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『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

2012年03月11日 | 映画(ま行)
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(原題:Extremely Loud & Incredibly Close)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:トム・ハンクス,サンドラ・ブロック,トーマス・ホーン,マックス・フォン・シドー,
   ヴァイオラ・デイヴィス,ジョン・グッドマン,ジェフリー・ライト,ゾー・コードウェル他

相当な話題作なので、もうあらすじは要らんでしょうけれど。

9.11アメリカ同時多発テロで父親トーマスを失った少年オスカー。
母親リンダとともにその悲しみから立ち直れずにいたある日、
トーマスのクローゼットの上隅にあった花瓶を落としてしまう。
すると、割れた花瓶の中から1本の鍵が。

トーマスとしょっちゅう調査探検ゲームを繰り広げていたオスカーは、
ここに父親からの最後のメッセージが込められているにちがいないと考える。
この鍵に合う鍵穴を見つければ、父親の伝えたかった何かがあるはず。

鍵が入れられていた袋には“ブラック”の文字。
これはきっと誰かの姓で、その人こそ、この鍵について知っていると確信。
オスカーは電話帳と地図を広げ、ニューヨーク中の「ブラックさん」を尋ね歩く。

一方、オスカーのことが気がかりでならない、向かいに住む祖母。
オスカーからの夜中の連絡にもきちんと応えてくれるが、
最近、祖母のアパートに間借りしはじめた老人とは話すなと言う。

祖母の留守中、オスカーは間借り人とひそかに対面。
初対面の口の利けない間借り人に、誰にも言えなかった思いをまくし立てるオスカー。
間借り人は意外にも調査に同行することを申し出て……。

間借り人を演じるのはマックス・フォン・シドー。
『ニードフル・シングス』(1993)では問題の店主、
『10億分の1の男』(2001)ではボスのサムを演じていたのが彼でした。
9.11テロ事件を取り上げた本作に彼が出演しているのを見ると、
なんともいえない特別な気持ちが呼び起こされるのは、リンク先のとおり。
同じ陰のある役でも、以前はとてつもなく不気味に思えました。
それが本作では嬉しくなるおじいちゃんぶり。

ここから、もろネタバレ。
残念ながら鍵はオスカーの思っていたようなものではなく、
私はなぜか『市民ケーン』(1949)の“バラのつぼみ”の正体を思い出しました。
何か意味があると信じていたけれど、実際はそんなもんだよという。(^^;
それはさておき、大事なのはこの鍵に合う鍵穴を見つけることではなく、
探す過程なんだなぁとしみじみ。

サンドラ・ブロックはやはりいつまでもラブコメの女王でいてほしいですが、
この母親役には『しあわせの隠れ場所』(2009)同様、泣かされましたねぇ。
あまりの話題作で期待が大きすぎたのが難点。静かに感動。

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