夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』

2014年10月07日 | 映画(は行)
『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』(原題:The Tightrope)
監督:サイモン・ブルック
出演:ピーター・ブルック,笈田ヨシ,ヘイリー・カーミッシェル,マルチェロ・マーニ,ジョシュ・ホーバン,
   アブド・ウオロゲム,シャンタラ・シヴァリンガッパ,リディア・ウィルソン,エミリー・ウィルソン他

先週の月曜日,友人とランチのために休みを取りました。
その前に1本だけ,TOHOシネマズ梅田にて。

イギリスの偉大な演出家であり演劇プロデューサーであるピーター・ブルック。
大英帝国勲章も叙勲している演劇界の大物。
2週間にわたる彼のワークショップに密着したドキュメンタリーです。

ワークショップ参加者のひとりがパリ在住の日本人俳優,笈田ヨシ。
1960年代にピーター・ブルック演出の劇に出演。
その後もブルックが設立した国際演劇研究センターに参加するなど,懇意らしい。
御年81歳だそうですが,締まった体に老齢はまったく感じられません。

その他、各国のアーティストが一堂に会したワークショップ。
何をするのかと思えば、床の上にあると想像する1本のロープの上を
参加者たちが自身の想像力のみで綱渡りするという課題。
原題はその「綱渡り」の意味です。

実にシンプルな課題に思えますが、これがものすごく難しいことらしい。
誰しもがまずやることは、両手を広げてバランスを取って渡っているふり。
これをブルックは、足の裏でロープを感じよと言います。
目ほどは鋭くない足の裏の感覚。これを十分に感じよと。

綱渡りの演技をせよと言われたら、ほぼ全員がおそるおそる、
初めて綱を渡っているような演技をするけれど、
これはあくまで想像の世界、初心者である必要はないのだと。

悲劇的なことは何もないのだから、心から演技を楽しみなさいという言葉に、
『俺たちスーパーマジシャン』を思い出しました。
あんなコメディの台詞と比べたら、ブルックさんに怒られるかもしれませんが(笑)。

演技が終わったあと、喝采があれば嬉しい。
けれども、演技が終わったあと、観客が息を呑む一瞬。
この一瞬があることが大事。

なかなかに哲学的で、演劇に興味がないと睡魔に襲われる瞬間もありますが、
知らない世界を見せてもらったようで、楽しかったです。

笈田ヨシさん、『最後の忠臣蔵』(2010)に出演しているところは想像できますが、
『TAXi2』(2000)にも出演しているようで。観てみよう。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『NY心霊捜査官』 | トップ | 『蜩ノ記』 »

映画(は行)」カテゴリの最新記事