さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
数え年の十四歳で里を離れ、紡績工場の寄宿舎に入り、そこで四年ほど世話になった。
近くに長姉が所帯を持って住んでいたし、勤めている会社には長姉のことを知っている人もいたので、わたしは割合いじめられなかった。
それでもなあ、やっぱり辛かったことも多かったよ。
長姉の知り合いの人に親切にされると、その分 別の人にそのことで ちくちく悪さをされたりしたり、やっとの思いで買った とってもいい香りがする石鹸を盗られてしまったり・・・、ねぇ。布団にもぐり込んで泣いたことも 一度や二度ではなかったよ。
そんな時などに、いつも優しくしてくれる人がいたのよ。
わたしより三つほど年上の人で、わたしがいじめられたり、しょんぼりしていたりすると、必ず声をかけてくれたんだよ、ねぇ。
もう 名前も忘れてしまったけれど、あの人がいなかったら、あの寄宿舎に四年も居られなかった・・・。ほんとうに 優しい人だったなあ。
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