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南英世の 「くろねこ日記」

徒然なるままに、思いついたことを投稿します。

ハーバード大学

2021年10月31日 | 日常の風景

一仕事区切りがついたので次の仕事に取り掛かる前に、廣津留すみれさんの書いた ”ハーバード・ジュリアードを首席外業した私の「超・独学術」”を読んだ。

ハーバード大学1学年1600人中、日本人はたったの3人。この本を読んでハーバードの受験手続は全部日本にいてできることを初めて知った。

・3年間の高校の成績、学年順位、推薦状、SAT(米国の科目別大学進学適性試験、全科目英語で実施)

・課外活動の成果

・エッセイという小論文2本(恐ろしくハイレベルな内容でかなり重視される)

・面接はスカイプで実施。

30年ほど前、三国丘高校の生徒で、日本には環境問題をきちんとやっている大学がないという理由でアメリカのボストン大学に入学した生徒がいた。あの時、大学もいよいよ世界から選ぶ時代がやってきたのかと驚いたのを覚えている。

廣津留さんがハーバード受験のためにどんなことをしたか? そんな興味からこの本を買ったのだが、基本的には普段私がやっていることと同じだった。

① 毎日 ”TODO” リストを作り、優先順位を決めてやったタスクは上から順番に消していく。

② 5分の隙間時間を有効に使う。1分たりとも無駄にしない。

③ 遠い将来を夢見るより、今をしっかりやる。

「ハーバードでは正解を創造することが求められるのに、日本人は自分の頭で考えようとしない。」

この指摘が、次の仕事に関連して面白かった。


オーダーメイド教育

2021年10月27日 | 日常の風景
AO入試、特色入試の申し込みが11月1日から始まるところが多い。今はその指導の真っ盛り。昨日も、メールで添削作業に当たった。800字で書かれたものが3本。1本につき少なくとも1時間はかかる。おかげで予定していた仕事がぶっ飛んだ。
 
もちろん無報酬。
そんなことしているから教師は定額働かせ放題といわれるのかもしれない。わかってはいるが、やっぱり頼まれたら断れない。生徒が喜んでくれれば・・・
論文指導は究極のオーダーメイド教育。
きっと一生心に残るはず。金銭には代えがたいか。

ライフワーク

2021年10月26日 | 日常の風景

 

大きな仕事が新規で入った。

1年はかかるかもしれない。

今抱えている原稿を書き上げたら、すぐ取り掛かるつもりでいる。

その仕込みも兼ねて20冊ほどAmazonやメルカリで本を注文した。

連日、本が送られてくる。

今度の仕事は40年間の集大成、

たぶんライフワークになるだろう。


小噺 先代の借金

2021年10月22日 | 日常の風景

 

お金に困っている国民に国が手を差し伸べた。

国 :10万円上げましょう。

国民:こりゃ有難い、でも借金するとあとで返すのが大変だ―。

国 :いえいえ、返さなくてもいいんです。

国民:本当かい?

国 :国が嘘をつくはずがございません。

国民:そんならもらっちゃおうかな。

・・・・・

・・・・・

数日後、「メロンでございます。請求書です」と、20万円の借金返済の督促状が届いた。

国民:話が違うじゃないか。返さなくてもいいという約束だったはず。しかも、10万円ではなく20万円も・・・

国 :はい、これは先代が残した借金の返済です。

 

 

おあとがよろしいようで。


岸田総理に期待する

2021年10月05日 | 日常の風景

自民党にはタカ派の清和会とハト派の宏池会という二つの派閥がある。2000年までハト派の宏池会(現岸田派)と経世会(旧竹下派)が主流派だった。両派は経済成長を追求しその果実を国民に広く分配する政治を重視してきた。その結果、日本は「一億総中流」と呼ばれる貧富の格差が小さい社会になった。

 ところが、2001年、タカ派の清和会に属する小泉純一郎氏が大きく方向転換を行った。規制緩和を推進し「強い者がより豊かになる」競争主義を加速させた。その結果、貧富の格差が急拡大した。2009年行き過ぎた新自由主義政策への反発から政権交代が起きた。しかし、民主党の政治は国民を失望させる結果に終わった。

小泉氏の政策は安倍氏に引き継がれた。「アベノミクス」の下で株価は上昇し、大企業や富裕層が潤う一方、労働者の実質賃金は上がらず、貧富の格差はさらに拡大した。

下のグラフを見ればトリクルダウンは起きておらず、アベノミクスなるものが庶民目線で見れば完全に失敗であったことがわかる。

岸田氏は宏池会会長である。公約で「小泉政権以来の新自由主義的な政策を転換する」と述べ首相に選ばれた。野党に多くを期待できない中、自民党内における疑似政権交代ともいえる。岸田首相には宏池会の精神を生かし、行き過ぎた競争政策の是正と格差是正に取り組んでもらいたい。今朝の新聞を見ていたら「分配なくして成長なし」の見出しが目についた。

また、「1億円の壁」という金融所得課税について考えてみる必要があるとも述べている。富裕層は株の売却益や配当による所得が多い。しかし、こうした金融所得には累進課税(最高税率45%)は適用されず、一律20%どまりである。だから、所得が1億円を境に所得税の負担率が下がっていく。

多くの国民はこの事実を知らない。都合の悪い情報は隠される傾向がある。20年間続いた「強い者がより豊かになる」政策を転換し、日本社会に「分厚い中間層」を再び呼び戻してほしい。岸田内閣の手腕に期待したい。

 


統合政府という考え方

2021年10月04日 | 日常の風景

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年度の一般会計における歳出合計は約160兆円となった(第二次補正予算後)。これに対して歳入は税収等が約70兆円、公債金収入が約90兆円であった。この結果、2020年度末の国債発行残高は1074兆円に達した。

この国債残高の償還をどうするのか。基本的には、

①経済成長による自然増収、

②歳出カット、

③増税

のいずれかで返済するしかない。しかし、常識的に考えてもう返還できる金額ではない。そこで今注目されているのが「統合政府論」という考え方である。日銀は政府の子会社であり、政府と日銀のバランスシートを合体させるというものである。

この考え方の強力な論者の一人に高橋洋一氏がいる。

統合政府論を大雑把に言うと、政府の借金1000兆円のうち、日銀が保有する500兆円分の国債はすでに相殺され、実質的な政府の負債は500兆円だというのである。なぜなら、政府と日銀のバランスシートを合体させると、政府の負債は1000兆円かもしれないが、日銀の資産が500兆円あるから、ネットの借金は差し引き500兆円だというのだ。したがって理屈の上では、政府が持つ負債をすべて日銀が買い取れば、政府の借金をゼロにすることも可能になる。また、政府が日銀に支払う金利も、のちに国庫納付金として政府の「税外収入」に繰り入れられるから相殺される。

では、消えてしまった借金はどこへ行ってしまったのか。それは買いオペによって生まれた日銀当座預金ということになる。わかりやすく言えば、日銀が輪転機を回して借金分だけお札を印刷したということである。

国債を欲しがっている人はいっぱいいる。その証拠に、10年満期の国債の金利は0.06%と非常に低い。債券の利回りと価格は反対方向に動くから、国債の金利が低いということは国債が非常に高値で取引されていることを意味する。まだまだ国債発行は足りないのだと高橋氏は主張する。

そんなに国債を発行して返済をどうするのかという疑問に対して、高橋氏は「借換債」が発行できなくなれば問題だが、今のところそんな状況にはなく、返済の心配は一切必要ないという。

こうした主張は日銀のリフレ派のみならず、反緊縮の経済学を説く学者・エコノミストに多く見られる。松尾匡立命館大学教授(専門は理論経済学、マルクス経済学)もその一人だ。

松尾氏は言う。「日本が財政危機にあるというのは新自由主義者によるまやかしの議論です。プライマリーバランスの目標は無意味です。現在、国債の約半分は日銀が保有しています。日銀は政府の子会社だという統合政府の考え方によれば、国債の半分はすでに返済を終えていることになります。なぜなら、日銀の金庫の中の国債は返す期間が来たら借換債を発行して、延々と返済期限を延ばすことができるからです。だから、政府は事実上お金を返さなくてもいいのです。政府が返さなければいけないのは、いまだに民間にある国債だけです。」(以上要約)

 

確かに「統合政府論」の考え方はそれなりに筋が通っている。しかし、その一方で「どうなんだろう?」という疑問がわく。何よりも、ブタ積みされている日銀当座預金が際限なく増加していけば、何かのきっかけでその紙幣が引き出され、ハイパーインフレを引き起こすのではないかという心配がある。そうした事態を防ぐには、日銀当座預金にマネーを閉じ込めたままにしておく必要がある。そんなことが果たして可能なのか。

また、もし「税の不足分を借金で賄ってもよい」とする統合政府論の考え方が正しいとするなら、理論的には税をゼロにしてすべて借金で賄ってもいいはずである。しかし、世界には無税国家などというものは存在したためしがない。統合政府論は借換債が発行できる限りにおいて成立する一時しのぎの理論でしかない。

 

(PS)

2022年7月に発表された竹中正治龍谷大学教授の論考が、統合政府論の誤りを見事に指摘しておられるので紹介しておきたい。

https://blog.goo.ne.jp/minami-h_1951/e/bbbe6c8c28232ee70d8380a9ebda80b3

 

 

 


今日の1日

2021年10月03日 | 日常の風景

夜中にいろんなアイディアが湧いてくる。それを全部メモしておくのが南流仕事術だ。メモに書きだしたことを午前中いっぱいかけて一つひとつ実行した。そのあと財政関係の本を1冊読み終えるつもりでいたが、午後は集中力が切れた。なかなか、計画通りにはいかないものだ。
 
仕方がないから、近くの公園に行ってストレッチをして、そのあと風呂に入って、リポDを飲んで(笑)、冷房をきかせて気持ちを奮い立たせた。そうしたら集中力が戻ってきた。予定通り本を1冊読み終え、さらにエレクトーンの練習(「ある愛の詩」)もできた。これから疲れたら気分転換のために風呂に入るのもいいかも。
 
ここ数日、そろそろ原稿の執筆にとりかからないといけないと思いながら、なかなかその気になれず困っていた。なにごとも take off するときが一番エネルギーがいる。しかし、ここにきてようやくその気分が盛り上がってきた。
 
今抱えている原稿を仕上げたら、もう1本大きな仕事が入るかもしれない。それが入ったらこの世の置き土産としてライフワークのつもりで1年がかりで取り組むつもりでいる。
 
今、天王寺高校は定期考査期間のため6日までは授業がない。さすがに考査期間中は論文指導のメールは来ない(だろうと思っていたら来た!)。古希迎えこの世の旅路もあとわずか。来年の今頃は何をしているだろうか。
 
 

 


債券と利回り

2021年10月02日 | 日常の風景

先日、生徒から「利回りと債券価格が反対の動きをする」と教科書に書いてありますが、どういうことですか?という質問を受けた。確かにこれだけの説明ではわかりにくい。そこで、債券の基本についてまとめてみた。

 

株式と債券の違い
 株式は一般企業が投資家から資金を調達するために発行されるもので、広く知られています。一方、債券はおもに金融機関によって購入されるため、一般の人にはなじみが薄い存在といっていいかもしれません。ここでは債券について株式と比較する形で説明したいと思います。

 債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行するもので、国債、地方債、社債などの種類があります。債券も株式も資金調達手段であり、市場でいつでも売却できるという点では同じなのですが、次の3点で大きく異なります。

 第一に、返す義務があるかないかという点です。債券は「借金」なので返済義務がありますが、株式は基本的に返還義務がありません。
 第二に、債券購入の主たる目的は利子であるのに対して、株式購入の主たる目的は値上がり益や配当です。
 第三に、債権は償還日に額面金額が払い戻され、比較的安定的な性格であるのに対して、株式は企業の業績や景気変動の影響を強く受け、大きく値動きします。

 

利回りと債券価格は反対の動きをする
 利回りとは、投資金額に対する1年あたりの運用収益の割合のことをいいます。一般に、債券(社債や国債など)は発行された後、公社債市場で自由に売買でき、債券価格は需要と供給によって日々変化します。

いま、100円につき2円の利子が付く債券を購入したとします。この時100円投資して1年間の運用収益は2円ですから、

  利回り=(2円÷100円)×100

     =2%

となります。

もし、この債券を110円で購入したとすれば、利回りはどうなるでしょうか?

  利回り=(2円÷110円)×100

     =1.8%

と低くなります。つまり、債券価格が上昇すると利回りは低くなるのです。反対に、債券価格が値下がりすると利回りは上昇します。このように、利回りと債券価格は反対の動きをするのです。

 

不景気になると資金は株式市場から債券市場に流れる。
 景気がいいとき株式が買われます。しかし、いったん不景気になると資金は株式市場から債券市場に流れていきます。理由は、不景気になると政府は金融緩和をして金利を引き下げるためです。

 いま、あなたが所有している債券の利回りが2%だったとします。もし、不景気になって市場金利が1%に引き下げられれば、利回り2%の債券の方が市場金利より高くなり、債券を買いたいと思う人が増えます。その結果、不景気の時は債券が買われるのです。

 一般に、景気変動と株式・債券の間には次のような関係があります。

  好景気 → 株式が買われる。
  不景気 → 債券が買われる。

景気変動と株式・債券の価格変動を図で表すと次のようになります。


 すなわち、景気がいい時は株式が買われ、景気が悪くなると債券が買われるのです。債券は「不景気に強い」と言われるのはこのためです。

 金利以外に、為替レートも債券価格に影響を与えます。一般に、円高が予想されると債券価格は上昇します。なぜなら、円高になると海外の投資家が為替差益を狙って日本国債などを購入するからです。その結果、債券価格は上昇します。反対に、円安が予想されると債券価格は下落します。

生命保険会社、投資信託、年金基金などの機関投資家は、何十兆円という大量の資金を株式や債券で運用しています。たとえ0.001パーセントの金利差であっても、運用の仕方によっては何千万円・何億円もの収益差が出てしまいます。ファンドマネージャーの腕の見せ所です。

 

債券の格付け
 債券を発行する機関は、なるべく資金調達コスト(=金利)を安く債券を発行したいと考えています。一般に、金利と安全性の間には「安全性が高いと金利は低い」「安全性が低いと金利は高い」という関係があります。したがって、金利は国債、地方債、社債の順に高くなっていきます。

では、債券を発行する機関の安全性を誰が評価するのか? 答えは「格付け会社」と呼ばれる専門機関です。有名な格付け会社として、S&P、ムーディーズなど海外・国内に5社あります。格付け会社は世界中の企業から手数料を取って格付けの依頼を受け、その手数料を収益源としています。

 上の表からも分かるように格付けが高い債券は金利が低く、格付けが低い債券は金利が高くなります。BBBのデフォルト率は約2%で、BBになるとデフォルト率は約8%に跳ね上がります。一般に、BBB以上は投資適格とされ、BB以下は投機的(ジャンク債)とされます。ちなみに現在の日本国債の格付けはAとされています。