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『ニューヨーク 親切なロシア料理店』

2021年01月27日 | 映画(な行)
『ニューヨーク 親切なロシア料理店』(原題:The Kindness of Strangers)
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:ゾーイ・カザン,アンドレア・ライズボロー,タハール・ラヒム,
   ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ,ジェイ・バルシェル,ビル・ナイ他
 
同じくシネ・リーブル梅田にて。
 
デンマーク/カナダ/スウェーデン/フランス/ドイツ/イギリス/アメリカ作品。
どんだけようさんの国の合作やねんと思いますが、なるほど、いろんな国の匂いがします。
ただ、邦題から受けるイメージとはちょっと違う。
 
ロネ・シェルフィグ監督はデンマーク・コペンハーゲン出身。
今度の舞台はニューヨークです。
 
訳あって服役していた男マークが出所祝いに弁護士ジョン・ピーターと訪れたのは、
マンハッタンの老舗ロシア料理店“ウィンター・パレス”。
 
ジョン・ピーターが帰った後、マークは勘定書を持ってレジに向かうが誰もいない。
奥の部屋を覗くと、そこではオーナーのティモフェイたちが飲んでいた。
酒を勧められ、店の感想を求められて、つい「サービスも料理もまずい」と答える。
その正直さが気に入られたか、飲食店の知識を持つマークは住み込みの職を得る。
 
一方、暴力をふるう夫から幼い息子たちを守ろうと一大決意をしたクララは、
夫の就寝中に長男アンソニーと次男ジュードを連れて家を抜け出す。
車で向かった先はやはりマンハッタンで……。
 
邦題だけ見ていると、このロシア料理店が駆け込み寺みたいに思うじゃないですか。
そういうわけじゃないのです。
クララがウィンター・パレスに世話になるのはずいぶん後になってから。
最初はマンハッタンまで来たものの、経済的DVも受けていたから金もない。
明らかに踏み倒しそうな服装ゆえ、どこの宿にも泊めてもらえません。
ウィンター・パレスで催されているパーティーに忍び込み、
料理をお盆ごと持ち去ってすたこらさっさと退場、子どもたちに与えます。
そのときに彼女を見かけたのがマークでした。
 
暴力夫がまた警官だから、クララはどれだけ毎日に困っても警察に駆け込めない。
寒くてひもじくて大変でも、子どもたちは泣き言を言わないし、
母親と一緒に居たい、父親のもとには絶対に帰りたくないと思っている。
彼女に差し伸べられる手はあるのか。それが原題です。
 
看護師であり、心に闇を抱える人たちを救おうとする女性アリス役に
アンドレア・ライズボロー。彼女はまさしく聖母です。
そして彼ら彼女らを見守るオーナー役のビル・ナイ
この人が物語に与える温かみといったら。長生きしてほしい俳優さん。
 
肝心のロシア料理はほとんど出てこなかったけど(笑)。

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