mimi-fuku通信

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『トスカニーニ・コレクション:RCA/BOX』:ようやく我家にやって来た!

2012-05-04 17:22:00 | クラシック・吹奏楽

何度も何度もmimi-fuku通信で紹介している、
トスカニーニのRCA/BOXコレクション。
2012年5月4日。
遅れ遅れて、
ようやく我が家にやって来た!

GW後半2日目の雨の休日は、
自宅でのんびり本でも読もうと決め込んで…。

昨日アマゾンからのメールで、
発送のお知らせはあったものの、
“到着は午後かな?”
と思いきや、
お昼少し前に我家に到着。

お昼ご飯をそそくさと済ませると、
早速に自室に入って開封の儀(笑)。

1万円を切るバリュー価格はどんな?の疑問も、
「何故是(これ)が1万円以下なの?」
の素朴な疑問は上記の写真を見ても納得と思う。

豪華BOXの中身は、
枚数に応じた紙ジャケ使用は予想したものの、
180ページ近い解説書には驚きを隠せない。
*解説書は英語・ドイツ語・フランス語で表記。

何枚か手持ちのCDとダブるものを聴いてみて、
記録された音の良さにも好感。
*60年以上前の録音であることを前提に。

長い年月の録音は音質に〝ばらつき〟はあるものの、
トスカニーニの凄さを如何なく示す名盤揃いに再び推奨。

また、
付属する1DVDは日本製のプレーヤーで再生可能。
英語の音声とドイツ語、フランス語の字幕が選択できる。

mimifukuには珍しく“amazonのレビュー”にも投稿(生涯2件目)。
それ程までに皆様に“お薦め”したい商品です。
*投稿内容(レビュー)は下記画像の上をクリックしてください。

Toscanini Collection
84CD&1DVD
← クリック。

限定を謳うBOXセットの販売がいつまで続くか定かでない。
限定販売は早い時間で店頭からなくなる可能性もありうる。
そのため、
各輸入販売店に在庫があるうちに迷ってる方は入手必至。

もしも、
現行価格の1万円以内で入手できる機会があれば、
総てのmimi-fuku
読者にもお勧め。
*amazon以外でもタワレコやHMVでも販売中。
近くに店舗がある場合は予約後の取り置きも可能。

クラシック音楽を学びたいと思う人なら、
誰が買っても損はないと感じる。

*****

【追記1:録音時代について】


只今BGMはベルディのレクイエム。
怒りの日の“強烈”も印象的だが声楽の充実も魅力的。
*1951年:カーネギーホールでのライブ録音。

昨晩は、
手元にあるトスカニーニの資料に目を通しながらCD鑑賞。
引退した年が1954年(昭和29年)で87歳。
*亡くなった年は1957年1月16日で89歳だった。
最後の録音(演奏会)は同年:4月4日で、
トスカニーニ唯一のステレオ録音となっている。
*今回のBOXには含まれていない。

トスカニーニのCDボックスを聴きながら気付く、
録音技術と時代の変化。
☆1949年(S24)に録音された『ローマの祭り』(CD32)
と、
☆1941年(S16)に録音された『ローマの祭り』(CD67)では、
同じモノラル録音でも“出てくる音”の感じがまるで違う。
*勿論現代のデジタル処理の在り方で音の変化は自在だし、
古くはLP時代からも疑似ステレオの処理技術があった。

今回の大きな発見は、
1920年(T9)~1954年(S29)の音の変化を断片的に聴いてみて、
モノラル録音でも耳に聴こえる“音の広がり”がまるで違うこと。
*私が視聴する環境(自室)は左右のスピーカーの距離は約2m50㎝。

1949年の『ローマの祭り』は左右上下に音の広がりがあるものの、
1941年の『ローマの祭り』は中央に音場が集中している。
*最新のリマスター盤でも左右に広がるモノラル録音(処理?)の場合には、
ヒスノイズ除去のためか上下の音がバッサリ抜け落ちることもある。

音の広がりについて、
ステレオ録音では更に顕著で、
1970年代のシンセサイザー音楽の全盛期では、
スピーカーのない空間からも音が聴こえ、
同じく70年代のプログレ・ロックの名盤では、
音が左右上下にを走り回ることも珍しくなかった。

トスカニーニのモノラル録音は1948年頃を境(さかい)に、
以後のNBC響との共演は音の膨らみを感じる録音も多く、
それがリマスター処理によるものなのか?
原盤の忠実な再現なのか?
の判明はできない。
*録音場所や環境でも大きな変化。

と同時に、
1941年の色彩感(音の情報)に欠けるフィラデルフィアとの『ローマの祭り』は、
当時の録音技術の不足による削り削られた音場空間の再現なのか?
あるいは、
新しい技術によってノイズ(原盤に含まれる雑音)の除去が原因なのか?
*因みに同じ時代にストコフスキー率いるフィラデルフィア管弦楽団では、
ディズニー映画:『ファンタジア』(1940年)で世界初のステレオ録音を行った。
また、
1937年(S12)公開の『オーケストラの少女』では見事な演奏を披露。
*参照→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20080411

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私の耳に聴こえる音は、
果たして本物なのか?
現代の模造品なのか?

1945年(終戦)以前のオーケストラの“本当の実力”を、
果たして録音技術はどこまで伝えることができるのか?
*想像力を働かし仮想の音場を脳裏に描くことも楽しい。

2つの『ローマの祭り』を比較して色々な空想が私の頭を巡る。
*BOXには比較できる同曲異録音も多数含まれる。

そんな疑問を持ちながら、
時代の変化を楽しむ事も鑑賞法のひとつだ。

【追記2:時代背景と技術革新】

手元にある『ファンタジア』のLDを取りだし解説書を再び読み直した。
関連項目として注目すべき点は1940年11月に公開された映画は、
少なくともアニメーション制作の2年前には音楽が収録されている事実。
*録音された演奏に合わせてアニメーションは作成された。
つまり、
1938年頃にRCAの実験室で行われた“世界最初のステレオ録音”は、
アニメーションのための音楽であった。
*音声記録は明瞭も不自然な音の広がりは映画戦略(驚きの演出)と見るべき。
技法として映画フィルムの光学録音が適用された9チャンネルのステレオ録音で、
アメリカ初公開の時は映写機9台を同時に動かしシンクロ再生された。

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ストコフスキーほどに評価の分かれる指揮者もいない。
またトスカニーニが最も意識(否定・嫌悪)した指揮者が、
ストコフスキーであったことも疑う余地はないようだ。

ディズニー映画:『ファンタジア』の解説書には、
*LPモノラルレコードの実用化が1954年(S29)。
*LPステレオレコードの実用化が1959年(S34)。
*CDの実用化が1982年(S57)。
と記されており、
トスカニーニの生きた時代はSPレコード(78回転)の時代。

また映画では、
1929年(S4)公開の『ジャズ・シンガー』が史上初のトーキー映画。
*名作『雨に唄えば』で象徴的に描かれる無声⇔音声の時代変化。

トスカニーニが生きたアメリカでのテレビ放送開始は1941年であり、
折しも第二次世界大戦への関心から急速に各家庭に普及したと言われる。
*日本での放送開始は1953年(S28)NHKによって行われた。
TVの普及に寄与したのは皇太子殿下の結婚式であったと伝え聞く。


またアメリカにおけるラジオの派生は、
*1926年(昭和元年)のNBC放送の開局。
*1927年(昭和2年)のCBC放送の開局。
*1943年(昭和18年)にはABC放送が開局。
と、
放送事業の拡大がキーポイントになっている。

トスカニーニが辣腕をふるったNBC交響楽団は、
ラジオ放送番組を目的として編成され、
1938年頃(71歳頃)から1954年(87歳)まで在籍。
*戦後になってNBCのテレビ放送開局で放送画像も残された。

そうした時代の事実(技術革新の発達・普及)や、
混沌に陥る1930~40年代の時代背景(大戦)を辿り、
“音の軌跡を紐解く”
ことも音楽鑑賞の意識を高める上で重要で、
今回廉価で発売された、
トスカニーニ・コレクションの意義は極めて大きい。

心地の良い音(癒し)だけを追求するのでなく、
時代背景が要求する表現と再生(録音)技術。
時には耳に痛い音に接することも肝要だろう。

私は“そんな聴き方”も推奨する。

<ブログ内:関連記事>


*全集について→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20120123

*発売について http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20120416 

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