さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
子供の頃のご飯のおかずといえば、まあ 畑で採れるものばっかりだったわ、な。
肉は食べることなど習慣としてなかったし、魚も塩漬けされたものか干物に限られていたが、それも、余程のことでもないと食べさせてもらうことはなかった。
わたしはニンジンが、あまり好きではなかった。
今のニンジンは食べやすくなっているけれど、昔のニンジンは金時ニンジンだから、ほら、雑煮に使う真っ赤なの、あればっかりだから、ニンジンが好きな子供は少なかった。
それで、食事の時、親たちの目を盗んで、おかずのニンジンを窓からよく捨てたものだった。
それを見つけられた時には、はは親は決まったように「ああ、どんどん捨てなはれ、西山さんの狸が食べに来るわ」と言っていた。
子供たちにとって、西山に住んでいるという狸は、とても怖いものだったけれど、わたしは一度も見たことがなかったなあ。
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