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『アイリッシュマン』

2020年01月07日 | 映画(あ行)
『アイリッシュマン』(原題:The Irishman)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ,アル・パチーノ,ジョー・ペシ,レイ・ロマノ,
   ボビー・カナヴェイル,スティーヴン・グレアム,ハーヴェイ・カイテル他
 
冬休み初日。前夜は六甲で結構飲みました。
この日の晩は北新地で食事の予定。
朝から晩ごはんの時間までに頑張ればシネマート心斎橋で4本観ることが可能。
無謀な気もするけれど、前日にオンライン予約してしまえば、
這ってでも起きて心斎橋へ行けるんじゃないだろうか。で、予約。
 
懸念どおり、起きるのがツライのなんのって。
でも予約したのに観に行かないなんてもったいないことはできません。
Netflix独占配信で、話題性も評判も高い本作を鑑賞。
209分の大長編、休憩なしのノンストップ。
睡魔にも尿意にも襲われなかったのが凄い。
 
原作はチャールズ・ブラントが2004年に発表したノンフィクション。
第二次世界大戦後アメリカの裏社会の盛衰が描かれています。
原作のタイトルは“I Heard You Paint Houses”、洒落てません?
直訳すると「おまえは家にペンキを塗るそうだな」なわけですが、
「ペンキを塗る」って、つまりは血で家を染めるということなのですよね。
 
「ペンキ塗り」と称されるのは実在の殺し屋。
ロバート・デ・ニーロ演じる殺し屋がその生涯を振り返る形で物語は進行します。
 
1950年代のフィラデルフィア
アイルランド系アメリカ人のフランク・シーランは全米トラック運転手組合の一員で、
イタリア系マフィアに商品を横流ししたために窃盗罪で起訴される。
しかし、客の名前を頑として吐かなかったことが組合とマフィアに評価され、
組合の弁護士ビル・ブファリーノが彼の無罪をもぎとり、
ある地域のマフィアのボスである従兄ラッセル・ブファリーノに紹介。
ラッセルはフランクを気に入り、今度は組合長のジミー・ホッファと引き合わされる。
 
ジミーの信頼も得たフランクは、家族ぐるみで付き合うように。
一方でマフィアからの殺しの依頼を受けると即座に片付ける。
 
1960年、ジョン・F・ケネディが大統領に。
その弟ロバート・ケネディは、兄から任命を受けて司法長官の座に就くと、
かねてから嫌っていたジミーを詐欺罪で追求。
ジミーが刑務所に入っている間に組合の様相は変わり、
組合内で対立していたトニー・プロとジミーの関係は修復不可能となる。
ジミーはリチャード・ニクソンによって釈放されたものの、組合活動は禁止され……。
 
監督マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの共演。
ここにジョー・ペシとハーヴェイ・カイテルも加わって、重厚な雰囲気がたまらん。
インダストリアル・ライト&マジックという会社の特殊効果により、
フランクの若い頃も老いてからもデ・ニーロがひとりで演じきっています。
そのせいもあるのか、フランクの人生を見せられている間に
同時に50年にわたるデ・ニーロの俳優人生をも見せられているようで感慨が押し寄せる。
 
エンディング曲はインストゥルメンタルなのに、
ハーモニカとギターの音色を聴いているだけで泣きそうに。
マフィアに雇われた殺し屋は、命じられればどんな相手でも殺さなければならない。
人間的に惹かれていたジミーを殺さなければならなくなったときのフランクの表情。
正面からは撃てなかったでしょう。
 
這って劇場へ行った甲斐がありました。すごく良かった。

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