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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ケナは韓国が嫌いで』

2025年04月05日 | 映画(か行)
『ケナは韓国が嫌いで』(英題:Because I Hate Korea)
監督:チャン・ゴンジェ
出演:コ・アソン,チュ・ジョンヒョク,キム・ウギョム他
 
テアトル梅田にて2本ハシゴの2本目。前述の『Playground/校庭』の次に。
 
チャン・ゴンジェ監督は韓国のインディーズ映画業界で活躍する人なのだそうです。
『グエムル  漢江の怪物』(2006)の子役としてキャリアをスタートしたコ・アソンもすでに32歳。
彼女の主演作だと、最近では『サムジンカンパニー1995』(2020)がとても良かった。
本作の予告編を京都シネマに行った折に見かけて、これは観たいと思いました。
 
OLのケナは28歳。ソウル郊外の団地で両親と妹の4人暮らし。
数年後には新居を得るつもりの母親は、その費用をケナに出してほしいと迫るうえ、結婚をせっつく。
記者を目指す恋人のジミョンは裕福な家庭に育ち、将来性も性格もこれ以上ないほど良い。
マイナス要素が何もないことが逆に居心地悪く、結婚する気にはなれない。
 
会社に行けば、馴染みの業者と「なぁなぁ」の関係にある上司から理不尽なことを言われ、
ならば退職しますと言うと、部下に辞められると自身の評価が下がる上司がご機嫌を取ろうとしにくる。
家族の幸せの話ばかりする母親のことがウザいが、父親は自分のために生きろと言ってくれる。
 
ようやく覚悟を決めて韓国を飛び出し、ニュージーランドへと渡ることしたケナだったが……。
 
原作はチャン・ガンミョンのベストセラー小説『韓国が嫌いで』。
ガンミョンは『コメント部隊』の原作者でもあるそうで、両者のギャップに驚く。
 
ケナの放浪記という以外、何もない話であるのですが、ちょっとした台詞に「へーっ」。
ベトナムやタイからニュージーランドに留学するのは金持ちの子。
それに対して日本や韓国からの留学者はお金のない子。
韓国人は、韓国と日本を同等に見て、中国のことは下に見ている。
発展途上国の中で韓国の自殺率が最も高い、などなど。
 
幸せとは何か。人は「幸せ」という言葉に背負わせすぎている。
なるほどなぁと思うことが多くて。
 
原作者のガンミョンって男性なんですね。俄然興味が湧きました。

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『Playground/校庭』

2025年04月05日 | 映画(は行)
『Playground/校庭』(原題:Un Monde)
監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンデルベック,ギュンター・デュレ,カリム・ルクルー,ローラ・ファーリンデン,
   エルザ・ラフォルジュ,レナ・ジラール・ヴォス,シモン・コドリー,テオ・マールテン他
 
ベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督の作品をテアトル梅田にて。
 
小学校入学の初日。不安いっぱいの少女ノラは兄アベルに抱きついて離れない。
アベルは「休み時間に会えるから」と言って校内へ。
見送りに来た父親もノラのことが心配でならないが、保護者は立ち入り禁止だと言われて仕方なく離れる。
 
お昼休みには食堂で一旦席に着くも、アベルを見つけたノラは駆け寄ろうとする。
しかし、食事中は移動禁止。すごすごと席に戻るが、食欲なんて出ない。
 
休み時間の校庭で兄の姿を探してまたしても駆け寄るが、
同級生たちと遊んでいたアベルはノラをじゃまもの扱いして「あっちへ行け」と言い……。
 
幼稚園の入園日、私は園庭で泣いて母親に抱きつき、離れたくないと言った口です(笑)。
そのせいで背の順に並ぶと私の前後にいた女児ふたり(いとこ同士でした)に2年間いじめられるはめになりました。
泣いた私が悪いのか。このふたりのことは死ぬまで忘れません。
 
そんな悲しい思い出があるから、お兄ちゃん大好きっ子のノラがいじめられるのかと思っていたら、違った。
 
おそらくきっかけはノラにあるのでしょうけれど、アデルがいじめられるようになる。
殴られ蹴られるなんて序の口で、便器に顔を突っ込まれ、ゴミ箱の中に放り込まれる。
このいじめに比べたら、私が受けたいじめなんていじめとも言えないほどでしょう。
整列中に頭から砂をかけられて(と言っても帽子の上からだし)、「アンタなんか」と面と向かって暴言を吐かれる程度です。(^^;
 
いじめられているなんて格好がつかないアデルは、先生にも父親にもチクるなとノラに言います。
「言ったら殺す」とか「死ね」とか小学生の口から普通に出てきちゃうんですもんね。
お兄ちゃんがいじめられていることを訴えたいけれど、言えずにいるノラの葛藤。
そこはまだチビっこだから、「言えないの」ということで父親にはバレる。
 
アデルがいじめられっ子になる一方で、心配されたノラには普通に友だちができます。
だけどお兄ちゃんがいじめられていることがわかると、今度はノラからも友だちが離れてゆく。
すると、お兄ちゃんのことが疎ましくなってしまうのです。
 
保護者らの間で話し合いが持たれたことでアデルへのいじめはなくなりますが、
いじめの対象がアデルではなくなっただけ。どこまでも続くいじめ。
 
子ども時代は過酷です。
ノラを演じた子役のマヤ・ヴァンデルベックが素晴らしい。
このまま彼女の心の傷にならないか心配なぐらい。
最後のハグが未来につながりますように。

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