雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

御用納め

2023-12-28 18:51:17 | 日々これ好日

     『 御用納め 』

   本日は 御用納め
   と言っても 御用納めなど もう死語だという声もあり
   仕事納め と言う方が一般的だそうな
   ただ 民間会社も 明日からお正月休み という所が多いようで
   すでに 交通渋滞が始まりかけているようだ
   その一方で そうした日程通りに休めない仕事も多く
   むしろ 多忙な期間に 入ることになるのだろう
   そうした方々に感謝しながら
   穏やかな 年末年始を送りましょう

                   ☆☆☆     

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ご利益を施す身となる ・ 今昔物語 ( 17 - 15 )

2023-12-28 08:00:51 | 今昔物語拾い読み ・ その4

      『 ご利益を施す身となる ・ 今昔物語 ( 17 - 15 ) 』


今は昔、
愛宕護山(愛宕山と同じ。京都市北西部にあり、比叡山と対峙して王城鎮護の聖地として知られる。)に一人の僧が住んでいた。名を蔵算(ゾウザン・伝不詳)という。仁和寺の池上(仁和寺院家の一つ。)の平救阿闍梨(ビョウグ アジャリ・仁和寺の高僧。1036 年に東寺の阿闍梨になっている。)という人の弟子である。
ところで、この蔵算はもともと貧しい家に生れて、日々の生活を頼る所もなかった。また、自分の徳行も欠けていたので、衣食を施す人もいなかった。そのため、万事につけ常に事欠き、苦しいことばかりであった。
ただ、前世からの因縁によるものなのか、地蔵菩薩にお仕えし、これを毎日の勤めとしていた。

やがて、しだいに年老いて、いつか六十歳になった。その上、身に病を得て命が尽きようとしていた。
そのため、この事を嘆いて、日夜悲しんでいたが、蔵算の夢の中に一人の小僧が現れた。容姿は厳かで麗しく、その小僧が近寄ってきて仰せられた。「そなたの宿因が拙いが故に、身貧しくして年老いてしまったのである
。今すぐに、伯耆国の大山という所に詣でて、二世(現世と後世)におけるそなたの望みを祈願するがよい。その権現は、地蔵菩薩の垂迹(スイジャク・仏や菩薩が衆生救済のため様々な姿に変えて現れること。)であって、大智明菩薩と申し上げる。この菩薩は、おのずから大悲の願力を以て、広く一切衆生をお救い下さるのだ」と。
そうお告げになるのを見たところで夢から覚めた。

その後、すぐに伯耆国の大山に詣で、熱心に修行を続け、六年が過ぎた。
それから、愛宕護山に帰ってきたが、その後は京中に霊験あらたかなことが知られ、多くの人から帰依されるようになった。人々に利益(リヤク)をもたらすこと誰よりも勝り、道俗男女こぞって彼を敬い、肩を並べる者とてないほどになった。
それゆえ、貧しさもなくなり豊かな身の上となった。これはひとえに、地蔵菩薩の大悲のご利益だと知って、喜び尊んだのである、
となむ語り伝えたるとや。

     ☆   ☆   ☆

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