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『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』

2022年09月22日 | 映画(は行)
『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』
監督:福田光睦
 
数週間前、ラヲタの友人からLINEが来ました。「この映画、気になるから観てきて」って。
んなもん自分で観に行きゃええやんって思うでしょ。
でもこのラヲタの友人は1カ月のラーメン食杯数を私の劇場映画鑑賞本数と競っていて、
しかも友人の圧勝なんです。1カ月にラーメン40杯とかって、正気かよ(笑)。
私も1カ月に映画を40本観たことはあるけれど、毎月なんてとても無理。
友人に敬意を表し、映画は私にまかせてもらうことにしました。
 
しかし、友人がこの映画を気にしている理由がわからない。
いったいどういう映画かもわからなくて、私はどこに注目すればよいのかを尋ねたら、
「ラヲタの中に、ラーメン食べに行くときに必ず人形を2体連れている人がいる。
その人がツイートしてる映画」とのこと。
うーむ、謎だらけやけど、なんか面白そうじゃあないか。行ってみよう。
 
阪急電車十三へと向かいました。
上映開始までまだ時間があったので、どこで時間をつぶそうかと思いつつ
十三栄町商店街を歩いていたら、前方を歩く人の小脇に見えるよ、人形が。
もしかしてこの人がそうか!?と後ろ姿を写メして友人に送ったら「たぶんそう」。
 
この方は上映前にラーメンを食べに行かれた模様です。
どうせならついていって私もラーメン食べればよかったけど、さすがに後をつける勇気はなく。
 
さて、シアターセブンにて上映です。
舞台挨拶付きの回をオンラインで予約したら、図らずも私が一番乗り。
別にそんなに張りきってないって。(^^;
私が確保したのはいちばん後方の通路ぎわの席。3つ前の席にその人。
探偵にでもなった気分でしたが、なんのこたぁない、出演者のうちのおひとりだったのです。
これまたビックリ。
 
とても変なドキュメンタリーです。皆さんに話せる内容でもありません。
だってラブドール、つまりダッチワイフ愛好者の話ですから。
 
埼玉県八潮市の中古住宅を購入した兵頭喜貴さん。
そこで自分のラブドールのコレクションを披露することを思いつきます。
世界唯一のラブドール専門博物館としてフリーペーパーなどでも紹介され、
コロナ前は海外からも実に多くの観光客が押し寄せたそうです。
 
ダッチワイフの映画はそう珍しくはありません。私がすぐに思いつくだけでも3本。
『ラースと、その彼女』(2007)、『空気人形』(2009)、『ロマンスドール』(2019)。
でも全部フィクションだったから、ドキュメンタリーはこれが初めて。
 
映像作家でもあるらしい兵頭さん。
本作には廃墟で人形とセックスする姿を自撮りした映像も登場します。
それがちっともエロくないというのか滑稽で、劇場内には笑い声が飛ぶ。
肌の質感とか、よくできた人形ではあるけれど、所詮人形は人形。
腕や足はでろーんと動かない様子が可笑しくて、確かに笑ってしまう。
 
『ロマンスドール』は高橋一生がダッチワイフを作る職人役で、製作過程がわかりましたが、
本作ではダッチワイフの手入れの仕方がわかります。
 
病に冒されて今は男としての機能がまったく働かなくなってしまったという兵頭さんは、
もう人形相手にセックスすることはない。ただ大切にするだけ。
お風呂に入れて、天瓜粉(って今言いますかね?)を丁寧に塗る。
巨乳とは到底言えない大きさの胸に粉をはたき、このぐらいの胸の大きさがいちばんいいと言う。
手にきっちり収まるぐらいかな。
 
そして私が本作を観るきっかけとなった「人形を2体連れた人」は人形仲間らしく、
いつも持ち歩いていらっしゃる人形とは別の、等身大の人形が部屋にある。
彼のブログに付いているカウンターは、訪問者の数ではなくて自分が人形とセックスした回数だとか。
んなもんは見たくも聞きたくもないけれど、
ひきこもりで、生身の人間にはなかなか心を開けなくて、でもこの人形たちがいれば、
人形を通してさまざまなものが見える。虫眼鏡のような役割を果たしている。
人形が自分の目となり耳となってくれるという話は少しだけ切なくなりました。少しだけですよ。
 
まぁ、イケメンでもなんでもない人(かどうかは関係ない!?)のこういう趣味を見せられるのは、
好奇心が勝らなければ不快なだけかもしれません。
私としては、こういう機会がなければ知り得なかったダッチワイフの使い方がわかって面白かったです。
ただ気持ちいいことを想像して買い求めたら、手入れが意外に大変で挫折する人が多いことも知りました(笑)。
 
どんなものも大事にしなくちゃいけないってことですね。(^^)

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