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『マリッジ・ストーリー』

2019年12月15日 | 映画(ま行)
『マリッジ・ストーリー』(原題:Marriage Story)
監督:ノア・バームバック
出演:スカーレット・ヨハンソン,アダム・ドライヴァー,ローラ・ダーン,
   アラン・アルダ,レイ・リオッタ,マーク・オブライエン他
 
Netflix独占配信の作品が増えましたよねぇ。
劇場とTSUTAYA DISCASでじゅうぶんと思いつつ、
Amazonプライムビデオにも手を出し、
先週はついにNetflixにも登録しかけたのですが、
前週まであったはずの30日間無料体験がなくなっている。
一旦登録してしまったら今後も無料体験できないわけでしょ。
とりあえずいま登録するのは止めることにしました。
 
で、がっかりしたその翌日。
月曜日が1,100円のイオンシネマで何を観ようか物色していたら、
Netflix独占配信前の本作が上映中ではないですか。
そりゃNetflixに登録して観るほうが単価は安いけど、
せっかく劇場で観るチャンスを逃したくはなくて、イオンシネマ茨木へ。
 
アダム・ドライヴァーの顔が苦手なんです。
アメリカではこういう顔がモテるんだろうかと毎度不思議に思う。
でも出演作はほぼ例外なく面白いんですよね。
絶対見たくないほど嫌な顔というわけでもないからついつい観てしまうのです。
“スター・ウォーズ”のカイロ・レン役は置いておくとして、
『ブラック・クランズマン』(2018)はめちゃめちゃ面白かった。
 
そしてたまに、この人イイかもとも思わされてしまうのです。
『パターソン』(2016)がそうでした。
本作の彼はそれ以上によかった。
苦手な男性の顔のどアップを見て泣いてしまうなんて。
 
人気舞台監督のチャーリーと劇団の看板女優ニコール。
可愛い一人息子ヘンリーにも恵まれて幸せな日々を送っていたはずが、
いつのまにかすれ違うようになり、離婚を考える。
 
女優として躍進中のニコールにドラマ出演の話が舞い込み、
ニコールは撮影の期間中という約束で実家のあるロサンゼルスへ。
ニューヨークで暮らすチャーリーは一時的な別居と捉えていたが、
ニコールには戻る気がなく、ヘンリーもロスの小学校へ転校させる。
 
誰も介さずふたりで離婚の話を進めるつもりが、
知人から弁護士ノーラを紹介され、なんとなく頼むことに。
弁護士を介した瞬間に円満な協議離婚はどこへやら、
裁判も辞さない泥沼離婚の様相を呈してきて……。
 
アダム・ドライヴァー演じるチャーリーと、
スカーレット・ヨハンソン演じるニコール、どちらも善人なんです。
嫌いになったわけじゃない、円満に離婚して友人としてつきあいつづけたい。
よく聞く台詞ではあるけれど、ふたりとも心底そう思っている。
ヘンリーの養育権についても五分五分でふたり同じにと考えている。
 
でも弁護士にとっては勝たなければ意味がない。
相手のどんな些細な話も見逃さず、でっちあげられそうなことにはすぐ飛びつく。
やり手の弁護士役のローラ・ダーンレイ・リオッタのバトルを見て、
唖然呆然とする当の夫婦は何も言えないまま。
 
アメリカの離婚事情にはいつも興味を惹かれます。
ロサンゼルスかニューヨークか、どちらで裁判になるかも大事。
 
途中のニコールが何気なくチャーリーを気遣うシーンが好きでした。
チャーリーの靴紐がほどけているのを見て「ちょっと待って」と結んだり、
弁護士を交えての話し合いの場で出前のメニューを決められないチャーリーに代わり、
「チャーリーは、そうね、これとこれ」と言うニコールには、
「困った人ね感」も「やってやってる感」もない。
チャーリーもそのことを嫌だと思っていないし、当たり前のように受け入れているのです。
 
本作に関してはネタバレになりそうなことは言いたくありません。
オープニングとエンディングが秀逸で、
あれほど好きではないと思っていたアダム・ドライヴァーの表情にジワーン。
 
確かに、劇場で観なければ醍醐味がないような派手なシーンは皆無だけれど、
それでも本作を劇場で観ることができてよかった。
 
相手の好きなところ、書き出してみましょう。

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