夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈や行〉

2015年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『やさしい本泥棒』(原題:The Book Thief)
2013年のアメリカ/ドイツ作品。
昨年公開予定だったのになぜか中止に。未公開が非常にもったいない1本。
第二次世界大戦前夜のドイツで、共産党員の親を持つ娘リーゼルは、
ミュンヘン近郊の田舎町に里子に出される。
娘を赤狩りから守るための手段だったが、
一緒に里子に出されるはずだった弟はミュンヘンへ向かう列車内で病死。
男の子が来るとばかり思っていた養母のローザはリーゼルに辛く当たる。
しかし、養父のハンスはリーゼルを温かく迎える。
読み書きのできないリーゼルが後生大事に持っていたのは、弟の葬儀のさいに拾った本。
ハンスはふたりで読もうじゃないかと、リーゼルに読み書きを教える。
転校当初はバカだと蔑まれていたリーゼルだが、
持ち前の負けん気で自分より体の大きな男子生徒にも喧嘩を挑む。
そんなリーゼルを「おてんば」と呼んで面白がるのが隣家の男子ルディ。
リーゼルにとって、ルディと遊ぶ時間、そしてハンスと本を読む時間が至福のとき。
ある日、広場でたくさんの本が焼かれているのを見たリーゼルは、
こっそり1冊の本を盗み出すのだが……。
ハンス役にジェフリー・ラッシュ、ローザ役にエミリー・ワトソン
見るからに善人のハンスと、毒舌だけど実は愛情深いローザ。
リーゼル役のソフィー・ネリッセの演技も素晴らしい。
ハンスとローザが匿うユダヤ人青年アレックスが、リーゼルに天気を問うシーンが○。
自分で言葉を紡ぐということ。ますます読書したくなる作品です。

《ゆ》
『誘拐の掟』(原題:A Walk Among the Tombstones)
2014年のアメリカ作品。
ローレンス・ブロックの“マット・スカダー”シリーズの1編『獣たちの墓』を映画化。
ニューヨークに暮らす無許可の私立探偵マット・スカダー。
かつては刑事だったが、アル中だったせいで事件を起こして辞職。
以後きっぱりと酒を断ち、日々の暮らしに困らない程度に仕事を引き受けている。
そんな彼に、断酒会で知り合った若者ピーターが声をかけてくる。
弟のケニーが困っているから話を聞いてやってくれないかと。
ケニーに会ってみると、堂々のヤク中風情のピーターとは大違い、
大金持ちのビジネスマンで、ドラッグディーラーでもあった。
ケニーは妻を誘拐され、身代金を払ったにもかかわらず、妻は惨殺体で発見された。
なんとしてでも復讐したいから、犯人を見つけてほしいとのこと。
一旦は断ったマットだが、犯人が麻薬関係者の身内を狙って猟奇殺人を繰り返していると知り……。
もう老体と言っていいリーアム・ニーソン。どうしてここまでアクションものばかり?
どれもそこそこ面白いから観てしまうのですけれど。
ケニー役のダン・スティーヴンスは今年『ザ・ゲスト』(2014)で知った俳優。
『ザ・ゲスト』はなかなかぶっ飛んでいるうえに、
『シャイニング』(1980)を思い出させるラストも怖かった作品。
本作でもやっぱり最後は殺されちゃって、男前なのに残念。(^^;

《よ》
『夜の女王』(英題:Queen of Night)
2013年の韓国作品。劇場未公開。
コンピューターエンジニアのヨンスは非モテ系男子、彼女いない歴30年。
そんな彼がファーストフードショップのアルバイト店員ヒジュに一目惚れ。
店に通い詰めた結果、ヒジュのハートを奇跡的に射止めてゴールイン。
まるで天使のようなルックスのヒジュは、料理の腕前もプロ並み、しかもバイリンガル。
なぜ彼女がダサダサのヨンスを選んだのかと周囲は訝るが、
彼女のおかげでヨンスの見た目もぐいぐい進化。幸せいっぱいのふたり。
ところがひょんなことから、ヒジュがかつて伝説のクラブクィーンだったと判明。
あんなに純情に見えるヒジュが夜の女王だったなんて。
本人に直接聞けないヨンスは、友人の手を借りてこそこそと調べ始めるのだが……。
ありがちな勘違いという展開ではなく、本当にクラブクィーンだった彼女。
ヒジュのクラブ時代の仲間が頼もしく、ヨンスの友人もワラかしてくれます。
彼女が彼を選んだ理由に思いがけない昔話もあって、泣けました。

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