まかな形式と番台区分を紹介する。
特記が無い限り、本形式は全て電動車で形式番号の末尾は奇数の車両に便所、洗面所、
業務用室を備え、主制御器、抵抗器、電動発電機を搭載し、同じく偶数の車両には
集電装置、空気圧縮機、整流装置、主変圧器を搭載する。
これら偶数車と奇数車が2両ずつユニットを組んでいる。

215形:グリーン車。
・100番台(当初は900番台):普通車の225形からの編入改造。
・200番台:普通車の225形から改造した半室グリーン車
・300番台:本形式から半室グリーン車としたもの。
221形:東京側先頭車で普通車。便所。洗面所付き。番台区分は222形に準拠。
222形:新潟・新青森側先頭車で普通車。一部車両には山形・秋田新幹線との自動併結用
 装置が先頭部分に組み込まれている。
・0番台:0系タイプで最高速度210km/hまで。昭和55年~57年製造。両形式合わせて
 36両ずつあったが既に全廃。
・1000番台:0系タイプで最高速度240km/hまで。昭和58年製造。両形式合わせて
 3両ずつ。全車現存。
・1500番台:0系タイプで走行性能は1000番台と同じながら客席が1列分(5人分)増えた。
 昭和59年~60年製造。両形式合わせて18両ずつあったが今は8両のみ。
・200番台:100系タイプのシャークノーズ形。最高速度は240km/h。中間車の225形及び
 226形から先頭車へ改造されたもので7両ずつ存在したが既に全廃。
・2000番台:100系タイプでこちらは新車。最高速度は240km/h。2両ずつ在籍したが、
 既に全廃。
225形:中間車で普通車。便所・洗面所付き。
・100番台:400番台/1400番台の車内販売準備室を車掌室に改造したもの。
・110番台:215形からの格下げ改造車。
・400番台/1400番台:車内販売準備室付き。
・450番台:0番台に電話室、身障者対応設備、車内販売準備室設置とシート間隔の
 拡大を行ったもの。
・460番台:0番台に電話室、身障者対応設備、車内販売準備室設置を行ったもの。
・470番台:ビュッフェ車の237形を普通車化したもの。シート間隔の拡大も実施。
・480番台:470番台と同じく237形を普通車化したもの。 
・490番台:上記2つと同じくビュッフェ車の237形からの改造車。480番台などとは
 車内販売準備室や業務室の位置が異なる。
226形:中間車で普通車。
237形:普通車と半室ビュッフェを備える合造車。身障者対応設備、便所・洗面所付き。
248形:2階建て車両で中間付随車。上がグリーン車、下がカフェテリアとなる。
 車体強度の問題で普通鋼鉄車体となっている。既に引退。
249形:2回建て車で中間付随車。上がグリーン車。下はグリーン個室及び普通個室と
 なっている。248形と同じく車体は普通鋼鉄製。既に引退。

これらのうち、半室グリーン車、ビュッフェ車、2階建て車、100系タイプの先頭車に
ついては既に営業を終了している。
200系という形式は東海道新幹線は後継の車両が出たら奇数形式、それ以外は偶数
形式とする番号法則に則ったためで、本形式登場5年後に東海道新幹線100系が
デビューしている。

車体はアルミ製で基本的に東海道新幹線0系のものをベースにしているが、
寒冷地や豪雪地帯での運用となるため、耐寒・耐雪性能を強化したものとしている。
運転席の窓は平窓の突合せで側面の窓が開けられるようになっていたが、後に
固定窓とされている。
正面下部は積雪に対応するため、スノープロウと一体となったスカートとされ、
車体下部についても跳ね上げた雪で走行機器を損傷させないように、台車以外の
機器を車体で覆うボディマウント構造とした。
また、冬季の走行機器の冷却のため、雪を取り込んで冷気のみを機器に送って
雪を吐き捨てる雪切り室を車端部などに設けている。
塗装はアイボリーに窓周りと車体下部をグリーンとし、東北・上越地方の雪解けと
芽吹く新緑をイメージしている。
登場時には「緑の疾風(はやて)」の愛称があった。
行き先・列車名表示は側面連結側にあり、座席種別も含めて字幕式である。

車内のグレードはグリーン車と普通車の2種類である。
グリーン車は回転式リクライニングシートで左右とも2列配置でフットレストと
背面テーブルを備える。
2階建て車ではオーディオ機能もあったほか、1人用及び2人用の個室もあった。
また、平成2年~平成10年まで「ソワニエ」と呼ばれる女性客室乗務員が
乗務していた。

普通車は2列と3列の配置で2列席は回転式簡易リクライニングシート、3列席は
車体中央で座席の向きが背中合わせとなる集団離反式の固定式簡易リクライニング
シートとなった。
これは普通車の座席間隔のままで3列席を回転させようとすると前後の座席や
壁に干渉してしまう為、止む無く採用したものである。
一部の車両は座席間隔を拡大してスペースを生み出し3列席を回転可能にした他、
旧来の座席間隔のまま座席の回転が出来るように改造した車両も存在する。
いずれにせよ本形式が全盛だった頃は座席の改良を幾度も繰り返したため、
かなりの種類の座席が存在した。
普通席にはこの他、2階建て車両の1階部分に4人用の個室が設けられていた。
この個室は後年、利用者が減少したことから「てもみん」と提携したマッサージ
コーナーとなっていた。

本形式ではこのほかに供食コーナーとしてスタンド形式の軽食堂であるビュッフェを
設けていた。
2階建て車両では1階部分にカフェテリアを設けて弁当などの販売をしていたが、
いずれも既に営業を終了しており、設備を持った車両も引退している。
客用ドアは各車両1箇所、ないし2箇所で全て片引き戸である。

主制御装置はサイリスタ位相制御で勾配区間や冬季の走行抵抗増加に対応するため、
モータの出力を0系よりも向上させている。
ブレーキは発電ブレーキ併用電気指令ブレーキである。
台車はIS軸箱支持方式のダイレクトマウント式空気バネ台車でモーターの駆動方式は
WN駆動方式である。
集電装置は下枠交差式パンタグラフで偶数形式に搭載している。
運転台は0系と同じマスコンを右、ブレーキを左としたツーハンドル式だが、
車両情報装置を日本の鉄道車両で初めて搭載し、故障などの対応を運転台から
遠隔操作でできるようになった。

登場以来、東北・上越新幹線の主力車両として運用され、ダイヤや用途によって
改造や編成の組み換えを繰り返した。
主だったところでは既述の100系新幹線風の先頭部分を切り継いだ先頭化改造、
山形新幹線運行開始に伴う400系新幹線電車との自動分割・連結装置の設置、
使用パンタグラフ削減のための母線引き通しなどである。
後継のE1系、E2系、E4系が登場した後は老朽化に伴う置き換えが開始されたが、
一部の編成は20年程度の延命を目的としたリニューアル改造を実施した。
この改造は「K編成」と呼ばれる「やまびこ・つばさ」運用対応だった8連のものを
12連の「F編成」から2両抜き取り、10両編成としたもの(またはぞの逆)を対象に
平成11年~平成14年にかけて行われた。
主な内容としては運転台窓の曲面化、塗装変更(上半分がホワイト、下半分がダーク
ブルー、間にグリーンの細帯)、普通車座席の交換(フリーストップ・座面スライド
機能付き回転リクライニングシート。E4系と同じもの)、3列席の回転化(既に
施工されていた車両についてはモケット交換のみ)、グリーン車座席交換(E4系と
同じもの)、客室出入口上部へのLEDスクロール式旅客案内装置設置、
老朽化した走行機器の新品への交換、ガラスの張り替え、行き先・列車名・座席種別
表示のLED化などである。
この改造はK編成22本中12本で実施されているが、改造前後での車番の変更は無い。

平成16年10月23日に発生した新潟中越地震ではこのリニューアル改造車である
K25編成が「とき」325号として運行中、浦佐~長岡間でこれに巻き込まれて脱線した。
地震早期検知システム「ユレダス」が作動して緊急ブレーキで減速中であったことと
豪雪地帯特有の排雪溝に上手く車輪や車体がはまって軌道を破壊しながらも大きく
逸脱しなかったこと、直線区間であったこと、阪神淡路大震災後の耐震補強工事を
行った区間であったことなどの幸運が重なり、営業運転中の事故ながら乗員乗客
155名に死者・負傷者を出さなかった。
この事故でK25編成は床下機器を大きく損傷したため、廃車となったが車両そのものは
教材として保存されている。

また、この事故の関係で廃車予定だったK31編成が非リニューアルのまま延命され、
平成18年に代替のE2系が増備されるまで運用された。

この他K47編成は東北・上越新幹線開業25周年記念で平成19年に登場時の塗装に
復元されている。
この編成が出場した当日に最後の非リニューアル車であったF19編成(12連)が
廃車回送されており、厳密に言うと「リバイバル」ではない。

平成23年9月現在は東北新幹線「なすの」、「やまびこ」の一部と上越新幹線で
「Max」を冠しない全ての「とき」、「たにがわ」で運用されている。
東北新幹線ではE5系「はやぶさ」の増備を予定しており、平成23年11月には同線での
運用から撤退する予定である。
上越新幹線に関しては今のところ動きが無いため、今後もしばらくは運行されるものと
思われる。

なお、廃車となった車両のうち、以下の車両が保存されている。

K25編成全車:平成19年現在新潟新幹線車両センターにて保管中。現状不明。
221-1・237-1:仙台新幹線総合車両センター(※)。
222-35号:鉄道博物館。
221-15・215-15・222-15:函館本線流山温泉駅。

(※)他に226-1・215-1・222-1が保存展示されていたが平成22年解体。


○登場時の塗装を纏うK47編成。赤い丸いステッカーは東日本大震災復興
 キャンペーンのもの。


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1 コメント

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後ろ向きの景色 (北陸専門バード)
2011-10-23 10:28:00
10年前も走っていた「トキ」の座席は真ん中から半分が東京向きと新潟とに。回転しない座席であった。上越は昔からほとんど乗らないので特に。しかし少し違和感が。
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