夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『バービー』〈字幕版〉と〈吹替版〉両方。

2023年08月19日 | 映画(は行)
『バービー』(原題:Barbie)
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:マーゴット・ロビー,ライアン・ゴズリング,アメリカ・フェレーラ,アリアナ・グリーンブラット,
   ケイト・マッキノン,イッサ・レイ,リー・パールマン,シム・リウ,マイケル・セラ,ウィル・フェレル他
声の出演:高畑充希,武内駿輔,本田貴子,早見沙織,朴璐美,斎賀みつき,木村有里,小野大輔,下野紘,内田直哉他
ナレーション:ヘレン・ミレン〈字幕版〉,榊原良子〈吹替版〉
 
109シネマズ箕面にて、字幕版と吹替版をハシゴしました。
 
上映について各国でいろいろと物議を醸しています。
作中に登場する地図の境界線だとか、LGBTQ問題だとか、そもそも道徳的でないとか。
日本ではそこのところの問題はなかったのに、別の問題が勃発。
 
アメリカで『バービー』と共に、同日に公開された『オッペンハイマー』が大ヒットしていることから、
「バーベンハイマー」なる造語が登場しました。
オッペンハイマーといえば「原爆の父」。
面白がって、バービーと原爆やキノコ雲と合わせた画像を作成してSNSに投稿する人が現れ、
それに本作のアメリカ公式アカウントが好意的なコメントを付けたことから、
日本で配給を担当するワーナーブラザースジャパンが遺憾の意を表明。
ワーナーブラザースのアメリカ本社は、配慮に欠けた行動だったとして陳謝したものの、
こんな会社の作品は観てはいけないと言う人が公開前から多く出てきました。
 
でも、ごめんなさい。
グレタ・ガーウィグのことが女優としても監督としても大好きなんです、私。
予告編が始まった頃から楽しみにしていたのに、観に行かずにはいられません。
 
オープニングは『2001年宇宙の旅』(1968)の最初のシーンそのままなので、
万が一「そんな映画知らないよ」という方がいらっしゃれば、
『2001年宇宙の旅』のオープニングだけでもご覧になってから行かれたほうがいいと思います。
めっちゃよくできたパロディです。
 
バービーランドで何の疑いもなく完璧な毎日を過ごしていたバービー。
しかしある日突然、死について考えはじめる。
ほかのバービーたちにそう言うと皆が凍りつき、もう口に出せそうにもない。
 
心に留めておこうと思ったのに、シャワーの水が冷たすぎたり、
口臭を感じたり、ワッフルを焦がしたり、移動に失敗したり。
極めつきは自分のかかとが地面に着いたこと。
ハイヒールを履いているときはもちろん、脱いでいるときもかかとは浮いているもののはずなのに。
 
かかとが地面に着いたことを打ち明けると、みんなゲロゲロと卒倒しかける。
それはもういつも開脚している変てこバービーに相談するしかない。
 
変てこバービーはかつて絶世の美女だったが、持ち主にめちゃくちゃに扱われすぎて、
今は見目恐ろしいオバさんになり、修理屋として働いているらしい。
こわごわ変てこバービーのもとを訪れたバービーは、
自分が人間界とバービーランドの裂け目を開いてしまったと知らされる。
 
裂け目を閉じるには、バービー自身が人間界に行って、
自分に干渉している持ち主を探し出すしかないと言う。
このままでは体のセルライトが増える一方だと変てこバービーに脅され、
バービーは意を決して車に乗り、バービーランドを出発。
するといつのまにかケンもついてきていて……。
 
バービー人形にまるで縁のなかった私は、こんなにいろいろあったのかと驚くばかり。
大統領に医者に作家、物理学者、弁護士判事マーメイド
マタニティのバービーもいたのに、やりすぎと言われてすぐに廃盤になったとか。
ほかにも廃盤になったバービーには唖然とさせられます。
そんなバービーの歴史もわかるから、単純に楽しい。
 
マーゴット・ロビー以外にバービー役が似合いそうな女優は思い浮かびません。
ケン役のライアン・ゴズリングもよかったと思います。
って、本作に登場するのはバービーとケンという名前の人ばっかりなんですけどね(笑)。
 
そんななか、私が度肝を抜かれたのはアメリカ・フェレーラ
当初、バービーに干渉していた持ち主は、女子高生サーシャだと思われていました。
ところが実は干渉していたのはサーシャの母親グロリアのほう。
そのグロリア役を演じるのが彼女なのですが、めちゃめちゃイイ。
演技もさることながら、ドスを利かせたときの声の枯れ具合が絶妙でシビレます。
 
バービーが干渉者を探すときに目を閉じてイメージを追う。
グロリアが頭に思い描く娘との思い出を追想したとき、バービーの頬を涙が伝う。
「胸が痛むけど、素敵」。切なさを知るこのシーンがとても好きです。
 
久々に見たウィル・フェレルは、やっぱりウィル・フェレルでした。
『高慢と偏見』TV版(1995)や『ゴッドファーザー』(1972)の話なども出てくるので、
映画好きの人はより楽しいかと思います。
バービーが自分のことを「醜くなった」と泣くシーンでは、
「マーゴット・ロビーが言うと説得力なし」というナレーターの声が入るのも笑ったなぁ。
 
あ、せっかくハシゴしたのに、吹替版のことを何も書いていませんでした。
私にとっては字幕版の圧勝です。声を担当した方々、ごめんなさい。
そもそも吹替版の序盤に「手コキ」なんて台詞が出てきたり、
終盤では「あまりに」が「アナルに」に聞こえたことになっていたり、少々お下品でございます(笑)。
全体的にはそんなことはありませんけれど。
それを抜きにしても、男性陣はまぁ良いとして、女性陣の声のパワーというのかな、
字幕版で本人が発している声のほうが強いです。
 
ところで両方観てもオチの意味だけは私にはよくわからず。
あれはお股がツルペタかどうか調べに行くってことですか。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『僕と幽霊が家族になった件』 | トップ | 『SAND LAND』 »

映画(は行)」カテゴリの最新記事