みやっちBlog

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地方分権・道州制と国民保護法

2006年09月19日 19時05分56秒 | 政治・社会
国民保護計画策定に抵抗する国立市の上原公子氏がメッセージを寄せている日本自治体労働組合総連合のサイトで、国民保護法と道州制の関係が簡潔に記されている。

地方自治は……(日本自治体労働組合総連合)
==== 引用 ====
いま小泉「改革」は、地方への財源をカットし、住民サービスを削る「三位一体改革」、自治体の「かたち」を変える市町村や都道府県合併、公務・公共業務の市場化、さらに首長公選制否定を盛り込んだ道州制さえも検討しています。憲法改悪と連動して有事法制によって地方自治体を戦争に組み込む体制づくりを進めようとしていることも警戒しなければなりません。
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国民保護法案の審議時に指揮系統の簡素化と国民統制を行いやすくするために道州制と市町村合併の必要性が話されたということが象徴的だが、道州制に繋がる地方分権、三位一体改革について地方自治の財政面から深く関わっていたのが、9月1日から長野県の副知事となった板倉敏和氏。
さらに、板倉氏は2005年に消防庁長官となってから国民保護法の施行に併せて消防庁に内部部局として国民保護・防災部を設置している。
国民保護法では、消防庁は国と地方公共団体との総合的な窓口としての役割が与えられており、消防庁長官はそのトップであることから国民保護法や現在市町村で策定が進められている国民保護計画に基づく実動訓練の実施要綱についても深く関わっていたことは疑いようもない。

消防庁(ウィキペディア)

村井仁知事も、国家公安委員長、防災大臣として国民保護法制定に関わっているだけでなく、板倉氏とは自治省時代からの知り合いで村井氏にとってはブレーンのような存在なのだとか。

過去のエントリー参照
長野県政:副知事人選に県議とまどい

地方分権に関しては、税財源の移譲と権限の移譲がキチンと行われることで中央省庁による介入がなくなれば中央省庁の再編に繋がるのだが、政府与党の考える地方分権・道州制は中央省庁の官僚により骨抜きにされ権限の移譲がほとんど行われない内容となっている。
それを隠して、性急に地方分権を推し進めようとする政府与党には、国民保護法を実効性のある法律にしようとする意識が働いているとしか思えない。

本来の地方分権のあり方については、前三重県知事の北川正恭氏が各地で講演をしているが、詳細はオフィシャルウェブサイトを参照してもらいたい。

北川正恭オフィシャルウェブサイト

また、10月1日13時から長野市のホテル国際21で北川氏の講演会があるようなので、地方分権の本来のあり方を知りたい向きは、聴きに行くといいだろう。

そのためには、これまで小泉-竹中が進めてきた三位一体改革と地方分権、これから行おうとしている道州制について振り返っておくといいだろう。

三位一体改革 (yahoo!ニュース 三位一体改革)

地方経済を疲弊させたと酷評の三位一体改革だが、実態は地方切捨て中央集権だったことが明らかになりつつある。
その三位一体改革を進めてきた板倉副知事が村井知事と共に長野県政をどのような方向へ導こうとしているのか。政府与党との繋がりが深いだけに県民による監視が肝要となりそうだ。


↓いろんな意見を知るのに役立ってます


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無理ありますよ (オヴニル1)
2006-09-19 22:24:25
三位一体改革と国民保護法をリンクさせるのは相当無理がありますよ.



まず,有事法制自体は1968年から防衛庁で研究が進められており,地方分権論議とは全く無関係です.



それに三位一体改革の目的は,単純な予算削減が目的なので有事法制とは全く関係ありません.



そもそも,国民保護法の何がいけないんでしょうね?全く不思議なものです.

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コメントありがとうございます (みやっち)
2006-09-20 03:11:59
ちなみに、道州制導入も1957~69年に活発に行われていたようです。地方分権や道州制は有事を考えた地方自治法改訂とともに昔から考えられてきたようですね。



ちなみに、国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)を読んでみてください。国民を統制する法律であることが見えてきます。

問題点については、日本弁護士連合会の会長声明を読んでみてください。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/2004_14.html



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超法規的措置は危険 (オヴニル1)
2006-09-20 07:43:03
>ちなみに、道州制導入も1957~69年に活発に行われていたようです。



そうです.ただしこの頃の計画は,地方の財源確保が目的でしたが,地方交付税交付金や補助金等の財源が,確保されたと言う事もあって立ち消えになりました.



少なくとも,戦後と現在の道州制の論議は地方財政に関してのもので,国民保護法とは全く無関係に進められたものです.



>ちなみに、国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)を読んでみてください。国民を統制する法律であることが見えてきます。



見えません.



国民保護の活動を"強制"と捉えない限り,その様な解釈は無理です.

それとも,有事に際して何の枠組みも決めずに,その自体に切迫した時に"超法規的措置"で乗り切れというのですか?その方が100倍危険ですよ.そもそもこの法律は,その危険性を危惧して進められたものですし.



ちなみに八条の「国民の協力」を問題にする人もいますけど,一般市民がイキナリ徴発されると主張している人は,単に軍事常識が欠落している人です(輸送等の任務もそれなりの訓練・事前の計画立案が必要).



>問題点については、日本弁護士連合会の会長声明を読んでみてください。



これは単に,会長の軍事的無知を証明するだけの声明です.



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長野県が実験場 (komachan)
2006-09-20 10:00:29
長野県知事になった村井さんが、強力なブレーンを中央から派遣してもらって、壮大な国による地方自治体の改造に着手しています。

国家を形成する地方自治体は、自ずと国民保護法の対象として振り回されてしまっています。

三位一体改革で絞り上げられて、苦しく紛れに藁をもすがるで合併をエサに、お国に都合の良い地方分権へと突き進む。

複雑に絡み合った、自民党政治の裏側をどんどん追求してください。
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入場はご遠慮ください (komachan)
2006-09-20 10:06:30
↑でコメントしている方に、突っ込まれるかも知れないことを書いてしまったかもしれませんが、お願いですからうちのブログに来てコメントしないでください。僭越ながら、前もってご遠慮をお願いします。
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長野県が実験場とは・・・ (みやっち)
2006-09-20 15:03:46
>オヴニル1さん

コメントありがとうございます。



道州制に関してですが、日本道州制研究会で金村繁氏が「戦時中の国家総動員法のなかで生まれた道州制は、いわば上からの道州制であり、財政、税金ば国税である」とコメントしております。



また、社民党が昨年3月10日に公表した「憲法をめぐる議論についての論点整理」の中で、「国の防衛、非常事態における国民の協力義務」は、軍事目的のために国民を総動員する根拠にもなりかねない、と懸念を示しております。



また、平成16年に行われた国会の憲法調査会でも国民保護法と地方自治体の形のあり方を関連付けた論議もなされています。



国民保護法に関する懸念を抱いている人がすくな数いるということをご理解いただければ幸いです。



貴重なご意見ありがとうございました。



>komachanさん

真に地方が自主自立できる地方分権が行わればいいのですが、どうも政府与党の案では国と中央省庁に都合のよいもので、そうなりそうもないですね。その実験場に長野県が選ばれたというのがなんとも悲しい限りです。

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根拠無き危惧は無意味 (オヴニル1)
2006-09-20 20:15:52
戦前と戦後の道州制では,政治的スキームが全くの別物である以上比較自体が無意味です.



それに,この手の法律案の反対論の常套句としてよく根拠も無く"危惧""懸念"といった言葉が使われますが,これも全くの無意味です.何せ問題点が明白でなくても,何でも言えてしまう便利用語ですからね.マスコミがよく使う魔法の言葉,"説明不足"と同じようなものです.



それに,地方公共団体と国民保護法を関連付けるのは当然です.



第五条「地方公共団体は、当該地方公共団体の地域並びに当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、国及び他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する。」



と謳われている以上,住民の避難等の計画は自治体が計画を立てます.ちなみに,防災計画も自治体計画なので,これは何ら特別のものではなく通常の措置と言えます.

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道州制の議論 (オヴニル1)
2006-09-20 20:54:33
komachanさん

>長野県知事になった村井さんが、強力なブレーンを中央から派遣してもらって、壮大な国による地方自治体の改造に着手しています。



安直な陰謀論は実態を見誤るので,止めておいたほうが良いですよ.



ちなみに,現在の道州制の議論は具体的にどうのこうのといったレベルではなく.構想段階といったとこなので評価以前のレベルであると言えます.なにせ叩き台すら出来てません.



中央官庁でもどの程度で実施するのか,どの程度の権限委譲をするのかで揉めてますし,県同士でもつるむグループが机上の空論の粋を出るものではありません(山口県に到っては九州道への参加構想もあり).



打って変わって,具体的にヤル気満々でいるのが北海道です.ここは,そのままの行政単位で権限強化がされますからね.



結論:道州制と国民保護法は無関係



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ではなぜ選挙で・・・。 (こば☆ふみ)
2006-09-21 01:33:33
オヴニルさん

<ちなみに,現在の道州制の議論は具体的にどうのこうのといったレベルではなく.構想段階といったとこなので評価以前のレベルであると言えます.なにせ叩き台すら出来てません.



ではなぜ村井氏が選挙演説の中で「道州制」と「長野県の消滅」を語れたのでしょうか?

案外しっかりとした骨格が出来上がっていると考える方が自然ではないですか?

あなたはその辺が楽観的ではないですか?

横から失礼します。
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もし政府が一人の人間なら (信濃のアブマガ)
2006-09-21 01:36:57
ある人と仕事をするときに、その言動を右からも左からも上からも下からも表からも裏からもみるのは常識です。どんなに上手いことを言ってても頭から信じたりはしませんね。ましてや相手の経歴が胡散臭ければなおさらです。

同じ人間(連中)が国民保護(国民戦争動員)をすすめ、自衛隊を省に昇格し、教育基本法を改悪し、現憲法の破壊を企てているいじょう、同時に進められようとしている道州制を無関係と主張されるのは意図があってのことなんでしょうね。

共謀罪を制定して言論封殺まで目論んでいる現政府は徹底的に疑うのが国民の覚悟でしょ。



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