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かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

読書

2006年07月07日 10時26分29秒 | 映画
昨日の夕方は、運よく(!)雨が降ってきたので、サイクリングは30分で終了。晩ごはんまでの間みゆみゆに少しテレビを見せ、私は珍しく手が空いたので、随分前に買ってきて置きっぱなしになっていた本を読み始めました。
そしたらハマってしまって、先が気になって仕方がない。

ご飯が終わってからも、少しの合間にも読み進めました。
昨夜はみゆみゆが10時半に寝てくれたので、そこからは完全に本の世界にどっぷりつかり・・・
午前1時半、読みきってしまいました。
あー、ただでさえ睡眠不足なのに。
しかも、楽しみが一日で終わってしまった。1500円もしたのに(ケチ;)

なんてアホなことを言っている場合ではなく、本当にいろいろなことを真面目に考えさせられる本でした。
簡単に書評(生意気!?)を。

『明日の記憶』
渡辺謙が映画化を熱望し、最近公開されて話題の作品です。
映画も見てみたいのだけど、渡辺謙がそれほどほれ込んだ小説がどんなものか、興味があり、購入しました。

仕事人間だった主人公が、50歳で若年性アルツハイマーと診断されてからの物語を、主人公の目を通して語られています。
仕事や家族への複雑な思い、記憶をなくしていくことの恐怖。
統合失調症を扱った映画「ビューティフルマインド」に通じるものを、感じました。
自分が自分でなくなっていくって、なんて恐ろしいんだろう。

「痴呆症」は、「認知症」と名前が変わりました。
「精神分裂病」も、「統合失調症」と名前が変わりました。
(自閉症も、きっとそのうち名前が変わることでしょう。)
新しい名称は、その病気本来の病態にできるだけ近づけて命名されています。

今までは、「ぼけてる」「精神がバラバラになっている」「自分の殻にこもっている」という、「周囲の人から見たその人」という観点だったと思う。
そうじゃなくて、「その人自身はどんな世界に生きているのか」「何を恐れ、何に困り、何を必要としているのか」を考えることこそ、本当の支援なんじゃないだろうか。

ある日突然、自分だってアルツハイマーと診断されるかもしれない。
途中からは、そんな思いで読み進めました。

だんだんとわかってきたこと。
認知症の人は、決して人格が荒廃したり失われていくわけではない。
別の世界に帰っていく人なのです。
別の世界の住人になる過程で、精神的に不安定になったり、数々の問題行動が現れたりするわけだけど、それでもその人の中でちゃんと時間は流れている。私達とは違う時計で。
全くこちらの世界との交流がなくなってしまったような寝たきりの人も、きっと心の中はたくさんの思い出で満たされているのではないだろうか。

死について考えさせられる本かと思ったけど、違った。「生きている」ことの意味をたっぷり考えました。
決して楽観的なことは一つも書かれていないけれど、この本はアルツハイマーの患者さんとその家族の方に、希望を与える本だと思う。

家族の介護に関しては、きれいごとでは済まされない苦悩があることは、よくわかっているつもりです。
その部分は、この本には書かれていません。
徘徊(はいかい:うろうろして迷子になる)・異食(いしょく:食べ物でないものを食べる)・排泄のお世話など、24時間の介護に疲れ、介護者の方が身体や精神を病むという話もよく聞きます。
世の中の認知と福祉サービスの整備が進み、アルツハイマーはじめ認知症の患者さんとご家族の方が、安心して「生きていける」ようになる日を願っています。

最後に、映画「半落ち」の話。
認知症の妻に手をかけてしまった梶警部。その前にこの本を読んで欲しかった。
・・・それでもやっぱり、妻の苦悩を見かねて、同じ結果になっていただろうか。


そんなことを考えだしたら、目が冴え冴えとしてますます眠れなくなりました。
結局はいつもの「ハリーポッター」に助けてもらい、就寝。
最近ハリーポッターが睡眠導入剤になってきてるなー。
私もこう見えて、結構考えることあるのよ~。

四月の雪・蝉しぐれ

2005年10月04日 10時31分01秒 | 映画
いいかげん怒られそう。映画マニアぶり発揮のみゆははです。
映画館に行くのが、好きなんだな~。ビデオじゃダメなんだよぉ。
学生時代は月3~4本は映画館に通ってたっけ。お金なかったわけだ。

さてさて、話題の2本、「四月の雪」「蝉しぐれ」、観に行ってきました。(別々の日です。ハシゴしたわけじゃありません。)
映画館内の平均年齢の高さは、共通するものがあったなぁ。しかし見事に、「四月の雪」は女性100%でした。「蝉しぐれ」には、おじさんもいたけどね。

まずは「四月の雪」。
言わずと知れた「ヨン様」最新作。
<愛する妻が事故に遭う。駆けつけた病院で、妻は不倫旅行中だったことが発覚。意識不明の2人の介抱をするうち、主人公と、不倫相手の男の妻は、徐々に心を通わせていく・・・。
早く言ってしまえばダブル不倫ですわな。

(ここからは、やや否定的なので、ヨン様ファン又は今から観に行く人は読まない方がいいかも。ごめんなさい。)

この映画、主人公(もしくは相手役の女性)に感情移入できるかどうかがカギ。揺れる心を、表情とシチュエーションだけで表現。セリフを極力抑えてあります。テレビの韓国ドラマとはかなり違った印象。
しんしんと降り積もる雪、悲しみを押し殺して一人ベッドで涙をこぼしたり・・・。基本的に、このテイスト、嫌いじゃない私。でも、この映画はちょっと厳しかったかな。

楽しめなかった原因は、ひとえに主人公に感情移入できなかったから。この手の映画は、一歩引いて客観的に見てしまうともうダメです。「セットにカネかけてない低予算映画だなー」とか、「音楽がワンパターンだな」とか、ヨン様の鼻水のこととかが気になって、映画の「匂い」が全く楽しめなくなってしまいます。
んー、でも、この主人公に感情移入できる人って、どんな人?
同じ立場に立ったことのある人か、熱狂的なヨン様ファンの、どちらかかな?

片や「蝉しぐれ」。(黒土三男監督)
「たそがれ清兵衛」「雨あがる」が好きな人には、お勧めします。
で、私は「好きな人」。
<時は江戸時代。主人公文四郎は、隣家の幼なじみ、ふくに、淡い恋心を抱いている。ところが父は反逆の汚名を着せられ、ふくは江戸の大奥へ・・・。
(基本的にあまり知らない方が映画ってのは面白いと思うのでここまで)

主演の市川染五郎は、率なく、この役にはまっています。少年時代の文四郎は、石田卓也という元モデル(?)がやっているのですが、これがいかにもまずい。邦画の場合よくあることですが、こんなに中途半端に子ども時代をさせるなら、無理してでも染五郎と木村佳乃に15歳を演じさせてみればよかったのに、と思ってしまう。(やっぱり無理か・・・。)

注目すべきは脇を固める名優たち。日本にはいい役者さんがいっぱいいるなーと思う。父親役の緒形拳、母親役の原田美枝子、他にほんの少ししか出てこないけど強烈な印象を残す大滝秀冶や、ポーカーフェイスの柄本明。
特筆したいのは、剣の宿敵を演じた、「緒形幹太」という役者さん。全然知らない人だったんだけど、目が、すっごくいい!「緒形家」と関係のある人なのかな。なにか情報のある人は教えてください。

そして、残念無念のミスキャスト(?)、今田耕司andふかわりょう。
この二人のせいで、映画自体の空気が軽くなってしまった感はいなめません。それぞれは、芸人として、嫌いじゃないし、映画の中での演技も、彼らとしては悪くはなかったんだけど、なにせ、「色」が強すぎるのよねー。

特にふかわりょうは、なかなか演技が良くて、途中まで私も気づかなかったくらい。ちょんまげしてると顔が違う。木の上でなんかしゃべってるのを聞いていて、「ん?このしゃべり方、聞いたことある・・・」と記憶をたどって、思い当たってしまったときのショックときたら!!
今田耕司もふかわりょうも知らない人が見たら、意外と違和感ないのかも知れません。

長くなってしまったけど、最後に木村佳乃を絶賛しておきたいと思います。最後の場面、すばらしい。木村佳乃の深いまなざしに、グッと来てしまいました。

全体的に、日本の四季が美しく、映像・音楽のバランスが取れた作品。山田洋二監督の作品に比べると、リアリティに欠ける(やや大衆的)きらいはある(こっそり逃げるときはもっと地味な格好しようよー、とか突っ込みどころあり)ものの、安心して見られ、期待を裏切らない良作でした。



チャーリーとチョコレート工場

2005年09月23日 18時44分56秒 | 映画
タイトルに「え?」と思った方も多いはず。
今日もまた、映画を観に行ってしまいました。

「2~3日中には絶対生まれる」と豪語してはや1週間、いまだ入院するほどの痛みは訪れず・・・。今度のベイビーは、どうやらのんびり屋みたい。約15分おきの子宮収縮は感じるものの、陣痛には移行しそうにありません。

「いつお産になるかも分からない」
「二人目は早いから」
「生まれたらまた身動き取れないし」
などといろいろな理屈を並べ、わざわざ来てもらった実家の母にみゆみゆを見ててもらって、夫婦で映画館デートしてしまいました。えへ。

で、その「チャーリーとチョコレート工場」ですが。
見所は、なんといってもジョニーデップの怪演ぶり、そして音楽です。色彩感覚も独特で、とにかくすごいインパクトのある映画。この衝撃、「少林サッカー」以来!と、夫は言っていました。私は「グリンチ」を思い出したんだけど。いろんな意味で。

映画のジャンルは、「ブラック ファンタジー」とも言うのでしょうか。皮肉が利いていて、ちょっと引くくらいのどぎつさもあります。訴えてることはごくノーマルに「家族」「子ども」「教育」「夢」というところなのですが、映画自体ははちゃめちゃ。
特におかしいのは、チョコレート工場の中で働く「ウンパ・ルンパ族」。身長75cmのウンパルンパ族、全員せんだみつおにそっくりで、すばらしいテンポ感でダンスしてくれます。

ただし、映画館でゲラゲラ笑っていたのは私たちくらい。万人受けするわけではなさそうです。私としても、自信を持って誰にでも薦められる映画ではないなー。特に、原作を愛する人たちにとってはどうだったのでしょうか。意見を聞いてみたいところではあります。

しかし、ティム・バートン(監督)、どうかしてるよ。おかしすぎる。

ショーシャンクの空に

2005年08月04日 10時08分53秒 | 映画
「ショーシャンクの空に」は、1994年、フランク・ダラボン監督の映画です。
公開10周年を記念して、限定メモリアルボックス(DVD)が発売されました。この映画、私も好きですが、夫が、好きな映画5本の指に入れるほど好きで、早速注文して買ってきました。

10年前・・・私は岐阜、夫は東京でそれぞれ学生生活をしておりました。俗に言う遠距離恋愛というやつでして。名古屋でこの映画を見た私が「いい映画あったよー」とはがきで知らせ、彼は東京で観に行ったのです。・・・らしいです。(覚えてない

そして10年ぶりに、先週土曜日、みゆみゆをさっさと寝かせて夫婦で観ました。
夫はしっかり覚えていたようで、伏線が見え、面白かったみたい。一方の私、ここまで覚えてなくていいのか!というくらい、覚えていない・・・。あんなに好きな映画だったのに、はじめて観るようなもので、逆に新鮮に(冷静に)観てしまいました。

私の記憶力の悪さは一部では有名で、私自身も分かってるつもりではいたのですが、ここまでひどいとは。特に映画・本はひどい。ビデオレンタルに行くと、「観たか観てないかわからない」作品がいっぱい。借りてきた映画を観始めてから「あ、これ観たわ」と思っても、結末が分からず、普通に驚いてしまえる・・・。
「何度でも楽しめる」とも言えるし、
「金がもったいない」とも言えるね。えへ。

脱線しました。
で、ショーシャンクですが。
思い出したのは、この作品が非常にすがすがしいものである、ということ。刑務所や裁判所が舞台の映画というのはアメリカ映画には非常に多くて(邦画とは比べ物にならない)、そのほとんどが陰鬱な印象で気が滅入ることが多いのですが、この作品はあまりそれを感じさせません。「獄中生活」を送る囚人達や看守が、一人ひとり人間臭さを持って描かれていることが大きいと思う。閉鎖された空間にも、空は広がり、笑顔があるっていうこと。
どんな逆境でも夢を持ち続けることの大切さ、そのことがいかに人間を強くするかが、強烈なメッセージとして、伝わってきます。

今回、10年の年を経て発見したこともありました。
思ってたより、意外に暴力シーンが多いな、ってこと。それから割とハリウッド的な要素も強いな、ってこと。いろいろな意味でですが。映画を観ている途中、なーんかそっくりだな、他の映画で見たことあるな、と思ったら、そういえば「グリーンマイル」もフランク・ダラボンでした。ネズミが走っていくところなんかそっくり。同じ監督で、刑務所が舞台なんだから仕方ないですね。
ちなみに「グリーン・マイル」はたぶんいい映画だったんだと思うけど、私には怖すぎて(暴力シーン、死刑執行場面が)、まともに見られなかったので評価できません。(お金払って映画館に行ったのに目をつむって耳ふさいで怖くて泣いてた人)

どちらにしても、「ショーシャンク」は、名作として残っていく映画だとは思う。なんといっても主演(と私は思う)の2人、ティム・ロビンスとモーガン・フリーマンに脱帽!主張しすぎない音楽、映像の美しさ、140分の長さを飽きさせない構成など、バランスの取れた映画で、誰と観ても楽しめます。まだ観ていない方はぜひどうぞ。

半落ち

2005年02月20日 10時14分19秒 | 映画
みゆみゆは、病院で、本当にインフルエンザ(B型)と診断されました。
はじめの2日間は最高39.7℃と高熱がでて心配しましたが、3日目からは37℃台に下がり、食欲もいつもより旺盛なので、今は一安心です。予防接種1回でも打ってあったので、多少軽く済んだのかな?ただ、人にうつす病気なので、しばらく(平熱に戻ってから2日間)は保育園をお休みしなければなりません。
土日も家から一歩も出られないねー。

ということで、ひさびさに映画のビデオ借りてきて夫婦で見ました。
今年の日本アカデミー賞(作品賞・最優秀主演男優賞)受賞作、だからと言うわけでもないのですが、「半落ち」を見ました。

私は映画館で以前に見ています。涙ぼろぼろ流して映画館から一人で帰るのが、恥ずかしかった
とにかくいい映画だよ、と夫と二人、ビデオで見始めたのですが、やはりこういう映画は映画館で見なくちゃダメですね。
我が家はベランダの真下が線路のようなものなので、電車が通るたびに聞き取れなかったり集中力が切れたりしてしまうのです。この映画のように、出演者がボソボソしゃべる、全体的に暗いトーンで進む、と言う映画は、ウチで見るのはつらい。
映画の持っている雰囲気、流れている叙情のようなものが、映画館で見るよりは半減だったかな。基本的に、「映画館派」だから、余計なのかもしれないけど。

しかし、それを差し引いても、十分にいい映画でした。
ストーリーをごく簡単に紹介すると・・・。
元捜査一課の警部で現在は警察学校の教職に就く梶聡一郎が、妻を殺害したとして自首してきた。梶の自供によれば、アルツハイマー病に苦しむ妻・啓子の「殺して欲しい」という嘆願に、止むに止まれず首を絞めたという。だが謎が残った。梶が出頭したのは事件の3日後だったのだ。空白の2日間に何があったのか。梶は頑なに黙秘を続ける…。

「半落ち」とは警察用語で、容疑者が容疑を一部自供するが完全には自供していないことをいうそうです。この映画では、「空白の2日間」をめぐり、警察の体面を重んじる県警幹部の組織的な隠蔽工作や、検察との対立などが見ごたえたっぷりに描かれます。また、サスペンス的な要素もあり、飽きさせません。
後半はがらりと印象が変わり、裁判の過程によって、空白の2日間に隠された真実が徐々に浮かび上がり、感動のラストシーンへとつながります。

私が完成度の高い映画と感じた一番の理由は、登場人物を一人一人丁寧に描かれていることです。それぞれの立場、考え方。ひとつの事件に関わりながら、少しずつ変化していく個人の内面、そして人間関係。見ている側の私のほうまで、途中からはすっかり引き込まれて、「梶警部」(容疑者)の人柄や、その悲しみに、ぐっと寄り添ったような錯覚に陥ってしまいました。

「あなたには守りたい人がいませんか」
エンドロールが流れる間、あたたかい涙があふれでてとまらない、素晴らしい映画でした。

ぜひお時間ある方は、家族の方と一緒に見てください。家で見るならできれば夜更けに・・・。