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南英世の 「くろねこ日記」

徒然なるままに、思いついたことを投稿します。

面接の受け方

2007年01月10日 | 日常の風景
 2007年01月10日

 私は面接を受けるのが下手だった。就職試験も大学院入試も、せっかくいいところまで行ったのに、いずれも最終の面接試験で落とされた。田舎者だったせいもあるが、それだけではなかったような気がする。要するに面接官から見て、何かが足りなかったのである。
 面接で求められているものとは何か。30歳を過ぎてようやく悟った。

第一に、ただ単に「入りたい」「入れてください」というだけではダメである。面接官のいちばん知りたいのは、中に入って何をやりたいのかという「哲学」に当たる部分である。入社して(あるいは入学して)何をやりたいのか。それを1時間でも2時間でも熱く語れること。それがもっとも重要なポイントである。そうした哲学は、一夜漬けや、その辺のマニュアル本を読んで簡単に身に付くものではない。長年、そのことについて考え続けてきて初めて、心の奥底からの叫びとなってほとばしりでてくる。付け焼き刃はすぐばれてしまう。

第二に、背伸びしないことである。有名企業や大学に入りたい気持ちは皆同じである。合格するために多くの受験生は、背伸びをして「今ある以上の自分」を見せようとする。しかし、それが失敗の元である。 背伸びをしてもすぐに見破られてしまう。決して背伸びをしてはいけない。「あるがままの自分の姿を見てもらうこと」である。もしそれでダメなら・・・・、神様が「あなたはそちらの方面には向いていない」というご託宣を下したものと思ってあきらめたほうがよい。

第三に、相手の目をしっかっり見て、明瞭な発音で、明るく答えることである。いくら心の中に「熱い思い」を抱いていても、それが相手に伝わらなければ面接は不成功に終わる。目線が宙を舞っていたり、小さな声でぼそぼそしゃべっているようでは、よい印象を与えることができない。短期間で発音を改善する方法としては、「アエイウエオアオ」「カケキクケコカコ」などと手鏡を見て練習する方法や、「おはようございます」というせりふを母音だけで「おあおうおあいあう」と発音してみるといった方法がある。いずれも短期間で効果が期待できる。是非試してみてもらいたい。

 以上三つのことがきちんとできれば、まあ、面接は合格としたものである。ところが、これまでたくさんの生徒の面接指導をしてきたが、ほとんどの生徒は、いちばん肝腎な「哲学」に当たるものが全く語れないのだ。いや、そもそも持っていないのかもしれない。

 何のために大学に行くのか。入学後何をしたいのか。卒業後、どういう夢を持っているのか。そうした基本的なことについて全く語れないのだ。英語・数学・国語などの学科ができることは必要条件であっても十分条件ではない。基礎学力を身につけた上で何をやりたいのか。そこが面接官の一番知りたいところである。 今の高校生は日本が豊かになって、「世のため、人のため」ということをますます考えなくなっているのかもしれない。

灰になるまで

2007年01月05日 | 日常の風景

 人生の知恵は様々な形で受け継がれていく。しかし、こと「性」に関する知恵はなかなか次の世代に正確に伝わらない。極端な話、親は子どもに言葉や社会的マナーは教えても、男女の秘儀は教えない。週刊誌やそのたぐいの本はたくさんあるが、おもしろおかしく書くばかりで、どこまで本当か信用できるものではない。それに、個人差もある。
 
 友人や職場の人たちと話をする場合も、性に関する話は「下品」とされ、常識ある紳士・淑女は「あたかも性欲なんて感じたこともない」というふうに会話をすることが求められる。かくして、性に関する知識は自ら体験し、一代限りの知恵として死蔵されたまま埋もれていく。
 ある時、大学を卒業したばかりの若い男性が、3人の中年の女性に向かっておそるおそる聞いた。「あのォー、女の人にも性欲はあるんですか?」

 突然の質問に、3人の女性はおもわず顔を見合わせて「ぷっ」と吹きだしたという。でもこれは案外、男の本音かもしれない。慎み深い女性しか見たことがなければ、そう思うのも無理はない。私自身、長い間前述の男性と同じような疑問を持っていた。男はセックスの代償として結婚するのであり、女は結婚をする代償としてセックスを許すものだと思っていた。謹厳実直な大学の先生などは、生涯にわたって産みたい子どもの数(=回数)しかセックスしないものだと真剣に思っていた(笑)。

 男にとっても女にとっても、性はいくつになっても秘密のベールで覆われている。男性にとって女性の身体はなかなか分からない。それは女性にとっても同じであろう。若い男の性が股間に「暴れ馬」を抱えているようなものだということを、はたしてどれだけの女性が理解しているであろうか。

 大岡越前守が老母に向かって「女の性欲はいつまで続くのか?」という質問をしたところ、母親はただ黙って火鉢の灰を箸でかき回し続けたところから、越前は「女の性欲は灰になるまで続くのだ!」と悟ったという有名な話がある。異性に対する興味はいくつになっても尽きないらしい。だから人生は楽しいのかもしれない。

 それにしても、女性はなぜ「かわいい」とか「すてきだよ」とか「愛している」とか、いくつになっても言ってもらいたがるのだろう。そんなもの照れくさくて面と向かって言えるか。