囲碁サロンで初級クラスを担当するようになって、教え方を学ぶために300本ほどVHSビデオを買った。その結果わかったのは、囲碁にも「基礎」があるということだ。当たり前と言えばそれまでなのだが、その当たり前のことが意外と知られていない気がする。
石倉昇9段のビデオには、囲碁を体系的に教えるにはどうしたらいいかが実に分かりやすく説かれている。初段になるには20ほどの定石を覚える必要があるという。「そうなのか」と目から鱗が落ちる思いがした。たとえば黒の6子局(中級レベル)で、白のカカリに対して黒が一間ではさんできた場合、白の打ち方は基本的にA~Dの4通り知っていれば十分だという(Eはウソ手)。
もちろん、これらの定石は知っている。しかし、このように体系づけて覚えていたわけではない。なるほど、こういうふうに教えるとわかりやすい。自分が打てることと人に教えることの間には天と地ほどの差があることを改めて知る。「まず大きなくくりで覚えるべし」。生徒にはいつも言っているのに、囲碁に関してはできていなかった。いい勉強になった。
初級(20級~6級)、中級(5級~3級)、上級、低段者、高段者(5段以上)・・・。定石にもレベルがある。初段レベルに必要な基礎とは何か。いい教材が日々蓄積されていく。