夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『熱帯魚』

2019年10月15日 | 映画(な行)
『熱帯魚』(原題:熱帯魚)
監督:チェン・ユーシュン
出演:リン・ジャーホン,リン・ツェンスン,シー・チンルン,ウェイ・イン他
 
台風が関東を直撃した先週の土曜日、晩ごはんは祇園のお店を予約していました。
お店から台風ゆえに閉めるという連絡がないかぎり、行かないわけにはいかん。
大阪や京都は百貨店など普通に営業するようだけど、
JR京都線は14:00頃から新快速を運休するとの告知。
阪急や京阪も場合によっては運転を見合わせるとのことだから、
止まる可能性も考えて日中に京都入りしておくことにしました。
そうすれば、車で向かうダンナと電車で向かう私と、
ふたりともが店に到着できないということにはならないし。
とにかくふたりともケータイを所持していないため、大変です(笑)。
それは私たちに連絡を取れないお店も同じだと思うのですけれど。すみません。
 
で、京都の映画館でできるだけ雨に濡れずに着けるところへ行きたい。
阪急烏丸駅すぐの京都シネマの上映スケジュールを調べたら、
あららん、ずいぶん昔の台湾作品が何本かかかっている様子。
確かDVDでは観たはずだけど、劇場では観たことがない。これに決定。
 
エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンと、
21世紀の台湾映画とをつなぐ90年代の最重要作品、
デジタル修復をへて遂に初の同時上映が実現!」だそうで、2本を上映。
これはそのうちの1本、1995年の作品です。
 
高校受験を目前に控えた中学生ツーチャン。
模試では目標の成績に遠く至らず、先生から厳しく叱られてばかり。
同じく勉強が苦手な父親も自分のことは棚に上げ、息子に小言。
 
ある日、級友とゲームセンターで遊んでいたツーチャンは、
私服で見回りをしていたとおぼしき警官に捕まるが、実はこいつは元警官。
退職して会社を興したものの資金繰りに困り、誘拐を計画していた。
その日は何事も起きなかったが、後日、ゲーセンで見かけた小学生ワンが奴に連れ去られるのを見かけ、
咄嗟に追いかけたツーチャンはワンと共に拉致監禁されてしまう。
 
ワンは養子で両親から見放されているらしく、金は要求できない。
ツーチャンの自宅に電話をかけて身代金を要求するが、受け取りに失敗。
主犯の元警官社長はなんとその帰りに車に撥ねられて死亡。
社長の部下アケンは少年2人をどうすればよいかわからず、
悩んだ末に台北を離れて田舎の実家に2人を連れて行くのだが……。
 
ぽや〜んとしたボンクラなんです、このツーチャン。
対するワンはもうちょっと賢そうだけど、チビで生意気なデブ。
誘拐されて両手両足を縛られて段ボールの中に入れられていても「お腹すいた」。
こんな2人を図らずも引き取ることになったアケンも阿呆丸出し。
 
事情を知ったアケンの母親をはじめとする家族は、
口をきこうとしない娘しかまともではなく、
誘拐を続行して身代金を取ってから返そうと考えます。
でもツーチャンが受験生であることを知り、
アヤンはとにかく受験に間に合わせたい、ここで勉強させたいと願う。
この辺りは、ろくに勉強してこなかったせいで良い人生を歩んでいないアヤンが、
ツーチャンに自分のような人間になってほしくないと思っているのが見て取れます。
 
誘拐事件として都会の人たちが騒ぎ立てているのに、
ツーチャンもワンも田舎暮らしが楽しくて仕方がない。
ちょっとした脱力系で面白いけれど、ヘヴィーな問題もはらんでいる。
軽く観るだけにはとどまらない作品でした。
 
空に浮かぶ熱帯魚、とてもいいシーンです。
夢をあきらめちゃ駄目だって。
 
そういえば、冠水した家で水にちゃぷちゃぷ浸かりながら
普通に食事している姿がなんとも言えん光景です。
タイ人は洪水のときにボートを浮かべて遊んだり、
校舎の屋上から先生も生徒も一緒に飛び込んではしゃいだりすると、
タイに出張の多いダンナが言っていました。
日本のように水流の激しいところでは絶対無理でしょうが、
お国柄を思って不思議な感じがします。

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