夜な夜なシネマ

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今年観た映画50音順〈は行〉

2017年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』(原題:Hollywood Banker)
2014年のオランダ作品。
ご存じでしたか、オランダ人の銀行員フランズ・アフマン。
彼は1970年代半ば以降、新興の映画会社への融資を積極的におこないました。
『ターミネーター』(1984)や『プラトーン』(1986)が製作されるに至ったのは、
本国アメリカで資金を提供しようという人が皆無のなか、
オランダ人のこの人がなんとか映画が撮れるようにと融資したから。
一介の銀行員でありながら、こんなことができるなんて。
『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)は3時間超の長編で字幕あり、
しかもハリウッドが敬遠する、ケヴィン・コスナーの「初監督作」。
誰もお金を貸してくれなかったのに、アフマン氏が奔走して大ヒット。
監督はアフマン氏の愛娘ローゼマイン。
映画ファンなら、こんな人がいたことを記憶に留めておきたい。

《ひ》
『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』(英題:The Himalayas)
2015年の韓国作品。
実話が基の山岳ドラマ
1992年、登山家ホンギルは、遭難しかけた大学生一行を助けるが、
イマイチ重大性をわかっていない大学生らに、
人に迷惑をかけるような奴は二度と山に登るなと告げる。
1997年、ヒマラヤの8,000メートル峰14座の完全制覇を目指すホンギルが
信頼できる仲間たちと次なる登山の計画を立てていたところ、
仲間の推薦で新メンバーとして現れたのがあのときの学生ムテクとジョンボク。
ホンギルは強く反対し、厳しい試験を課してみると、なんとかクリア。
以降、ホンギルを慕って何が何でもついてこようとするムテクを可愛がる。
やがて14座を制覇し、16座をも狙うホンギルだったが、脚の怪我がたたって引退。
ホンギルと代わって隊長に任命されたムテクは、ジョンボクとともにエベレストへ。
見事登頂を果たすが、下山中に遭難死してしまう。
悪天候の中、遺体は置き去りにされたままで、遺体なき葬儀が営まれる。
家族の泣き崩れる姿を見たホンギルは、ムテクの亡骸を回収することを決意。
以前の仲間たちに声をかけ、登頂の栄誉はもちろん、記録すら残らない登山に挑む。
序盤はおちゃらけすぎの感がありましたが、それも実際のムテクの人柄だったのかも。
命を落としては登山の価値などないと言いつつ、登山家はみんな命がけ。
とにかく『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016)と大違い。

《ふ》
『淵に立つ』
2016年の日本作品。
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作。
町工場を営む鈴岡(古舘寛治)は敬虔なクリスチャンの妻・章江(筒井真理子)と
オルガンに夢中な10歳の娘・蛍(篠川桃音)と三人暮らし。
ある日、旧友で刑務所帰りの八坂(浅野忠信)が鈴岡を訪ねてくる。
訳あって拒めない鈴岡は、八坂をしばらく住み込みで雇うことに。
夫の勝手な決定に不機嫌になる章江だったが、次第に八坂に心を許し、
オルガンの上手い彼に蛍もすっかりなつくのだが……。
むかし何があったのか、いま何が起きたのか、これからどうなっていくのか、
説明のない部分を想像してとてつもない重苦しさを感じます。
浅野忠信からは八坂の不気味さがよく出ています。
いったい誰が悪いのか。ひとつも悪くないのに娘が受けるとばっちり。

《へ》
『ヘッド・ショット』(原題:Headshot)
2016年のインドネシア/日本/シンガポール作品。
ぶっ飛びの面白さだった『ザ・レイド』(2011)のイコ・ウワイスが主演。
極悪な囚人リーが刑務所で暴動を起こし、用意周到に脱獄
一方、重傷を負った青年が海辺に倒れているのを村人が発見。
病院に搬送され、2カ月の昏睡の末に目覚めるが、記憶喪失状態。
女医アイリンは彼にイシュマエルと名づけ、献身的に治療する。
ところが、リーとイシュマエルには深い繋がりがあることがわかる。
リーは身寄りのいない幼い子どもを集めて生きる術を叩き込み、
成長した彼らを使って悪の組織を築き上げていた。
イシュマエルがその組織から抜けようとしたところ、撃たれて海へ落ちたというのが真相。
彼の本当の名はアブディで、リーはアブディが生きていることを知る。
リーはアブディの居所を突き止めるためにアイリンを拉致するのだが……。
凄惨なバイオレンスアクションだけど、めっちゃ面白い。
こんな作品を撮れるなんて、インドネシアをナメてました。すみません。

《ほ》
『ホームレス ニューヨークと寝た男』(原題:Homme Less)
2014年のオーストリア/アメリカ作品。
雑居ビルの屋上に忍び込んで寝起きする生活を続けるマーク・レイ、52歳。
元モデルで188cmの長身、めちゃセクシー、正当な二枚目というべき彼は、
そんな生活をしていることはおくびにも出さず、
朝から深夜までマンハッタンへ出向いては、
ファッションフォトグラファーとしての仕事をこなす。
時には役者のオーディションを受け、『メン・イン・ブラック3』(2012)の端役もゲット。
決して好んでホームレス生活を送っているわけではありません。
親孝行できないと話す彼の目には涙が浮かび、見ていて切ない。
非常に面白く、身にこたえる異色のドキュメンタリーでした。

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