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きょうの潮流

2017-08-25 | コラム

まだ、公民権運動の高揚が続いていた頃でした。朝日新聞の記者だった本多勝一さんは米国南部を車で走っていたときに銃撃されました。黒人写真家との同行取材中に▼差別が鮮明に表れた当時。警官の嫌がらせ、ホテルの宿泊拒否、食堂で白人の客から浴びせられた暴言…。つねに恐ろしい「南部の目」で射すくめられたという本多さんのルポは、黒人の置かれている状況を衝撃とともに伝えました▼世紀は移っても、この国の根深い人種問題は形を変えて今に。白人警官による相次ぐ黒人射殺事件は新たな対立を呼び起こしました。それでも、さまざまな民族や肌の色が集う移民の国は、少しずつ多様な価値観を受け入れ、共存の道を進んできました▼南部の極右集会で起きた衝突。白人至上主義者を擁護したトランプ大統領の発言は、国の歩みを後退させるものです。ことは奴隷解放までさかのぼって人種差別をあおるもの。批判は政財界や軍関係者にも広がっています▼「人は生まれながらにして肌の色や生い立ち、宗教を理由に他人を憎むことはない。憎むことを学べるなら、愛することも学べるだろう」。南アのマンデラ元大統領の言葉を引いたオバマ前大統領のツイッターには史上最多の“いいね”が集まりました▼全米各地の抗議集会。参加者の中にはトランプ氏を支持してきた人の姿も。衝突で亡くなった女性の父親は訴えます。「娘は人びとを愛し、平等を求めていた。彼女は亡くなった日、憎しみとたたかおうとしていました」


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