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南英世の 「くろねこ日記」

全部読んだ

今年に入って法学部関連の本を買いあさった。
憲法、民法、商法・会社法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法などこれまでに20冊ほど読んだ。

最新の六法全書を買い、今回改めて勉強しなおしてみて、最近の10年、20年の間に、法律も随分変わっているのを知って驚いた。特に、この4月からは民法が大幅に改正される。本屋に行くとその手の本が山積みになっている。法曹関係者も大変だあ。

また、行政法が憲法と並んで重要であることを知ったことも新しい発見だった。確かに行政法はいわゆる「六法」には入っていない。しかし、六法に入っていないことは行政法の重要性が六法に劣ることを意味しない。国家権力の中で一番人権を侵しやすいのは行政であり、法で権力をコントロールし、国民の権利利益を保護するという意味で行政法は憲法と並んで非常に重要である。

ところで、民法典や刑法典などと違って、まとまった「行政法」という法典があるわけではない。代表的な行政法の具体例として、たとえば次のような法律がある。

内閣法、国家行政組織法、国家公務員法、地方自治法、地方公務員法、警察法、警察官職務執行法、行政代執行法、国税通則法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、入管法(出入国管理及び難民認定法)、国家賠償法、都市計画法、大気汚染防止法、騒音防止法、道路交通法、地方税法、道路運送車両法(車検について定める)、情報公開法、食品衛生法、風営法など

行政法は我々の日常生活の中にある。たとえば建築物を建てるには都市計画法に従わなければならないし、飲食店の出店には食品衛生法により知事の許可が必要である。パチンコ店の出店には風営法により公安委員会の許可がいるし、税金に関する法律も行政法である。しかし、その一番身近にある法律が実は一番よくわからない。

裁判官も行政法に精通している人は少ないといわれる。そうしたこともあって、裏の裏まで知り尽くした官僚が下した行政判断に対して、裁判官が「ノー」を突き付けることは口で言うほど簡単ではない。その結果、裁判では行政の専門家である「官僚」が行なった判断が尊重される傾向がある。

生活保護を役所に申請しても、窓口で受け付けてもらえないことが多いと聞く。たとえ裁判所に訴えたとしても、現在の法律では「支給しろ」という判決は出せない。せいぜい「役所に拒否されたこと」を取り消し処分にしてもらえるだけである。行政訴訟の大半は取消を求める訴訟なのである。
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