雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

思いやりこそが一番

2017-06-25 07:53:53 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 

               思いやりこそが一番

何と申しましても、男性はもちろんのこと、女性であっても思いやりのあることが一番すばらしいものですねえ。

何でもない言葉であっても、それも心から思っているわけでなくても、気の毒なことに対して「お気の毒だ」と慰め、可哀そうなことには「どんなに辛いことでしょう」などと言っていたということを、人づてに聞いたときは、直接に言われるより遥かに嬉しいものです。
自分を愛してくれている人や、きっと安否を尋ねてくれるだろうと思う人の場合は当然ですが、それほど親しい関係でもない人が、辛い時や苦しい時に励ましてくれたりするのは、とても嬉しいことです。

簡単なことのようですが、これがなかなかそうは出来ないものですわよ。
大体において、気立てが良くて、才覚にあふれているといった人は、男も女も、めったにいないものですね。
あっ、これは失礼しました。そういうお方も、多勢いらっしゃりますわねえ。


(第二百五十一段・万づのことよりも・・、より)
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