夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『チャイルド44 森に消えた子供たち』

2015年07月17日 | 映画(た行)
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(原題:Child 44)
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:トム・ハーディ,ゲイリー・オールドマン,ノオミ・ラパス,ジョエル・キナマン,
   パディ・コンシダイン,ジェイソン・クラーク,ヴァンサン・カッセル他

2週続けて水曜日に休みを取り、この週も3本ハシゴ。
非常に良心的な駐車サービスのTOHOシネマズ西宮。
ちょっと長めの映画2本を含む3本ハシゴだったために「全部で10時間サービスです」。
やっほー、余裕の全時間カバーでした。

2009年の『このミス』で海外編のランキング第1位に輝いた作品。
『このミス』のうち、新人作家に贈られる『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作は私にとって鬼門。
特に同年の大賞受賞作は『さよならドビュッシー』(2012)ですから、
本作も駄目駄目なんじゃないの?と不安を抱いたのですが、
同じ『このミス』と言っても、普通のランキング上位作品は大丈夫な気もして。

1週間に本作と『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と、
トム・ハーディ主演作を3本も観ることになるとは思いもしませんでした。

1933年、人工的に引き起こされた“ホロドモール大飢饉”により、
飢餓にあえぐウクライナの村で両親を亡くした少年は兵士から食糧を施される。
名前を尋ねられ、「名前は捨てた」と答えた少年に、兵士は言う。
「新しい名前をやる。今日からおまえはレオだ」。

20年後の1953年、スターリン政権下のソ連。
国家保安省(MGB)の捜査官となったレオは、出世コースを着実に駆け上がっている途中。
私生活では一目惚れした小学校教師のライーサを口説き落として結婚。
孤児だった極貧時代のことは忘れ、モスクワで不自由ない暮らしを送っていた。

ところがある日、部下で戦友のアレクセイの8歳の息子が死亡する。
その亡骸と対面したレオは、猟奇的で不可解な傷に疑問を持つ。
あきらかに殺人だと思われたが、上官のクズミン少佐は事故死と断言。
殺人だとわめくアレクセイ一家を落ち着かせるようにと、レオが命じられる。
当局を非難するなんてもってのほか。レオに諭されたアレクセイはその後は口をつぐむ。

そんななか、MGBによって多くの民間人がスパイ容疑で捕らえられる。
ライーサにまでその容疑がかかっていると知り、レオは驚く。
自ら妻を告発するようにと当局から圧力をかけられたレオはそれを拒否。
その結果、極刑は免れるのと引きかえに、田舎町ヴォウアルスクの警察署に左遷される。

すると、そこでもレオは少年殺人事件に出くわす。
遺体はモスクワで見たものと酷似。
急な人事異動でレオを押しつけられて迷惑顔の警察署長ネステロフ将軍に、
レオは事の詳細を説明し、犯人を野放しにしてはならないと協力を仰ぐのだが……。

スターリン支配下のソ連は、理想国家を標榜し、犯罪の存在を認めません。
だから、殺人事件なんて決して起きてはならない。
どう見ても町をまたいで起こっている連続殺人事件なのに、
濡れ衣を着せやすい人物を見つけては犯人に仕立て上げ、その町ごとにただちに解決。
「楽園に犯罪はない」だなんて笑わせます。

主演のトム・ハーディをはじめとして、ネステロフ将軍役のゲイリー・オールドマン
クズミン少佐役のヴァンサン・カッセル、ライーサ役のノオミ・ラパス
レオを陥れる部下ワシーリー役のジョエル・キナマン
早いうちに明らかになる犯人役のパディ・コンシダインと、
役どころが面白く、137分と長編のわりに退屈しません。

が、冒頭に描かれるレオの少年時代と猟奇殺人事件とスパイ容疑、
これが一見絡み合っているようでありながらそんなことはなく。
飛ばされたせいで事件に関わるようになっただけやんと思ったりもして。
これでは犯人がただのイカレた奴というだけで終わってしまいがち。

どれもこれも「見せかけの楽園」ゆえに生まれたことなのでしょうが、
おそらく原作ではこれらがきっちり絡み合っているのだと推察します。

しかし、はっきりしたことひとつ。
上映開始まではかなり眠くて、睡魔に襲わそうだったのですが、
おもしろければ寝ませんね。
好きとか嫌いとか駄作かどうかに関わらず、
最後まで眠らさずにいてくれる作品は私にとってはどこかしらおもしろい。
そんなの当たり前!?

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