「大臣はまず謝って」「一刻も早く全面解決を」―。アスベスト被害の国の責任を認めた最高裁判決から一夜明けた10日、大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟の原告団・弁護団は、首相官邸や厚生労働省前などで、終日宣伝を行いました。
原告や弁護団などは、マイクを握って次々と訴えました。原告の武村絹代さん(58)は、「国の責任が認められ、うれしいと同時に、被害者が線引きされたことに憤りを感じています」と発言しました。
判決は、国の責任について、1971年までは認めましたが、それ以降は退けました。そのため、原告89人のうち、7人が救済の対象外に。そのひとり、岡田陽子さん(58)は両親がアスベスト関連工場で働き、工場と隣り合わせの社宅で生まれ育ちました。今は、酸素ボンベが手放せません。
「アスベストは、労働者かどうかに関係なく体をむしばみます。突然、病気になり、生活を壊されました。全員救済するよう国は動いてほしい。あきらめません」と話します。
「国は差別なく救済して」と厚労省前で訴えた原告、南和子さん(71)は、周辺住民との理由で上告が受理されませんでした。
「工場は24時間稼働し、地域もアスベストの粉じんまみれでした。最高裁の判決には光を見ましたが、全員が救済されるまでがんばります」
原告団・弁護団は、(1)国による謝罪(2)政治決断による速やかな賠償(3)救済のための協議の場の設置を求めています。
原告9人と弁護団は同日午後、厚労省大臣官房の小林洋司総務課長と面会。原告らが協議の場の設置などを求めたのに対し、小林課長は15日に回答することを約束しました。
宣伝行動には、建設アスベスト訴訟原告団や公害患者団体なども参加。日本共産党の仁比聡平、田村智子の両参院議員が連帯あいさつしました。