夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』

2020年03月03日 | 映画(さ行)
『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(原題:The Peanut Butter Falcon)
監督:タイラー・ニルソン,マイケル・シュワルツ
出演:シャイア・ラブーフ,ダコタ・ジョンソン,ジョン・ホークス,ブルース・ダーン,
   ザック・ゴットセイゲン,ジョン・バーンサル,トーマス・ヘイデン・チャーチ他
 
同じくイオンシネマ茨木にて。
 
批評家から絶賛されていると聞けば、小難しい作品なのではと心配になりますが、
これは全然そんなことない。清々しい作品です。
 
ダウン症の青年ザックは、プロレスラーになるのが夢。
悪役“ソルトウォーター・レッドネック”の大ファンで、
彼のレッスンビデオをざっと千回は観ている。
どうしてもソルトウォーター・レッドネックのスクールに入って指導を受けたい。
 
しかしザックは養護施設に入居中。
家族に見放された彼は、主に老人介護施設として成り立っている施設に入れられ、
外出はいっさい許されていない。
インテリの美人介護士エレノアは優しくてザックと仲良しだが、
彼女に頼んでも施設の外へは出してもらえそうにない。
 
ある日、入居者の老人カールの協力を得て脱出に成功したザックは、パンツ一丁で走る。
人目を避けて停泊中のボートに隠れるが、そのボートが動きはじめてびっくり。
操縦者はならず者の漁師タイラー。
彼は地元の漁師の獲物を盗んだためにトラブルとなり、
腹いせにその漁師たちの道具に火をつけて逃げていたのだ。
 
ザックを見つけたタイラーもびっくり。
追っ手をまいてからザックと別れようとするが、ザックがついてくる。
放っておけずにプロレスのスクールまでザックを連れて行くことにするのだが……。
 
もともとわりと好きなんです、シャイア・ラブーフが。
でも、ならず者というのは映画の中だけのことではなく、
本作の撮影中にも酔っぱらって騒ぎを起こし、続行が危ぶまれたとか。
しかし、実際にダウン症のザック・ゴットセイゲンが、
幼い頃からの夢を叶えて俳優としてデビューしようとしている。
それを自分のせいで駄目にしたらあかんやろと思い直して真っ当に臨んだそうな。
 
施設でザックのことをうすのろ呼ばわりする職員たちと、
優しく接していても実は上から見ているエレノアと、
結局は同じだというタイラーの言葉にハッとさせられます。
特別扱いはしないタイラーとザックの珍道中に私たちも夢を見る。
 
良い作品でした。

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