全世界の注目を集めていたイギリスの総選挙は、与党保守党が圧倒的な勝利をおさめました。
単独過半数を大幅に超えて勝利したジョンソン首相は、来年1月末のEUからの離脱を公約としていますので、いよいよイギリスのEU離脱が実現しそうです。
選挙結果を受けて、EUのその他の加盟国や、日米なども比較的冷静に、それも好意的な結果として受け取っているようで、為替や株式市場に懸念らしい動きは出ていないようです。
来年1月末に正式離脱となっても、そこから一年間は経過期間となるので、すぐに変化は出ることはなく、入出国や貿易などに大きな影響が起こるのは一年後のようです。
しかし、「合意なき離脱」は避けられることになりそうですが、イギリス国内に事務所や工場を構えている企業は対応が必要になるでしょうし、わが国としても、貿易など幾つかの分野はイギリスと単独に協定が必要になって来るのでしょう。
わが国の関係する企業などの対応は大変ですが、イギリス当国の政府や企業などの対応ははるかに大変ではないでしょうか。さらに、ヨーロッパ諸国との人的交流は、わが国に比べ数段さかんでしょうから、国民の日常生活にもかなりの影響が出るのではないのでしょうか。
しかし、それでもイギリスは、EUからの離脱を決断しました。
ヨーロッパ全体を一体化しようという壮大な構想は、イギリスの離脱により試練の時を迎えているように思われます。
いずれも長い歴史を有しており、再三激しい戦争を経験し、敵味方となったこともある国々が同一の政治的な理念のもとに一体化しようとする試みは、人類の歴史上あまりないものではないでしょうか。合従連衡という言葉があるように、合体したり同盟を結んだ例は数多くありますが、それらは、征服されたり圧迫された上のものであったり、腹に一物を持ちながらの同盟がほとんどだったと思うのです。
EUの構想は、それらとは違う形のものであったと思うのですが、ここに来て、加盟国間の軋轢が表面化することも多く、イギリスの離脱がEUの将来にどのような影響を与えるのか、見守りたいものです。
わが国の歴史もまた、合従連衡とは無縁ではない過去を有しています。
現在においても、国家間の協力関係は複雑さを増しており、特に直近では、厳しさを増している関係もあります。
また、他国との関係ばかりでなく、国内において難題を抱えている国は少なくありません。独立問題や、人種や宗教からの対立、弾圧といった例も少なくありません。
ややもすると、私たちはそれらの問題を他国のこととして考えがちですが、わが国内でも同様の問題は生じています。幸か不幸か、現時点では、国家を分裂させるほどのことにはなっていないようですが、別の観点から見れば、そうした問題点が無視され、蓋をされているということになるのかもしれません。
万人が納得し満足できる政治体制など存在しないと思うのですが、民主主義政治の名のもとに、弱者や少数勢力を見ないことにしている部分がないのか、考えてみることも必要なのではないでしょうか。
( 2019.12.14 )
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