夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ラースと、その彼女』

2009年08月17日 | 映画(ら行)
『ラースと、その彼女』(原題:Lars and the Real Girl)
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ライアン・ゴズリング,エミリー・モーティマー,ポール・シュナイダー,
   ケリ・ガーナー,パトリシア・クラークソン他

「僕の彼女です」と言って真顔で紹介されたのが
リアルドール(=ダッチワイフ)だったとしたら?
怪しげな設定ですが、エロいシーンは無し。
優しさのいっぱい詰まったドラマです。

小さな田舎町で暮らすラースは、控えめで純朴な青年。
町の誰もから愛されているが、極端にシャイで人づきあいが苦手。
同じ敷地内に住むラースの兄夫婦は、
独り者のラースを心配してたびたび食事に招待するが、いつも避けられる。
会社では新入りの可愛い女性マーゴがラースに好意を持っているようだが、
彼はマーゴとろくに話そうとしない。

ある日、ラースが兄夫婦に彼女を紹介したいと言う。
大喜びの兄夫婦のもとへラースが連れてきたのは、
ビアンカという名前の等身大のリアルドール。
呆然とする兄夫婦に、彼女は車椅子で各地を回る宣教師だと説明するラース。
独身男性の自分と一つ屋根の下というわけにはいかないから、
しばらく彼女を泊めてほしいと。

兄夫婦が信頼できる女医ダグマーに相談すると、
「ビアンカが現れたのには必ず理由がある。
彼と話を合わせるように」とのアドバイス。
さて、事のなりゆきはいかに。

小さな町ならではの展開がとてもいいです。
兄夫婦がまずどうしたかと言えば、町の住人に包み隠さず話し、
全員にラースの妄想につきあうように依頼します。
正気の沙汰ではないと怒る老人もいますが、
猫に服を着せる人もいれば、UFOに夢中になる人もいる、
ラースの場合はその対象が人形だというだけ、
何がいけないのと反論する婦人もいて、結局みんながつきあうことに。
ビアンカを人として扱う姿が笑いを誘うと同時に胸を打ちます。

また、偶然ビアンカの存在を知ったマーゴは、
片想いの相手が奇行に走っているにもかかわらず、
会社の人をも巻き込み、懸命にラースと話を合わせます。
そんな彼女のテディベアにラースが蘇生を施すシーンは涙ポロリ。
とにかく女性陣の肝の座りっぷりはお見事。

ビアンカが現れた理由ははっきりとは語られません。
しかし、ラースが母親の死に責任を感じていることが読み取れます。
その「うっすらわかる」加減がこれまたいい。

ゆっくりと、時間をかければ心がほぐれる。
本当は、こんな真夏より冬にオススメ。
温もりがほしいときに。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 〈番外編〉高校野球観戦記 | トップ | 愛すべきアニメ、『ウサビッ... »

映画(ら行)」カテゴリの最新記事