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『あちらにいる鬼』

2022年11月17日 | 映画(あ行)
『あちらにいる鬼』
監督:廣木隆一
出演:寺島しのぶ,豊川悦司,広末涼子,高良健吾,村上淳,
   蓮佛美沙子,佐野岳,宇野祥平,丘みつ子他
 
申し訳なくも瀬戸内寂聴をどうにも受け入れられないのです。たぶん生々しすぎるから。
そこへ来て、寺島しのぶの坊主頭のポスター写真。
まったく惹かれないし、彼女とトヨエツの絡みも見たくない。
だけど原作者の井上荒野は好きなんです。
仕事帰りに寄れる劇場では他に観るものもないことだし、行っとくか。
イオンシネマ茨木にて。
 
井上荒野が自身の両親と瀬戸内寂聴をモデルにして綴った同名小説を映画化。
廣木隆一監督の作品は、好きなものもあれば、好きになれないものも。
本作はどちらかといえば後者なのですけれど、キャストがしっくり来ないせいなのかも。
 
1966年、作家の長内みはる(寺島しのぶ)は、
同じ講演会に講師として登壇した同業者の白木篤郎(豊川悦司)に興味を抱く。
篤郎は既婚者、みはるも男と同棲する身だったが、男女の仲に。
 
って、これだけじゃあないか、あらすじに書くと。(^^;
 
白木篤郎のモデルとなっているのが井上荒野の父親・井上光晴なのですが、
ま〜これが女好きも女好きの色男で、彼に惹かれない女はいない。
手当たり次第に声をかけ、相手が多少ブスでもヤレればいい風です。
 
凄いのが広末涼子演じる篤郎の妻・笙子。
どうしようもない夫の女癖をすべてわかっていて、声を荒らげることなど全然ない。
そればかりか夫の浮気相手が自殺を図って入院すると、花を買って見舞いに行く。
その態度は決して上からではないものだから、相手もどうしていいのか困ります。
 
売れっ子作家の篤郎の著作は実は笙子が書いていたという内輪話は、
まるで『天才作家の妻 40年目の真実』(2017)のようですが、
笙子の場合は別に嫌々夫に代わって書いていたわけではないのですよね。
こんな夫を持ったことを後悔しているのかいないのか、書くことで消化しているようです。
 
こうして感想を書いてみると、結構面白かったように思えてくるのですが、
本作でのトヨエツと広末涼子の歳の差がたったの5つ(実際は18歳差)で、
トヨエツ40歳、寺島しのぶ44歳の役と言われるとバリバリの違和感。
私の中では、ありえない年齢の設定がひっかかりすぎて、ずっと冷めた目になってしまう。
今さら寺島しのぶのヌードも見たくないし。
 
私はやっぱり美しいものを映画で観たいのです。これに尽きると思った作品。
しかしよくよく考えてみると、美しくないから好きじゃないとも思えず、
生々しすぎるから好きじゃないとも思えず。
だって生々しさでは『火口のふたり』(2019)なんかのほうがえぐいし。
となると、オッサンオバハンという点がひっかかるのでしょうか、私には。
 
ひとつひとつの演技や話は面白いことを思えば、キャスティングが気にかかる。
つまりはこういうキャスティングをする廣木監督が私は苦手。そういう結論に。

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