minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

最低な1日

2006年07月15日 | Weblog
今日は、朝からとても良い天気だったので、気分もすこぶる良い。
ベランダのお花に水をやりながら、朝食はスパゲッティを食べようとか、お昼は友人とランチしようとか、考えていた。

あっ、映画! 
突然、閃いた。
確か今日で上映が終わってしまう作品があったはず。
「着信アリ Final」
「海猿 Limit of Love」
どちらかは観に行かなくっちゃ。

インターネットで上映時間の確認。
うーん、こりゃ12時40分からの「着信あり」だなぁ。
「海猿」は3時からしかない。

スパゲッティを茹でながら、スケジュールをたてた。
11時からランチ。45分でランチ終了。
移動時間20分。
うんうん、楽勝。
映画館の喫茶店でコーヒーでも飲んで・・・。
それより、何を着て行こうかな。
女友達と会うだけだし・・・。
お気楽なジーンズとTシャツでいいか。

冷房の効いた部屋から出て、待ち合わせのお店のJ&Mに向おうと自転車のペダルを踏み込んだ途端に、じゅって汗が噴き出した。
「あつっ、暑い!」
カンカン照りの太陽。白い雲が映える潔い位に青い空。
わたしは、ジーンズを選んだことを、たちまち後悔していた。
わたしは素足にジーンズやパンツが貼り付くのを嫌って、夏場でもパンストを着用している。冬場はパンストの2枚穿きなんてことをするが、真夏の炎天下でジーンズにパンストは暑い。ペダルを漕ぐ度に、わき腹に汗が滴り落ちる。蒸れそう・・・。
「車にするんだった。でもなぁ・・・」
J&Mは商店街の中にある。駐車が面倒なのだ。

やっとの思いで、お店に辿り着いた。冷房が心地よい。すうーっと汗が引いていくのが判る。腕時計を見ると、ちょうど約束の11時だ。馴染みのマスターの奥さんは、おしぼりとお冷を2つ持ってきた。
「里美さんは、遅れてくるんでしょう?」
里美というのは、わたしの会社の同僚で、いつもここでランチをしているのだ。休暇中にも拘らず、わたしはいつものとおり、彼女とここでランチをすることにしたのだ。わたしにとって、J&Mでのランチはほとんど習慣になっているので、この儀式をいつもどおり執り行わないと調子が出ない。
ところが、待てど暮らせど里美が来ない。20分も遅刻してやって来た。
「もおう、どうしたのよっ」
「ごめん、ごめん。minaが休んでいる分、忙しいのよ。なかなか仕事の流れが切れなくて」
そんなふうに言われちゃ、仕方がない。
休んでいる間の職場の出来事とか、いろいろおしゃべりして、楽しくランチを過ごした。
「あーっ、もう行かなくっちゃ。じゃね、mina」
里美が立ち上がった。時計を見ると、12時!
わたしもぐずぐずしていると映画に遅れちゃう。

再び、炎天下へ。
やっぱり暑い。
着替えたい。
ふと、この間、バゲーンで買ったさらさらプリーツの白いスカートのことを思い出した。1万8千円もしたのだ。薄給のわたしとしては、かなり頑張った出費だ。それなのに、その翌日、会社に着て行こうとしたら、いきなりのショック。
少しくらいだったらいいのだけれど、光に透けちゃって、下半身のシルエットがモロ判りなのだ。目を凝らせば、ショーツの色やデザインまで見えてしまう。とても出勤着にするわけにはいかない。泣く泣く、クローゼットの奥深くに仕舞い込んだ。
「そうよ、あれよ、あれ。こんな時でもなきゃ、着るチャンスはないわ」
こんな暑い時こそ、ああいう感じが涼しげでいいわ。同僚に見られるのは、恥ずかしいけれど、そうじゃないなら、別にいいもの。
自宅まで10分。
着換えに5分。
映画館まで20分・・・いいえ、急げば15分。
開演まで40分・・・どうせ最初の10分は、予告編だから・・・十分に間に合う!

わたしは自転車を必死で漕いだ。
自宅に付いた頃には、汗びっしょり。シャワーを浴びたいくらい。でも、時間がない。
急いで、スカートに穿き替えた。
「ああ、せめて冷たいビールを一杯」
頭の中に、映画館の大スクリーンの前で、冷えたビールを飲みながら映画鑑賞しているわたしの姿が浮かんだ。
「いいなぁ、それ」
彼氏(いないけど)とのデートでは、とてもできないこと。会社の同僚とでも、そんなの無理ね。せいぜいコーラ。
次の瞬間には、バックの中に冷蔵庫から取り出した缶ビールを2本、放り込んでいた。

サァァーーーッと風が足元を吹き抜けていく。下半身が嘘のように軽い。
「ああ、気持ちいい。やっぱ、着替えて正解。でも、急がなくっちゃ」
わたしは懸命に自転車を走らせた。実は、車にしようかと随分悩んだのだけれど、飲酒運転になっちゃうしね。(自転車でもそうなんだけれどね、へへへ。)そんなことを心配しながらビールを飲んだのでは、ちっとも美味しくないだろうと思って、自転車にしたのだ。それと、適度に汗をかいた後の方が、ビールが美味しい。
こうなると、噴き出す汗も苦にならない。

映画館には上映5分前に着いた。
「よしっ」
気合を入れたわたしはチケットを買い求め、場内に入った。
既に照明が落ちていたので、内部の様子が判らず、しばらく立ったまま様子を伺う。
次第に目が慣れてくると、観客は私の含めたった3人であることが判明した。
最終日だと言うのに、わたしと若いカップル1組だけとは何とも寂しい。しかも、彼らは、わたしのことなんか気にもせずに、キスをしたり、何やらごそごそしている。正に、傍若無人いちゃいちゃし放題である。正しい映画鑑賞の態度とはとても言えない。
ああ、羨ましい・・・もとい、嘆かわしい。
いい若いモンが、こんなところで。
やるなら、ズバッとラブホに行きなさいよっ、ズバッと。
ま、周りに誰もいないから、貴方たちが何をしようと、わたしには関係ないけどね。
むしろこの鑑賞環境は、わたしには好都合だ。
わたしも好きにやらせてもらうわよ。
へへへ。
わたしは意気揚々とバックから缶ビールを取り出し、栓を開けた。
プシュワァァァァァァァ・・・・・・。
『きゃあぁぁぁぁぁ・・・・・・』
わたしは、声にならない悲鳴を上げた。
小学生でも知ってる「缶ビールは振っちゃダメよの法則」
わたしは忘れていた。
全力で自転車を疾走させたわたしは、それこそ縦横前後、あらゆる方向に缶ビールをシェイクしていた。後の祭りとはこのこと。
盛大に吹き上げたビールは、わたしの下ろしたての白いスカートを瞬く間に侵食し、びしょびしょにしてしまった。
暗いからダメージのほどはよく判らないが、お漏らししたみたいに、ショーツまでぐっしょり濡れてしまった。気持ちの悪いこと、この上ない。
わたしは慌てて、缶ビールを隣の席のカップホルダーに置くと、バックからハンカチを取り出した。びしょ濡れのスカートは、ぺったりと太腿に張り付いている。
わたしは前をハンカチで押さえ、へっぴり腰で席を立った。
トイレで何とかしよう。
通路へのドアを開けると、まばゆいばかりの光がわたしの全身を射った。
ひぇぇぇぇぇぇぇぇ。
再び、上げる声にならない悲鳴。
濡れそぼったスカートは、全くの透明と化し、太腿はおろかパンストの縦の縫い目を通してショーツまで丸見えなのだ。
バタンッ。
わたしはドアを閉め、後ずさりした。
どうしよう。早く拭くかどうかしないと、スカートは黄色い染みになってしまいそうだし、かと言って、こんな格好では、10メートルも先にある女子トイレまで辿り着けそうもない。

そうよ。
一計を案じたわたしは、スカートを15度くるりと回した。
これで一番ひどい部分は、身体の側面になった。
よしっ。
わたしは意を決して、通路に飛び出した。壁際に身体をへばりつかせ、足早にトイレに向った。
女子トイレに辿り着いた時は、安堵から、思わず涙がこぼれそうになった。
わたしはハンカチに水を含ませると、一生懸命にビールを拭き取った。その甲斐あって、ビール臭とか黄ばみは取れたような気がした。
でも・・・、でもでもでも。
ショーツとパンストが・・・・・・。
わたしは意を決して、個室に入ると、パンストとショーツを脱いだ。
スッポンポンになると、行くとこまで行ったなという感じで、かえって覚悟というか開き直りというか、妙にさばさばした心境になって、心が落ち着いてきた。
「ふんっ。それがどうしたというのよ。人間、生まれた時は、みんな裸よっ」
わたしは不敵にそう呟くと、手にビールでびしょびしょのショーツとパンストを携え、洗面台に向った。勿論、洗うためだ。
わたしは、ハンドソープを大量にショーツとパンストに塗すと、ごしごしと手洗いした。自宅で洗濯する時も、こんなに一心不乱になったことはない。
ぎゅ~っ。
全知全霊をかけて、洗い終わったショーツとパンストを両手で絞った。
広げて匂いを嗅ぐと、ソープの匂いだけで、ビールの匂いはしなかった。
よしっ。オッケー、オッケー。
でも、乾かさないと、特にショーツは穿けそうになかった。
「仕方ないわ」
わたしは、ショーツとパンストをバックに忍ばせると、席に戻った。
これから先のことは、いくら窮余の策と言っても、映画愛好家として許されることではないと思うが、正直に告白する。
観客がほとんどいないことをいいことに、あろうことか、わたしは、濡れているショーツとパンストを前席にかけて乾かしたのだ。
「多分、この映画が終わる頃には、乾いているはずよ(by mina)」
心胆を寒からしめるようなこの所業、恐らくそれは、この作品「着信ありファイナル」が怖かったからだろうと思うのだが、観ている間中、ホント、スースーして震えがきそうだった。
エンドロールが始まったので、わたしはショーツを手に取った。
駄目だ、まだ、全然乾いていない。
おっ、パンストは腰のゴムの部分が湿っぽいけれど、他は乾いているわ。
よーしっ。
わたしはスッポンポンよりもましだ、せめてパンストだけでもと思って、パンストを穿いた。スカートの方は濡れてはいるが、透き通ってはいない。
よし、よし、よーしっ。これなら、誰にも判らないって。
わたしは、ショーツをバックに仕舞うと、席を立った。
悲惨な缶ビール事件があったとは言え、鑑賞環境も良く、作品自体もまずまず楽しめた。
いいんじゃないの、これで。
パンフレットを記念に買って、わたしは映画館を後にした。
映画館の外は、依然として炎天下だった。じめっとしたわたしの下半身も、みるみるうちに乾いてくる。
minaの人生の中で、暑いのをこんなにうれしく感じたことはなかった。
わたしは気分良く自転車の跨ると、帰路についた。
フンフンフン♪
鼻歌まででる。

あれは、交差点で信号待ちして、青になったので、交差点を渡り、しばらく行ったところだった。
大型トラックが歩道を走るわたしの自転車を追い抜いていった。
ブワァァァァッと一陣の風が舞った。
スカートがっ。
そんなっ。
わたしの左手は、映画のパンフレットが入ったビニール袋を持っている。
右手はハンドルを握っている。
どうしようもなかった。
盛大に捲くれ上がったスカートの端が、わたしの頬をかすめた。
いやぁぁぁぁぁぁぁっ。

自転車を急停車させたわたしは、眼を瞑っていた。
そのままの状態で、手探りでスカートの裾を整えた。
目を開くのが怖かった。
心臓がばくばくしている。
恐る恐る目を開くと、若いカップルと40歳くらいのおばさんが、わたしの斜め前を歩いてくる。
カップルの女の子は、わたしから目を背けた。男の子は、わたしの顔を興味津々で見ている。
おばさんは、変なものを見るような顔をして、わたしをじろじろ見ている。
あああ、やっぱり見られちゃったんだ。
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
でも、わたしは何事もなかったかのようなふりをして、自転車をスタートさせた。
一刻も早く、その場を立ち去りたかった。

思うに、これは呪いに違いない。
あの映画を見た呪いだ。
恐るべし、「着信アリ Final

えっ?
映画のレビュー?
そんなもの、書けるわけがないでしょう。
全部、あの衝撃の出来事で、どっかに飛んでいってしまいましたっ。
どんな話だったかも、忘れてしまいましたっ。
みなさんも、こんな怖い経験をしたくなかったら、「着信アリ Final」なんか観に行かないことね。
えっ? もう公開終了したって?
そうでした。わたしが観に行ったのは、最終日。
じゃ、これは、最終日の呪いということかしら。
ま、それでも観たいというのなら、DVDで観ることね。
彼女と2人で自室で観るといいわ。
そしたら、彼女が下着を脱ぐかもなんて、つまらない期待はしないことね。
絶対に、ビールを彼女のスカートにこぼしたりしちゃ駄目よ、いいこと?
ふうううう。
minaの最低な1日でした。


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご愁傷様、、、 (猫姫少佐現品限り)
2006-07-16 01:24:18
コメ無し、、、
返信する
ヨーロッパ映画のようなエロス (東・国務長官現品限り)
2006-07-16 04:27:57
これは、ティント・ブラス監督の

イタリアン・エロス映画のような

ストーリーですね。

これは、素晴らしいネタです。

えー、いつか、このネタを僕の

脚本に書いていいでしょうか?
返信する
猫姫さまへ (mina)
2006-07-16 13:32:01
これくらいのことで、わたしはへこたれないわよっ。

ころんでもただでは起きないの。

なんちゃって、悲惨・・・。
返信する
東・国務長官現品限りさまへ (mina)
2006-07-16 13:35:03
脚本を書くならどうぞ。

でも、やってくれる女優さんがいるかしら?

悲惨な役よ、これって。
返信する
ちょっと興奮? (U太)
2006-07-16 13:36:53
minaさん、久しぶりに書き込みします。

笑っては失礼なんですが、とても面白く読ませていただきました。



下着を前の席にかけて干したって全然構いませんよ。

前に坐っていなければ。

でも、そんなお客さんがいたら、ドキドキして集中できなくなりそう。

そして、その時のminaさんの刺激的な姿を想像したら……いえ、そんなこと想像してはいけません。



とにもかくにも、大変な一日、お疲れ様でした。

ちなみに、ワタクシは映画館でビールは絶対に飲みません。

トイレが近くなるから……。
返信する
U太さんへ (mina)
2006-07-16 15:34:05
TB、コメントありがとうございます。

とほほの映画鑑賞でした。

映画館でビールは飲まないようにします。

返信する
Unknown (higashiman)
2006-07-17 06:07:07
ありがとうございます。



映画の中の「こねた」にいいです。



たとえば、ベティ・ブルーでも、

本筋と関係なく、こねたがあるような

かんじで。



あれでは、主人公のジャンユーグが

「おっとが相手してくれないの!」と

いう人妻におそいかかられたり・・

します。



ああいう、ヨーロッパ映画の

本筋と並行してある、こねた

が好きです。



ニューシネマパラダイスとか

だいすきです
返信する
higashimanさんへ (mina)
2006-07-17 17:02:51
なるほど。

おもしろそうですね。

いつかひがしさんの撮った作品を観てみたいです。

頑張って。
返信する
こんにちは。 (宋理亞)
2006-07-18 18:19:40
mina様、こんにちは。

お邪魔させていただいております。

宋理亞です。



うわわ……ご愁傷様です;

本当にこんなことがあるのですね……

呪いかもしれません……

制作記録ドキュメンタリーのような番組で、着信アリ一作目で、何か得体のしれない影が映っていた……というのを聞いたことを思い出しました……

しかし、イヤな呪いですね……



着信アリ ファイナルは面白そうだと思っていながらも、一人では怖くて見に行けませんでした……

CMにビビリまくりでは、本編は余計ダメでしょう……;

着信アリシリーズは、名作のようなので、DVDが出たら、一回くらいは見てみようかな、と思っております。

彼女と二人で~♪ は、無理ですが;(いないのです……;)



乱文失礼いたしました。

気温の高い日々が続いておりますね。

お身体ご自愛ください。



それでは、宋理亞でした。
返信する
ARIGATO! (HIGASHI-MAN PRESIDENT)
2006-07-18 18:56:15
応援ありがとうございます!



これからも、映画芸術のために

がんばってゆきます!
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