夜な夜なシネマ

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『ハートストーン』

2017年08月22日 | 映画(は行)
『ハートストーン』(原題:Hjartasteinn)
監督:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
出演:バルドゥル・エイナルソン,ブラーイル・ヒンリクソン,ディルヤゥ・ヴァルスドッティル,
   ヨーニナ・ソールディス・カルスドッティル,ラゥン・ラグナスドッティル他

世間のお盆休みが終わった頃の先週水曜日。
毎年恒例の全館停電ではなく、停電はしないけど節電のための全館休業日。
出てくるなとのお達しに素直に従い、映画館へ。

すっかり休みの日モードだったから、家を出て車を走らせてから、
この日が普通の平日であることに気づく。
通勤渋滞の時間帯、もしや新御がババ混みなのではと心配したけれど、
まだまだお盆休みのところも多いようで、わりとガラガラ。

そのせいなのか、梅田で駐車するときによく利用するタイムズがまさかの満車。
仕方なくいつもは通り過ぎる有人駐車場に入庫したら、
最大料金1,000円で、この界隈にあってはものすごく良心的。
係員さんの応対もめちゃ良くて、今度からこっちに駐めようと誓いました。

さて本題。
これが長編デビューとなるアイスランドの新鋭、
グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督の作品をテアトル梅田にて。
それにしてもなんちゅう長い名前。
出演俳優の名前もなんたらソンとかなんたらティルとか
やたらめったら長いうえに似ていて、絶対覚えられへん。
隣のシアターで上映中だった『この世界の片隅に』(2016)がいまだに立ち見の出る盛況ぶりで、
入れなかった客が少しこちらにも流れてきているようでした。

アイスランドの小さな漁村。
ソールとクリスティアンは幼なじみの大親友。
思春期のまっただなか。

ソールは母親と2人の姉ラケルとハフディスの4人家族。
父親は若い女をつくって出て行ってしまった。
かといって狭い村では母親が別の男と出かければすぐに噂の的に。

クリスティアンは両親との3人家族。
厳格な父親から殴られることも多く、
母親は懸命にかばってくれるが、父親は暴走気味。

最近、ソールは美少女ベータに夢中。
そのベータがどうしようもない不良のフュークルと寝たらしいと聞き、
まだ下の毛も生えてもいないソールはガックリ。

そんなソールをクリスティアンは励ます。
フュークルとの話なんて嘘かもしれないと勇気づけ、
ソールとベータが会う機会をなんとかつくろうとする。

おかげでソールはベータと急接近。
ベータの親友ハンナはクリスティアンに好意を寄せているとのこと。
ダブルデートでキャンプに行くのだが……。

クリスティアンは実はソールに想いを寄せていますが、
自分がゲイであることに気づいて悩んでもいる。
ベータを見てはしゃぐソールに、まさかカミングアウトなんてできません。

誰が何をしたか一日で広まってしまうような、
何の娯楽もない閉鎖的で保守的な村。
ゲイだというだけで迫害されることは目に見えています。
村を出て行くしかない彼が生きられる場所があるようにと願うよりほかありません。

監督自身の少年時代の出来事に着想を得た作品だそう。
やんちゃくれのソールと、美形で頼りになるクリスティアン。
クリスティアンの切ない心のうちが表情のみに映し出される佳作。

これまでに観たアイスランド作品というと、
『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』(2009)、
『馬々と人間たち』(2013)、『ひつじ村の兄弟』(2015)と一風変わった作品だったような。
そういう意味では初めて「普通」のアイスランド作品を観た気がします。

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