minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

愛人 その4

2005年03月21日 | 官能私小説「愛人」
 ラブホテルの1室に入ると、彼はわたしを抱き寄せキスをした。彼のキスは、舌を絡める濃厚なディープキスだ。口を抉じ開けられた上に、口唇も舌も思いっ切り吸われた。どんなことでも応じる覚悟はできていたつもりだったが、実際にこうして彼の好きなように扱われると、惨めさが先にたった。
 わたは、彼に何を期待していたのだろう。彼はわたしの恋人なんかではない。
 彼は、わたしの乳房を服の上から掴んだ。
 彼の行動は自信に満ち溢れていて、何の躊躇いも遠慮もなかった。
「むうぅぅぅぅ」
 塞がれた口から、自然に喘ぎ声が漏れてしまった。
 彼がわたしの股間に手を這わしてきたので、わたしは彼が自由に触れるように両足を開いた。
 自分から脚を開くなんて、気が変になったみたいだ。どうしてしまったのだろうか。
 わたしの勤めるお店のオーナーと懇意だということが、彼に気に入られなければいけないという無言のプレッシャーとなっていたのかもしれない。
 それに、卑しい考えではあるが、彼の資産力も魅力だった。彼に気に入って貰えれば、お金がたくさん貰える。そうのようなさもしい考えで、身体を開こうとしている自分が情けなかった。
 理屈では判っていたが、わたしの弱い意志では堕ちていく精神をもはや食い止めることはできそうになかった。
 それどころか欲望に昂ぶったわたしの身体は、厚いジーンズの布を通しての愛撫ではもどかしくて、腰を彼の身体にすりつけるような真似まで見せ始める始末だ。
 まるでさかりのついた猫だ。
 彼は唇を離して、わたしの耳元で囁いた。
「僕と会う時は、次から必ずミニスカートを穿いてきなさい」
 わたしは彼の意図することが判って、顔を真っ赤に染め、そして、深く頷いた。
 彼の手がわたしのスカートの中に入ってきて、わたしの脚や性器を自由に弄ぶ、その情景を想像しただけで、わたしは頭が痺れるほど興奮してしまった。
 彼はわたしのジーンズのジッパーを下げると、わたしにジーンズを脱ぐように命じた。
 わたしは震える手でジーンズのボタンとホックを外し、ジーンズを脱ぎ捨てた。
 すぐさま、彼の手がわたしの股間に差し込まれた。
「ああっ」
 下着の上から軽く触られただけなのに、わたしはびっくりするほど感じた。下着の上から触っただけで、わたしがどんな状態かは、彼に判ったはずだ。
「くくくっ」と彼は小さく笑った。
 彼に濡れているのを知られて、それで笑われたと思ったわたしは、死にたくなるほど恥ずかしくなった。でも、脚を閉じることは許されなかった。わたしが脚を閉じることができないように、彼は片足をわたしの脚の間に割り込ませたのだ。
 そして、とうとう彼は下着の中にまで手を入れてきた。
 こんなにはしたなく涎をたらしている性器を触られてしまうのは、いくら彼のものになると覚悟ができているといっても、恥ずかし過ぎる。
 わたしは身体を捩って逃れようとしたが、彼の思ったよりも逞しい腕ががっちりとわたしの腰に回され、身動きできなかった。
「あ、ああ・・・・・・。いや・・・・・・」
 彼の指が、わたしの性器に届いた。愛液をたっぷりと含んだわたしの秘裂からは、彼の指の動きにあわせて、ぴちゃぴちゃと柔肉を捏ねるような音がする。自然にわたしの腰は、ゆっくりとグラインドし始める。
 彼は、指の1本をわたしの中に挿入してきた。濡れて開いているわたしの秘裂は、なんなく彼の指を受け入れてしまった。それに気を良くした彼は、挿入する指を2本に増やして、わたしの秘裂を掻き回した。
 そんなことをされたら、わたし、イッテしまいそう・・・・・・。
 悔しいけれど、こんなに感じたのは、久しぶりだった。あまりにの快感に、腰から下が溶けてしまいそうだった。
「感じる・・・・・・」
 わたしは、一層強く彼にしがみつき、押し寄せる快感に身悶えした。
「うれしいね。僕のために、こんなに濡れてくれて」
 彼は、わたしの愛液で根元までびっしょりになった手を、わたしの目の前にかざした。
「お願い。苛めないで」
 恥ずかしくて、彼の顔をまともに見ることができなかった。
 全身が小刻みに震えだした。
 お金を貰ってセックスしようとしているにも拘らず、わたしの身体は尋常ではない反応を示し、深い快感を貪ろうとしている。
 この罪悪感。
 この堕落感。
 この背徳感。
 このまま彼に抱かれ、エクスタシーを感じてしまったら、もう二度と普通の生活には戻れないだろう。
 今までのきれいなわたしとは、永久にお別れすることになるのだ。そう思うと、身体の震えを抑えることができなかった。
 それは、わたしにとって、闇の世界へ踏み出す決定的な第1歩としての重大な意味があった。
 わたしは彼の唇にむしゃぶりつき、服の上から彼のペニスを掴んだ。
 どうせ初対面の時から、こういう関係だったのだ。今更、取り繕ったところで仕方がない。
 既に、彼のペニスは逞しく大きくなっていた。
 その逞しさが、わたしに踏ん切りをつけさせてくれた。
「早く抱いてください」
 わたしは自分自身に言い聞かせるつもりで、叫ぶように言った。
 わたしは彼から離れ、背を向けると、思い切ってショーツを脱ぎ捨てた。
 上はジャケットやタンクトップのシャツを着たままだったから、下半身だけ剥き出しになると、凄く卑猥だった。
 わたしは下半身を彼に見せつけるように向き直り、彼の顔を真っ向から見詰めた。
 わたしの決意を表したつもりだった。
 もう後戻りできない。
 わたしは、自分で退路を断ったのだ。
 彼はびっくりしたような顔をしている。
 わたしは、そのまま彼の横を通って、バスルームに入った。
 シャワーで過去のわたしを洗い流し、決別しようと思った。
 わたしがジャケットとシャツを脱いで、ブラジャーを外そうとしていたら、彼が全裸で入ってきた。
 わたしの胸は、張り裂けそうにどきどきしていた。
 どうしても、彼のそそり立ったペニスに目がいってしまう。
 わたしは欲情して、ぬるぬるの股間を思わず捩り合わせた。すり合わせた割れ目から、甘美な疼きがわたしの全身に毒のように広がっていった。
 わたしは、もう何が何だか、判らなくなっていた。
 彼は、わたしの身体を後ろから羽交い絞めにすると、ペニスをわたしのお尻に押し付けてきた。ペニスは、素敵に熱くて硬くて、まるで灼熱の棒みたいだった。
「ああ・・・・・・」
 思わず喘ぎ声が出てしまった。
 わたしの陰唇は、彼のものを受け入れるためにしどけなく開き、潤沢な愛液を吐き出し続けている。彼はわたしの尻を抱えると、わたしの陰唇に、勃起して反り返った男根を押し当てた。
「あああ・・・・・・」
 わたしの心は期待に震え、早く彼のものを受け入れたくて、お尻を彼の方へ突き出すように掲げた。
 ぬるっと、彼のペニスの先端が、わたしの秘唇を突き破って入ってきた。
「むううう・・・・・・」
 入り口が押し開かれる感触は、気が遠くなるほど気持ち良かった。
 そして、ずぶりっと彼のペニスが根元まで一気に挿入される。
 ううう、なんという大きさだろう。彼のものを受け入れさせられるのは昨晩に続いて2度目だが、昨日とは全く違うシチュエーションであることも影響しているのだろうか、今までに、わたしが経験したどの男のものよりも逞しくて立派に感じた。わたしは夢中で彼のものを食い絞めていた。
「おおおっ。素晴らしいしまり具合だ。それに、よく濡れている」
 彼は抽送しながら、わたしの耳元で感極まったように言った。
 わたしをセックスの道具としてしか見ていない様な彼の言葉は、わたしの心をひどく傷つけたが、その惨めさを受け入れることが、これからのわたしには必要なのだ。
 わたしは、セックスの道具。
 わたしは、男のおもちゃ。
 わたしは、わたしは・・・・・・。
 彼の抽送は激しさを増し、下半身から沸き起こる快感は、大きなうねりとなって、わたしの身体全体に広がっていった。
 その快感は、それまでわたしが得ていたものとは、明らかに次元の異なるものだった。わたしは、頭に血が上って、何も考えられなくなっていた。
 ひたすら、獣のように、よがり声をあげ続けていた。
 ふと顔を上げると、洗面台の大きな鏡に、尻を抱えられ、後ろから犯されているわたしの姿が映っている。
 鏡の中のわたしは、あまりにも卑猥だった。
 うしろから突き上げられ、がくがくと頭を上下させている。
 髪の毛を振り乱し、切羽詰って何かを訴えかけているような切ない表情をしているのだ。
 わたしがセックスしている最中の顔って、こんな顔していたんだ・・・。
 こんな恥ずかしい痴態を晒し、喘ぎ声をあげ続け、快感に身も心も焦がしているなんて・・・・・・。
 わたしは、呆然とよがり狂う自分の姿を眺めるほかなかった。
 たった1日で、会ったばかりの男に身体を開く女になってしまった。これが現実のことだとは、自分でも信じられなかった。
 数日前のわたしには、こんな壮絶な未来が待ち受けているなんてことは想像もできなかった。これが堕ちていくということなのだろうか。
 泣きたい位に惨めだった。なのに、その惨めさが、ぞくぞくするような快感に変化しつつあった。
 多分、それが、転落していくわたしに残された生きていくための最後の拠り所になるのだろう。
 彼はピッチをあげた。肉と肉が打ち合うパンパンパンッという音が、バスルームに響く。全身が「かあっ」と熱くなり、頭の中が一瞬で真っ白になった。胸がキュンとなったかと思うと、果てしない落下感と喪失感が同時に襲ってきた。鏡の中で、オルガスムスに全身をピンク色に染め上げたわたしは、かつて経験したことのないような凄まじいエクスタシーを感じていた。
 どうしてだか、涙が溢れて止まらなくなった。
 わたしは訳の判らない叫び声をあげながら、夥しい愛液を垂れ流し、まっさかさまに落ちて行った。

 イった瞬間は、ほとんど記憶がないのだ。
 彼が「おおおっ」と雄叫びを上げながら、わたしの中に大量の精液を注ぎ込んだ感触は覚えているけれど、ほとんど同時にわたしが絶頂を迎え、その場に崩れ落ちたのは覚えていない。
 我に返ると、ベッドの上で横たわり、震えていた。
 彼はわたしが倒れたために、わたしの中から抜けてしまったペニスを晒して、立ち尽くしていた。彼のペニスは、未だにびくびくと脈打っており、その先端からは精液の残滓がぽたぽたと垂れ落ちていた。
 彼が、床のうえに倒れているわたしを抱えあげ、ベッドまで運んでくれたのだ。
 彼は申し訳なさそうに、一方的に中出ししてしまったことを詫びてくれた。
 こんなに感じたのだから、別に謝って貰う必要はないけれど、もし妊娠していたらどうしようかと不安になった。
「妊娠していたら、生んでもいいよ」
と彼は言ってくれたが、結婚は考えていないとはっきりと宣言された。
 要は、わたしはセックス処理のためのお金でどうにでもなる女のひとりなのだ。
 最高に配慮して言葉を選んだとしても、せいぜい「愛人」がいいところだろう。
「僕はまだ独身だけれど、子供は欲しいンだ。しかし、結婚は別だ。君だって、そんなことで僕と結婚できるなんて思っていないだろう」
 その言葉に、ズキッと心が痛んだが、所詮、わたしはお金を貰ってベッドを共にする娼婦なのだ。仕方がなかった。今日は大丈夫な日だということを、指折り数えて確認して、ようやく人心地ついた。
 わたしって、何をやっているのだろう。
 中途半端だ。
 こうやって、身体を売ってお金を稼ぐのならば、自分で避妊しなければならない。自分の身体は自分で守るしかないのだ。
 疲れがどっとわいてきた。
「お願い。しばらく眠らせてください」
 わたしは、彼に言った。
 ベッドの端に腰掛けていた彼は、時計をちらっと見た後、ニヤリと笑みをうかべながら、
「ああ。minaの出勤時間までには、たっぷり時間がある。僕も今日は、1日空いているから、眠ってもいいよ。付き合おう。ただし、minaの眠っている間に、僕がminaの身体に何をしても知らないよ」
と言った。
 わたしは早く眠りたかったので、
「いいわ。どうぞ」
と答えた。
(続く)


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1 コメント

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ご報告 (mina)
2006-04-08 12:35:31
全面的に書き直しました。

ごめんなさい・・・・・・。
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