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『さらば愛しきアウトロー』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の26本目@なんば)

2019年07月24日 | 映画(さ行)
『さらば愛しきアウトロー』(原題:The Old Man & the Gun)
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:ロバート・レッドフォード,ケイシー・アフレック,ダニー・グローヴァー,
   チカ・サンプター,トム・ウェイツ,シシー・スペイセク他
 
今回のフリーパスで席数上限にひっかかったのは前日が初めて。
翌日雪辱戦と思ったけれど、この日は14日のTOHOシネマズデー。
雪辱戦も何も、出陣前にネットで確認したら、狙っていた作品はすでに完売。
だったら梅田へ行っても仕方ないなぁ、
梅田で朝イチの『トイ・ストーリー4』の字幕版の雪辱戦だけにするか、
でもまた果たせずに悔しいことになるのかなぁ、などとぶつぶつぶつぶつ。
 
とりあえず車を走らせ、梅田かなんばか迷うこと10分。
なんばまで行ったところで同じくTOHOシネマズデーなわけだから、
どうせ撃沈やんなぁとまだぶつぶつつぶやきながら、
それでも選択肢は多いなんばに行くことに決めました。
 
朝8時半にもなっていないというのに、劇場は結構混雑している。
有人窓口で「無理だと思うんですけれど」と
まず『トイ・ストーリー4』の字幕版を挙げてみる。
「行けますよ」と意外な返事にヤッホー。
続いてもう残席が少なくなっていた本作も挙げてみると、「これも大丈夫です」。
 
ロバート・レッドフォードが本作を最後に俳優業から引退すると宣言しています。
レッドフォードもその可能性がないとも言いきれませんが、どうでしょう。
 
実話に基づく。
 
1980年代初頭。一見ダンディな老齢の男だが、現役の銀行強盗
銀行に入ると行員にちらりと拳銃を見せるのみ、
手荒いことは何もせずに金を奪って逃げるのが彼のやり方。
被害に遭った銀行員は警察の取り調べに皆こう言う、
「紳士的だった」「礼儀正しかった」「幸せそうだった」と。
 
ある日の犯行後、逃走中に出会ったのが未亡人ジュリー。
その男は仕事を問われて銀行強盗だとジュリーに話すが、
身なりのいい老紳士が本当にそうだとは信じられるはずもない。
一笑に付したジュリーは彼に好感を持ち、連絡先を教えるのだが……。
 
カネに執着していたわけではない。ただ脱走と銀行強盗を楽しんでいただけ。
共感できる部分はまったくありません。
身体的には誰も傷つけていないとはいえ、
銃を見せられて金を詰めさせられたり車を奪われたりした人たちは
それはそれは怖い思いをしたはずですから。
 
クリント・イーストウッドの『運び屋』(2018)を観たときに通ずる思いがあります。
男のロマンがわからんかと言われたとしても、別にこんなロマン、わかりとうもない(笑)。
本作には何のメッセージ性もないし、映像を見て何かが琴線に触れることもない。
ただたただ「ロバート・レッドフォードを懐かしむ作品」だと思います。
 
彼はとても良い役者なのに、美形すぎて損したフシがある。
二枚目ゆえに脇役の二枚目とはいえない役者たちに存在感を持って行かれたこと多々。
そういう悲哀を感じながら、感謝もしながら、これを観るのが良いのでは。
 
ジュリー役のシシー・スペイセクも長く『キャリー』(1976)のイメージに囚われた人。
40年経ってもうじき70歳という今になってようやく、
そのイメージから完全に脱却できたかなと思います。
そう考えると、この配役により悲哀と感謝と慰労の念をおぼえます。
 
引退宣言、いつでも撤回していいですからね。
「気が変わった」と言うのをお待ちしています。

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