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『マルモイ ことばあつめ』

2020年07月28日 | 映画(ま行)
『マルモイ ことばあつめ』(英題:Malmoe: The Secret Mission)
監督:オム・ユナ
出演:ユ・ヘジン,ユン・ゲサン,キム・ホンパ,ウー・ヒョン,キム・テフン,キム・ソニョン他
 
京都シネマで3本ハシゴの2本目。
 
韓国の作品。
史実を基にしたフィクションです。
 
1940年代、日本統治下の京城
日本語教育が進められ、朝鮮語を話すことができない子どもたちが増えている。
生まれながらの名前も日本式の名前に改名することを推奨される。
 
朝鮮語学会代表のリュ・ジョンファンは、失われゆく朝鮮語を守るため、
朝鮮語の辞書を作ることを決意。
自らが営む書店を隠れ蓑にして事務所を設け、
志を同じくする学者や記者たちと共に日々ことば集めに尽力している。
 
ある日、辞書作りに携わる学者チョ・ガプインが助っ人だと言って男を連れてくる。
男は数日前にジョンファンの鞄を盗もうとしたキム・パンス。
泥棒を雇うつもりはないと憤るジョンファンをガプインがなだめて言うには、
パンスが盗みを働こうとしたのは息子の学費を工面しようとしてのこと。
生真面目なジョンファンとお調子者のパンスはまったく相容れないが、
パンスは雑用係として学会事務所に出入りするように。
 
相変わらずちゃらんぽらんなパンスに呆れていたジョンファンは、
あるときパンスが非識字者であることに気づく。
パンスに1カ月で文字を覚えるように約束させると、
最初は渋面を見せていたパンスがやがて文字を読み書きできる楽しさを知り……。
 
辞書作りの映画といえば『舟を編む』(2013)。
原作と共に大好きな作品ですが、それとこれとでは背景がまるで違う。
辞書なんて売れないと出版社が経費を削減することはあっても、
自分の国にいるのに自分の国の言葉を話すことが許されず、
辞書を作っていることがバレれば殺されるかもしれないわけで。
 
反韓思想を持つ人が観れば腹を立てるだろうし、
反日思想を持つ人が観れば、より日本を嫌いになることでしょう。
でも、そういう問題ではないと思うのです。
普通に、自分の国の言葉を守ろうとした人たちの物語として観たい。
 
私たちは日本で日本語を取り上げたことはないのですから。

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