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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『片思い世界』

2025年04月15日 | 映画(か行)
『片思い世界』
監督:土井裕泰
出演:広瀬すず,杉咲花,清原果耶,横浜流星,小野花梨,伊島空,moonriders,田口トモロヲ,西田尚美他
 
封切り日に109シネマズ箕面にて。
 
監督・土井裕泰、脚本・坂元裕二といえば『花束みたいな恋をした』(2020)のコンビ。
後者はロングランになりつつある『ファーストキス 1ST KISS』の脚本家でもあり、売れっ子中の売れっ子ですね。
本作も彼のオリジナル脚本なのだそうです。
 
古びた一軒家で一緒に暮らしはじめて12年になる3人はまるで姉妹のよう。
姉御肌の美咲(広瀬すず)が優花(杉咲花)とさくら(清原果耶)の世話を焼いている。
しっかり者の美咲だが、いつもバスで見かける男性(横浜流星)に片思い中で、
さくらからどれだけ煽られようと「無理」と決めつけてコクれない。
 
さて、ここでもうネタバレしちゃいます。
 
冒頭、さくらが街を歩くときの姿に違和感をおぼえ、その後も非常識きわまりない行動に不快感すら抱いていたら、
3人とも12年前に殺されていたのでした。
 
児童合唱団に所属していた3人は、練習のために集まっていた学校に現れた男に襲われて死亡。
ほかの人からは見えない存在となったものの、現世に生きつづけています。
朝起きてから寝るまで、3人は普通の人たちと同じように暮らす。
美咲が作ったお弁当を持って、さくらは水族館へ仕事に行き、優花は大学で授業を受ける。
美咲自身もとあるオフィスに出勤して仕事をしています。
 
バスで見かける男性は、合唱団でピアノ伴奏を担当していた高杉典真でした。
コクろうにも、彼には美咲の姿が見えないからコクれないのです。
 
家庭環境に問題のあった美咲を合唱団に誘ってくれたのが、その状況を察した典真。
音楽劇の脚本を書くのに没頭する美咲が空腹であることに気づき、
美咲を音楽教室に残してコンビニへ肉まんを買いに行っている間に事件は起きました。
自分を責める典真は、ピアニストとして将来を有望視されていたのにピアノをやめてしまった。
12年ぶりだったけど典真だとすぐに気づいた美咲は、伝えたいことがあるのに伝えられません。
 
そんなとき、3人がいつも聴いているラジオ番組が現世には存在していないと知る。
このDJも自分たちと同じ「死んだ人」で、何か伝えたがっているのではないか。
DJからメッセージを受け取った3人は、いま本当に会いたい人と心を通わせて現世に戻ろうとします。
 
美咲が会いたいのはもちろん典真。
優花が会いたいのは母親(西田尚美)。でも、母はすでに再婚した相手との間に女児がいる。
さくらが会いたいのはなんと事件の加害者で、服役後に出所してきたばかりの要平(伊島空)。
なぜ自分たちを殺したのかどうしても聴きたいのだと。
 
現世に戻れましたというエンディングではないけれど、「ありえない」ことは「ある」かもしれない。
思いは伝わる。
 
ストリートミュージシャンとしてムーンライダーズが最後に登場しています。
彼らもきっと現世を彷徨中。届く人には届く。

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