minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

リハビリ(その6)~低温火傷~

2014年07月01日 | リハビリ

去年の平成25年5月上旬は、例年になく急激に気温が下がり、

テレビのニュースでもそのことが話題になったほどで、

手足が凍えるように感じるのは、てっきり、そのせいだと思い込んでしまった。

特に、足首から先の凍え感は尋常ではなく、

冬から仕舞いそびれていたセラミックヒーター活用に思い至ることは、

至極当然の成り行きだった。

 

今、思えば、短絡的・刹那的であった。

凍え感は、頚髄損傷に起因する麻痺と感覚異常から発生しており、

気温の影響はあったとしても、ヒーターで温めて改善される症状ではなかった。

 

しかし、その時の私は、辛い凍え感から一刻も早く逃れようとして、

セラミックヒーターを足許に置き、ガンガンに熱した。

 

セラミックヒーターは、ご存じのとおり、火を使わないから、

安全でクリーンではあるけれど、

熱風の噴出し口は非常に高温になる。

そこに、感覚の麻痺した無防備の素足を投げ出したわけだ。

結果は、言わずもがなである。

 

ふと見ると、両足の甲は真っ赤に腫れあがり、

足首のつけねには水疱までできている。

そうであるにも拘わらず、痛くもなんともないのだ。

事態がここに至って、初めて、自らの身体のことを悟った。

凍え感は気温の寒暖ではなく、神経の異常によるものだったのだ。

 

とにかく、緊急処置をしなければならない。

風呂場に急ぎ、真っ赤になった両足の甲を冷水に漬けた。

水疱はすぐに破け、赤味もほどなく消えた。

身体が不自由でなければ、すぐにでも医者にかかったのだろうが、

痛みもなかったので、そのまま放置してしまった。

病院に週1回の間隔でリハビリに通うようになる、少し前のことだったので、

病院に行くこと自体が億劫だったこともある。

今でも不安なのは、足の甲の浮腫みが酷いことである。

ソックスを穿いても、足の甲がもっこりしているのが判るほどだ。

 

インターネットで検索すると、「低温火傷」の記事に辿り着いた。

「外見よりも内側に相当なダメージを受けていることが多く、

手術で壊死した部分を切除する必要がある」などとかなり物騒なことが書いてある。

それで、ずいぶん後になってからだけれど、主治医に診て貰ったら、

足の甲の浮腫みは「ふくらはぎ」の筋力が落ちて血流が弱くなっているからとのこと。

その時はそれで安心した。

 

けれども、今でも、足の甲はぱんぱんに浮腫んでいる。

以前は、足の甲には血管や骨が浮かんでいたのに、それらが全く見えない。

浮腫んでいるから、ソックスの網目や模様が型を押したようにくっきりと痕に残る。

そのことが、私をとても不安にさせた。

これが原因で動けなくなったら・・・とか心配しまう。

 

良い経験にはなった。

その冬は、それで用心して、長時間、同じ個所を温めないことにしたのだ。

また、セラミックヒーターの熱風に直接、身体が当たらないように注意した。

自分でこういうことに気付いて対処できるうちは、まだ大丈夫だろう。

 

そもそも外気が暑かろうと寒かろうと、

私の身体は、それを敏感に感じ取ってはくれない。

真冬に背中が燃えるように感じたり、

真夏に手足が凍えるように感じたり、

これらの感覚は、身体の外部の情報ではなく、

身体の内側で発した情報なのだ。

麻痺した指先はプラスチックに触れても、

その「つるん」とした触感を私に伝えてくれないし、

濡れたタオルを触っても、

その「潤」とした感覚を教えてはくれないのだ。

その代わりに、途中で切れた神経が発する、

言わば雑音の様な、

凍え感や疼痛、痺れを伝えてくる。

 

こういう症状の改善・緩和のために

主治医がいくつかの薬を処方してくれた。

最近になって、その効果が感じられるようになってきた。

 

塗り薬は3種類。

「ロキソニンゲル」

「ロキソニンゲル」は、入院中からずっと使い続けている。

看護士さんの言う「すーっ」とする冷却感は、まだ感じることができないでいるが、

痺れ・疼痛・凍え感が緩和される。

今年になって、「ロキソニンゲル」はよく効くけれども、手が不自由なため、

自力では塗り難いと主治医に訴えたら、

追加で「ナパゲルンローション」「スミルスチック」を処方してくれた。

「ナパゲルンローション」はスプレー容器に入れ替えて利用している。

スプレーなら、手が不自由でも、大抵の場所に塗布できる。

但し、消耗が激しく、ふんだんには使えない。

特に、背中が燃えるように熱く感じる時に重宝している。

 「スミルスチック」は、固形の「ピット糊」のような棒状の塗り薬で、

腿やふくらはぎ等の私でも手の届く塗り易い場所に塗るようにしている。

 

飲み薬は2種類。

「リリカカプセル」

「リリカカプセル」は、私の錯覚かもしれないけれども、

前述したように、途中で切れた神経が発する、

言わば「雑音」の様な凍え感や疼痛、痺れを改善・緩和してくれる。

朝・晩、欠かさず服用している。

もしも、飲み忘れたら、以前、ブログに書いたような酷い事態に陥る。

「芍薬甘草湯」は、筋肉痛を和らげてくれる。

飲むと速効性があるように感じる。

朝・昼・晩、欠かさず服用している。

 

そして、朝、目覚めた時の全身のストレッチ。

これらの総合効果で、ときたま「雑音」の中に混じって、何かしら聴こえ始めた

・・・様な気がする。

錯覚かもしれない、よくなることはないのかもしれない、

けれども、この僅かな光を希望にして、頑張るしかないのだ。


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1 コメント

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Unknown (katsu)
2014-07-02 07:53:45
minaさん、おはようございます。
やはり、健常者である私にはminaさんの大変さが分かりません。
読めば、分かったような気にはなりますが
そんな生易しいものではないのでしょう。
暑い暑いと
この夏の陽気を恨んでいますが
実は普通で当たり前のことで
この感覚が楽しめるならとても幸いなことなのですね。
冬の寒さもまた然り。
四季を堪能できる日本にいることはとても幸せなこと。
それにしても36℃を、
体温を超える気温ではまともに過ごせませんし、
とくに防寒もせず過ごせるのは16℃くらいでしょうか。
レンジ20℃くらいの環境でしか普通に暮らせない人間は
とても弱い生き物だと思います。
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