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『僕と幽霊が家族になった件』

2023年08月18日 | 映画(は行)
『僕と幽霊が家族になった件』(原題:關於我和鬼變成家人的那件事)
監督:チェン・ウェイハオ
出演:グレッグ・ハン,リン・ボーホン,ワン・ジン,ツァイ・チェンナン,
   トゥオ・ツォンホァ,マー・ニエンシエン,アーロン他
 
2023年の台湾作品。2月に本国で公開されて爆発的にヒットしたそうです。
それが日本でも公開されることになり、絶対観たいと思っていました。
しかし上映館は全国で4館だけ。東京の2館と福岡、そして大阪。
シネマート心斎橋でも上映があるものの、上映期間は8月上旬の1週間だけで時間が合わず。
だけど韓国作品はかかっても、台湾作品は塚口であまりかからないよなぁなどと思っていたら。
 
台湾在住の友人からこれオススメだよとのメッセージが。
Netflixで配信が始まっているというではないですか。知らなんだ。
友人は「台湾独特のユーモアが伝わるかどうか」と心配してくれていたけれど、
台湾映画も大好きだし、何の心配もしていなかったわけですが、
観たら想像のはるかに上を行く。笑った笑った、泣いた泣いた。
 
ちなみに台湾は2019年5月に東アジアで初めて同性婚を認めた国で、
それが本作の背景となっているそうです。
 
正港署勤務の刑事ミンハン(グレッグ・ハン)は手柄を取るために日々猛進しているが空回り。
それどころか美人刑事ズーチン(ワン・ジン)に毎度最後を持って行かれてしまって悶々。
 
ある日の捜査中、公園で封筒を見つけたミンハン。
拾い上げて中を覗いていると、周囲にいた女性たちが歓声をあげて近づいてくる。
封筒の中身は故人マオマオことバンユー(リン・ボーホン)の髪の毛と写真で、
それを拾った者はマオマオの冥婚相手に選ばれし者なのだと言う。
 
冥婚の相手というだけでもありえないのに、マオマオは男ではないか。
ノンケの自分が死んだゲイの男の花嫁になるだなんてまっぴらごめん。
マオマオの祖母に拒絶の意思を見せると、彼女は不敵に笑い、
冥婚を断れば不幸に見舞われる、気が変わればおいでと言う。
 
誰がそんな話を信じるものかと思ったが、実際それ以降、踏んだり蹴ったり。
交番に左遷になるわ、事故に遭うわ、これ以上なにか起きてはたまらない。
致し方なく冥婚を受け入れたミンハンは、マオマオの親族に囲まれて挙式する。
ただひとり、マオマオの父親だけは馬鹿げたことに他人を巻き込むなと怒るが、
親族の女性陣は「男が好きで何が悪い。認めてやれ」と一笑に付す。
 
気の重たいまま帰宅したミンハンが渋々マオマオの遺影に線香をあげ、
風呂に入っていると、なんと目の前にマオマオが現れて……。
 
マオマオは自分の願いを叶えることができれば成仏すると言います。
その願いに最初から大笑い。ひとつめが「地球温暖化を止める」ですからね。デカすぎる願いだよ。
ホッキョクグマを救うにはどうすればいいか考えるミンハン。そして砂浜のゴミ拾いなんかも始めます。
ふたつめは野良犬のシャオマオの飼い主を見つけることで、ミンハンが飼うことに。
なぜかミンハン以外の人には見えないマオマオの姿が、シャオマオには見えるんです。
みっつめは婆ちゃんを訪ねる。これは叶えやすいことですが、実はマオマオの目的は別にもある。
自分のスマホから男の裸体や絡みが映るエロ写真や動画を削除するため。
まずはマオマオの父親の手からスマホをもぎとって、気づかれぬうちに削除せねばなりません。
マオマオと一緒にいれば幸運が舞い込んでくると信じて協力するミンハン。
 
マオマオは交通事故で亡くなっていて、犯人は捕まっていません。
正港署はなぜか付近の監視カメラの映像がないと言い、事件を調べようとしません。
マオマオと父親の間にはゲイであることをめぐって確執があり
そのせいでマオマオは死んでしまったとも言えるのですが、
父親は何を思っているのか、捜査をミンハンに託すと決めます。
 
あ〜、あまりに好きだったので、ネタバレしまくりの書きすぎやろと思うぐらい書いてしまった。(^^;
全編に渡って、本当によく笑いました。そして泣きました。面白い、楽しい、切ない。
コメディで、バイオレンスでサスペンス。そして、愛に満ち満ちています。
 
笑いのセンスが同じだ、特に関西人と、と思って爆笑したのは、「バンバン!」のとこ。
関西人は、銃で撃つ真似をされたら、バタンと倒れるふりをするのがお約束。
それは台湾でも同じらしく、犬のシャオマオまでバタンと倒れてバカウケ。
終盤にはその「バンバン!」のせいで泣かされるシーンもあります。あんな涙のバンバン、困る(泣)。
 
あれだけゲイを嫌っていたミンハンが、「餌不要でコスパがいい。今世は俺が養ってやる」というシーンも泣きましたね。
 
大好きでした。未見の方、オススメします。
この世界に感謝。

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