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『裏切りのサーカス』

2012年04月26日 | 映画(あ行)
『裏切りのサーカス』(原題:Tinker Tailor Soldier Spy)
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン,コリン・ファース,トム・ハーディ,トビー・ジョーンズ,
   マーク・ストロング,ベネディクト・カンバーバッチ,キアラン・ハインズ他

封切り日、大阪ステーションシティシネマの初回は立ち見が出ていました。
予告編がおもしろそうだったので、私も観たい度はうんと高かったものの、
そんな話題作だったの~といまさらビックリ。

『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)のスウェーデン人監督による初の英語作品。
原作はジョン・ル・カレの1974年のスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』。
原題はそのまま“Tinker Tailor Soldier Spy”で、この響きはゴロもいいし、
わざわざこんな邦題にしなくてもいいやんと思わなくもないですが、
チケットを窓口で購入する場合は圧倒的に言いやすいかも

米国を盟主とする資本主義・自由主義陣営と、
ソ連を盟主とする共産主義・社会主義陣営が対立する東西冷戦下。
英国諜報機関MI6(通称サーカス)のリーダー、コントロールは、
この組織にソ連諜報機関KGBの二重スパイ“もぐら”が潜んでいることを確信。
“もぐら”の情報を掴むために独断で送り込んだ部下のプリドーが撃たれてしまう。
コントロールはその責任を取ってサーカスを去り、
彼の右腕を務めてきた老スパイ、スマイリーも引退を余儀なくされる。

ところが、直後にコントロールが謎の死を遂げたことを受けて、
スマイリーのもとに英国政府次官レイコンが現れる。
“もぐら”が誰であるかを突き止めるには君が適任と言われ、
自分はクビにされた身だとあしらいかけるが、
組織のためだけではなくコントロールと自分のためにも任務に就く。

コントロールが疑っていたのは、サーカスの幹部。
ティンカー(鍵掛け屋)、テイラー(仕立て屋)、ソルジャー(兵士)、 プアマン(貧乏人)。
コントロールが裏でそう呼んでいた幹部の4人、
アレリン、ヘイドン、ブランド、エスタヘイスについて、
スマイリーは信頼を置く若手のギラムを相棒に調査を開始。

一方、イスタンブールで東側に寝返ったと思われていたギラムの部下ターが
突然スマイリーの前に現れ、“もぐら”の情報を持っていると言う。
放っておけば身に危険が及ぶターをしばらく匿うことになるのだが……。

リピート割引1,000円というキャンペーン実施中で、確かに2度観たくなります。
誰が“もぐら”かはもちろん興味のあるところですが、
それ以上に惹かれる地味ながら錚々たる顔ぶれの演技。シブイのなんのって。
上司と部下、夫と妻、男と女、同僚同士、友人同士。
信頼を築かねばならないはずのさまざまな関係にさまざまな裏切りが存在し、
けれどそこには苦悩があり、かいま見えるその苦悩に男泣き。
映画ならではの時間の見せ方にも唸ること、しきり。

ギラム役のベネディクト・カンバーバッチは、
『アメイジング・グレイス』(2006)では主人公の親友役。
若くして首相になったウィリアム・ピットを演じていましたが、どことなく気品があります。
この人もそうなんですが、本作には声に惚れそうな人が多くてシビれました。
ゲイリー・オールドマンは若かりし頃はやんちゃな印象でしたが、ものすごく知的。
老齢の男の悲哀が表情にも背中にも漂って、切なさいっぱい。
前述のライアン・ゴズリングが尊敬する人としてオールドマンを挙げるのもわかります。

某掲示板に、邦題は『ぼくのスマイリー 70歳のスパイ』でええやんというコメントがあり、
ウケました。ナイス。

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