国際援助団体調査
世界の大企業トップ10の総売上額が世界180カ国・地域政府の歳入を上回る―。衝撃的な事実が国際援助団体、オックスファムの調査でわかりました。
調査は2015年の統計と民間調査データをもとに、大企業の売上高と国・地域政府の歳入を比較したものです。国・地域政府の下位180カ国には、インドネシアや南アフリカ、ポーランドなどが含まれます。
大企業側では小売業世界最大手の米ウォルマート社の4821億3000万ドルがトップ。日本企業ではトヨタ自動車が2365億9200万ドルで8位に入りました。
調査によると企業上位10社の売上高合計の2兆8566億ドルに対して、下位180カ国・地域政府の歳入合計は2兆8091億7000万ドルと大企業側が上回りました。
世界トップ10の大企業 最低賃金・税逃れ・優遇税制
ばく大な売上高支える
世界の下位180カ国に匹敵する売上高を上げている世界トップ10の大企業―。一体どのような経営で莫大(ばくだい)な売上高を支えているのでしょうか。
ウォルマートでは、多くの労働者が最低賃金の水準で働かされています。ウォルマートには団体交渉の手続きについて定めた全国労働関係法(NLRA)に基づいた合法的に使用者と交渉できる労働組合はありません。労働政策研究・研修機構のリポートによると、かつて「食肉販売部門の労働者が労働組合によって組織され、合法的な団体交渉権を手にしたことがかつてあったが、その際に経営側は食肉販売そのものを取りやめることで、労働組合との交渉を阻止した」とされています。
米民間団体「公平な税金のための米国人」(ATF)の報告によると、米ウォルマート社が、世界各地にある15カ所のタックスヘイブン(租税回避地)に78の子会社や支店をつくり、760億ドル(約9兆3600億円)相当の資産を置いて課税を逃れています。
売上高が9位の米アップル社は欧州各国で得た利益を法人税率の低いアイルランドの子会社に移転するなどで、各国での徴税を回避。アイルランドにおけるアップルの法人実効税率は0・005%にすぎません。
日本で1位、世界でも8位の売上高を誇るトヨタ自動車は、08年度から12年度の5年間にわたって法人税を1円も払っていませんでした。生産を海外に移転し、海外子会社からの配当を非課税にする制度や研究開発減税など大企業優遇税制を受けていたからです。
極度に達している格差と貧困を解決するためには、大企業のもうけのしくみにメスを入れ、ふさわしい社会的責任を果たすことが必要です。