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昨日の「報道特集」

2019年08月11日 | 話題
8月10日、TBSの報道特集「台湾の元日本兵が語る戦争」を観ました。
極めて不快で怒りを感じたシーンがあったので、その事を記します。

番組では、戦時中に日本兵として戦争に行った数名の台湾の人がインタビューを受けています。
すでに90歳を超えた方々であり、ともに戦争に行った台湾の人達は多くは戦死し、かろうじて生き残った人達です。
中に一人、銃を持って戦ったという元日本兵の人に対するインタビュアーの質問の内容と態度に私は驚き、怒りを覚えました。

インタビュアーは元兵士に「人を殺しましたか」と詰問するかのように、しつこく問い続けたのです。
元兵士の方は戸惑うような表情を浮かべ、最終的に「答えられない」というようなことを言ったと思います。
(一度見たきりですので、私は細かい言葉遣いまで覚えていません。)

私には、インタビュアーは戦争というものがどういうものか、全然分かっていないとしか思えませんでした。
戦争に行った人間に「人を殺しましたか」と質問することほど配慮に欠け、またナンセンスな行為はないでしょう。
しかも相手は日本統治下の台湾で、日本人として徴兵された台湾の人であり、インタビュアー自身は戦争の体験の無い日本人なのです。自分は一体何様のつもりだったのでしょう。

メディア関係者が取材で質問するにしても、越えてはならない一線というものがある筈です。
私は戦争を扱ったドキュメンタリー作品を少なからず見てきましたが、元兵士に対し、あれほど無遠慮に、詰問するかの如くしつこく「人を殺しましたか」と問う作品は見たことがありません。

インタビュアーだけでなく、あのようなシーンを何とも思わず放送する番組責任者・TBSというテレビ局自体、その感覚が信じられず、理解もできません。
一体、あの質問をすることに、何を意図していたのか理解に苦しみます。

最近、先の大戦に関し、日本および日本人が被害者であることを強調したドラマや言説が多く流布しています。
あの質問は、不都合な加害性を日本人以外に振り替え、押し付ける意図があったのかとも思えるものでした。

8月10日の「報道特集」は、日本のテレビメディアの救いようのないダメさ加減を見せつける番組でした。




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10 コメント

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まことに・・・ (yo-サン)
2019-08-12 07:07:48
>最近、先の大戦に関し、日本および日本人が被害者であることを強調したドラマや言説が多く流布しています。
日本のテレビメディアの救いようのないダメさ加減を見せつける番組でした。

仰る通りです。同感の極みです。精神的劣化とも言えるのではと。
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yo-サン様 (みどり)
2019-08-12 13:47:46
番組自体も何を伝えたいのかよく分からない内容でした。
台湾の人達は幸いにも親日的ですが、あんなふうに詰問しているシーンを、もし見ることがあるのなら、そんな気持ちも吹っ飛ぶかもしれません。
戦争に行った自分の父や祖父があんなふうにしつこく人を殺したかどうか問われたら、どんなふうに思うか、番組関係者は人としての当たり前の感受性も想像力も持っていないようです。
精神的劣化、その通りだと思います。
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報道 (しまそだち)
2019-08-12 15:43:00
報道特集、何故かしら?
最近 みてません
昨日もでした

台湾の人へのインタビューだとという意識が、支配していたのでしょう
日本人には、 遠慮が あったでしょうし もし TVで流れたら
親族等が 許さないでしょうから



最近の報道番組、 何か主張に凝り固まっていたり
過激に表現したり
まるまま、 信じることは 出来ません
そのくせ、 権力者には、忖度が あるのでしょう

記者の質問のレベル 引くッ
準備なしに、ある方向に答えを導くような質問が 多いです

メディアの人って、「メディアさまのお通りだぁ  (何をしても
許されてるんじゃ)」って意識が 見えてしまいます


民放 何処の局のニュースを見ても 横並び
今日は日航機事件でした
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しまそだち様 (みどり)
2019-08-12 21:11:38
報道特集、私も久しぶりに見たのですが、目を覆いたくなるような劣化ぶりでした。
ここ数年のメディアの、権力者・支配層に対する忖度報道の一つの結果なのかもしれません。
インタビューを受けた元兵士の方、どれだけ嫌な思いをされたことか。
メディア関係者の根拠のない上から目線・傲慢さ、もういい加減にしてほしいです。
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Unknown (kebaneco)
2019-08-12 22:29:09
報道特集自体は、あまり忖度しない
硬派な番組だというイメージなんですけどね。
こないだの土曜日は海水浴に行ってて観てないな。

でも、そんなインタビューされたら、嫌な思いされたでしょうね
お気の毒です。
ペンが剣より強いのは、権力の腐敗を暴くからであって
市井の人々を見下して、傷つけて
書きたい絵を描くからじゃないって
肝に銘じるべき。
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戦争と (紫苑)
2019-08-13 09:02:07
この番組は見ていましんが、NHK・BSで戦争が終わったあともフィリピンに何十年もこもっていた小野田さんの特集をやっていました。彼が日本に戻ったときにも、「人を殺しましたか」と何度も質問していたのを聞き、すごい違和感を覚えました。彼は「~~戦争ですから」と。~~戦争に行った人間に「人を殺しましたか」と質問することほど配慮に欠け、またナンセンスな行為はないでしょう。~~
仰る通りだと思います。
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kebaneko様 (みどり)
2019-08-13 13:53:25
私も報道特集については硬派な番組だと思っていました。
それだけにビックリでした。
何かが決定的に変わってしまったのかなという印象です。
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紫苑様 (みどり)
2019-08-13 14:41:12
小野田さんの場合、特殊な事情がありましたね。
戦争が終わってからも現地の民間人を何人も殺していたという点です。
ただ、彼は陸軍中野学校の二俣分校の出身なのです。
つい最近(8月11日)、読売新聞で漫画家の竹宮恵子さんが、自分の父親が陸軍中野学校二俣分校の出身であることを書かれていて、父親の葬式には小野田さんも含む二俣分校の同期生が来たことを書いていました。
そこでは陸軍中野学校の二俣分校についても書かれていました。
陸軍中野学校自体は、よく知られたスパイ養成学校ですが、二俣分校の方は戦争末期、日本の敗色が濃くなった頃、戦争に負けた後にゲリラ戦を繰り広げる為の要員を育てる学校だったようです。
(日本は敗戦を予想して、日本国内でのゲリラ戦も考えていたらしいのです。)
そこで教えられていたことは「生き恥さらしても生き残ってゲリラ戦を続けろ」だったとのこと。
要するに彼にとって戦争が終わっていたことは関係なかったのです。
でもそんなことは小野田さんに殺された現地の人には関係ないことです。
では真に責任を問われなければならないのは誰かですが、日本の政府ですね。
小野田さんが現地の人を何人も殺し続ける前に日本政府が有効な手を打たねばならなかったのではないでしょうか。
旧日本軍の場合、命令が生きるのは直属の上官からだけなので、その人以外の誰が投降を説得してもだめなんだそうです。
結局、小野田さんはかつての上官から命令解除を受けて、やっと日本に帰っています。
いずれにしても、よほど酷く国際ルールを逸脱していない限り、戦争で個人に対し「人を殺した」と軽々しく正義漢ぶって責めることはできないです。
まして、今回の台湾の人の場合、日本人が詰問するのは論外だと思うのです。



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Unknown (あるばとろす)
2019-08-16 08:01:58
知りませんでした。そんなインタビューがまかり通るなんて。苦情が殺到しているのではないでしょうか。
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あるばとろす様 (みどり)
2019-08-16 09:23:46
私も今となっては何かの聞き間違えだったのではと思うほどです。
苦情は、私はメールで番組宛に送りました。
私以外にもいるかどうかは分かりません。
若い人達には、戦前の台湾で行われていた皇民化教育など全く知らないでしょうから、どのような受け取られ方をするか心配です。
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