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2021年9月に読んだ本まとめ

2021年10月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2021年9月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4736ページ
ナイス数:1865ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■しびれる短歌 (ちくまプリマー新書)
穂村さんのエッセイは大好きですが、歌集はほとんど手に取ったことがありません。というのも、私には歌心が皆無らしく、世の中の短歌や俳句を聴いてもわからないことが多い。八つ当たり気味に、説明してもらわなわからん歌ってどういうことよ!?と思ったりもするのです。本書も序盤はそんな感じ。食べ物の歌には食いついたものの、やっぱり説明なしじゃ私には理解不能やわなどとぼやきながら。それが第8章のトリッキーな歌に入るとニヤニヤが止まらず。職業としての歌人を目指すとかかる費用もリアルで勉強になりました。楽して稼げる仕事はない。
読了日:09月01日 著者:東 直子,穂村 弘
https://bookmeter.com/books/13331668

■あしたの君へ (文春文庫)
こういう仕事なのですね、家庭裁判所調査官。その見習いは調査官補で、上司から“カンポちゃん”と呼ばれる面々のうちのひとりが主人公。窃盗やストーキングで捕まった少年少女、精神的苦痛を訴えて夫と別れたい妻、親権を争う夫婦などなど。タイトルの「あしたの君」とは、子どものみならず大人も、そして主人公らカンポたちのことも含んでいるのでしょう。処分は適当に決めてもたぶん通る。でもそれが明日の君の、そして自分の在り方に関わる。「人に迷惑をかけることと、人に頼ることは違う」という一文がじんわりと沁みる。頼ってもいいんだよ。
読了日:09月04日 著者:柚月 裕子
https://bookmeter.com/books/14480982

■ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
ここまでコロナに寄せるか東野圭吾。しかもピンポイントで2020年。今年ならば数十名の同窓会を企画するなんて無理ですものね。都会に暮らす娘。同窓会で帰郷しようとしたまさにその折に父親が殺されます。謎解きに挑むのはマジシャンの叔父。個人的にはもっと重い東野さんが好みなので、この軽さにはあまりハマれません。そう思いつつもシュッシュと読めてしまうのがこの人なんだなぁ。胡散臭いマジシャンとその姪のコンビでシリーズ化というのはありだけど、これが初東野圭吾だという人には他のずっしりヘヴィーな作品もぜひ読んでほしいかも。
読了日:09月09日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/16909684

■首の鎖 (講談社文庫)
頁を開けばいきなり情事の描写。言い方が悪いですが、三文小説の雰囲気もあり、メフィスト賞受賞作家っぽくないなぁと思いながら読み始めたら、介護の様子にこの上なく凹む。娘を介護要員としてしか見ていない家族。もうこんな家族のことなんか放っておけばいいのに、そうはできない娘。やっと巡り会えた相手は妻からのDVに遭っているという悲惨極まりないふたりです。感情移入はしにくいけれど、この状況が好転する日は来るのだろうかと一気に読まされました。3時間かからず。はい、決して三文小説ではありません。首の鎖はちゃんと外れますか。
読了日:09月10日 著者:宮西 真冬
https://bookmeter.com/books/17968574

■半沢直樹 アルルカンと道化師
理想の上司として挙げられる著名人は多けれど、もしも半沢直樹が実在の人物だとしたら、彼に勝る上司はいないだろうと思われます。基本は性善説。でも食えない奴は見事なまでに叩きのめす。善人が集まって善人の味方をすれば、最後は悪いようにはならない。現実には悪人が勝つのだとしても、誠実に生きていれば、良い巡り合わせもあるかもしれません。それはそうと、渡真利って凄いですよね。よくも誰からも目をつけられずに情報収集できるもんです。有り難き友。池井戸さんの本は、読んでいる間に頭に血が上る。倒れたらどうしてくれますか(笑)。
読了日:09月14日 著者:池井戸 潤
https://bookmeter.com/books/16276540

■夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)
ひとつめの話にまずやられる。ミステリーではないはずなのにこんな叙述トリックが潜んでいたとは。そして裏表紙を見ずに読みはじめたものだから、連作短編集だとは思いもよらず、ふたつめ以降の話でもふいに登場する「知っているひと」にまた驚かされる。泣かせようなどという意図は感じません。でも何回か心が震えて涙が止まらなくなった。優しい心持ちの大人になりそうな子どもたち。まわりのひとみんなと親しくなくていい。「雨降りの朝とか、最悪な一日の終わり、自分が嫌になっちゃった瞬間」に思い出す相手がいれば。そんなふうに思いました。
読了日:09月15日 著者:町田 そのこ
https://bookmeter.com/books/17677206

■死にたくなったら電話して (河出文庫)
なんとも惹きつけられるタイトルです。朝キャバの一番人気の美人キャバ嬢からこっそり名刺を渡されて、携帯の番号とこんなメッセージが書かれていたとしたら、そりゃもう気にならずにはいられんでしょう。登場人物に「小説が嫌い」だと言わせる。その理由は「感動」と「物語」が嫌いだと。言わせるだけあって、ここに感動はありません。でも物語は確かにある。インテリのキャバ嬢とそれに感化された三浪生。ふたりして窶れて行く様子が異様で痛々しい。危ない新興宗教にハマってしまったかのようで、好きじゃないけど抜けられない、そんな感じです。
読了日:09月19日 著者:李龍徳
https://bookmeter.com/books/18334297

■白鳥とコウモリ
『ブラック・ショーマン』を最近読んだばかり。重めの東野圭吾のほうが好きな私としては、断然こっちが好み。ある殺人がかつての冤罪に結びつき、どちらも自分の犯行だと名乗り出た男性。なのに加害者の息子のみならず、被害者の娘までもが違和感を覚えるのが面白くて、夢中になって読みました。これだけのボリュームをスイスイ読ませる東野さんはやっぱり凄いと思うけど、動機のひとつがこれとなると、途轍もない虚しさを感じます。サイコな動機は私の心に響かない。もっと、胸をキューっと絞られるような切ないやつ、もう書いてくれないのかなぁ。
読了日:09月20日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/17588738

■そこにいるのに: 13の恐怖の物語 (河出文庫 に 7-5)
ホラーが苦手です。AKB48の『未成仏百物語』を観た折、画面を直視するのが怖くて目を瞑ったらそのまま爆睡。エンドロールのお経で目が覚めました。本の場合は観ないわけにはいかないから、怖さを消すために酒の力を借りる。非科学的ではない第1話にいちばんゾクッとしましたが、ほかの話も酔っぱらってから読んで正解。パソコンやネットも上手く取り入れた今時の怪談です。著者本人も怖がりとのこと。怖がりのほうが怖い話が書けるという説は本当かも。だけど自滅はしたくない。で、クママリって何さ。知っている気がしてきちゃったよ(泣)。
読了日:09月22日 著者:似鳥 鶏
https://bookmeter.com/books/17889935

■小説 孤狼の血 LEVEL2 (角川文庫)
映画版は先行上映の“コロフェス”でとっとと観ました。てっきり『凶犬の眼』の映画化だと思っていたので、こんな話だったかなぁと自分の記憶力にダメ出しをしながら最後まで観て、映画オリジナルだと知った時にはドヒャーッ。原作三部作の一部と二部の間に上手くかませたものですねぇ。で、このノベライズ。薄くて良いけど、少なくとも第一部を読んだ人か観た人でないと楽しめないと思うのですが、どうでしょう。映像も相当グロかったのに、字で見ると更にグロく感じます。ホラー並みにえげつない。ノベライズって、「!」がやたら多くないですか。
読了日:09月23日 著者:池上 純哉,豊田 美加
https://bookmeter.com/books/18088838

■総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】昨日封切りでした。原田マハの著作の序盤は大好きなのですが、ヒートアップする終盤が苦手で、最後はいつも冷めてしまいます。映画版も熱いのに、田中圭演じる日和の語りに私としたことが泣いてしまった。なんだか負けた感でいっぱいです(笑)。それにしても出来過ぎですよね、この夫婦。倒れるほど多忙なのに夫への感謝の気持ちを忘れず、八つ当たりなんて絶対しない妻。そして彼女を労い続ける純粋で優しい夫。こんなん幻想やと言いたくなる人も多かったりして。姑役の余貴美子はやはり素晴らしい。
読了日:09月24日 著者:原田 マハ
https://bookmeter.com/books/11259935

■鳩の撃退法 (上) (小学館文庫)
とてもややこしそうだったから、原作を読むのを後回しにして映画版を先に観ました。目の前の人と喋りつつ電話の相手とも喋っていたりして、やっぱりややこしくないですか。しかし会話は可笑しくて、結構ツボにハマりました。特に「もしやもしや」「二葉百合子」。『岸壁の母』という曲名はまったく出てこないし、出てくる女優の名前が映画版以上に古くて多いし、昭和生まれの人でなければ反応できないのでは。映画版を観ていない人も楽しめるのかどうかは若干疑問です。少なくとも私には辛かったろうと思う。これよりさらに分厚い下巻に直行します。
読了日:09月27日 著者:佐藤 正午
https://bookmeter.com/books/12527273

■鳩の撃退法 (下) (小学館文庫)
上巻の感想に、編集者役は映画オリジナルだったと書きました。違った。ヌモトさんに替わり、延々と濁らず呼ばれるトリガイさん。私はこのすっとぼけた会話が結構好きかもしれません。それにしても感心するのは映画版のキャストの妙。倉田のこのヤバそうな雰囲気と色気はトヨエツならでは。女優倶楽部の社長=岩松了、房州書店の親父=ミッキー・カーチス、床屋のまえだ=リリー・フランキー、皆ピッタリ。AKBと西田佐知子が一緒に出てきた日にゃ、どの年齢層がターゲットなのか不明(笑)。山本譲二の歌詞を見て歌える人にはお薦めできそうです。
読了日:09月30日 著者:佐藤 正午
https://bookmeter.com/books/12527274

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