映画『ミリオンダラー・ベイビー』
放送局:NHK-BS2
放送日:2010年5月12日(水)
放送時間 :午後9時~午後11時15分(135分)
番組HP: http://www.nhk.or.jp/bs/genre/movie.html
<mimifukuから一言。>
クリント・イーストウッドが監督・主演しアカデミー作品賞を受賞した、
映画:『ミリオンダラー・ベイビー』がNHK-BSで放送される。
アカデミー作品賞を受賞した輝かしい映画群の中でも異色の問題作と言える、
『ミリオンダラー・ベイビー』を最初に観た時(DVD)のインパクトと苛立ちは、
今でも忘れられない記憶として残っている。
アカデミーの最高権威である“作品賞”は過去にも
『失われた週末』、『紳士協定』、『カッコーの巣の上で』等、
頭を抱えたくなるような重苦しい作品を時代の潮流として選出した経緯もあるが、
そうした問題作の選出は(逆に)アカデミー賞の良心とも言えるのだろう。
先般紹介した文藝春秋の記事、
<宇多田ヒカル×ダニエル・キイスの対談>
の文中:ダニエルさんが、
実は『アルジャーノンに花束を』を書いたとき5つの出版社から拒否されたんだ。
彼らはストーリーの変更を要求した。
~ストーリー:知能の低い主人公のチャーリイが手術によって天才となる。
同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンが驚異的な知能を得たのちに、
急速に知能を失うのを見て自分の行く末を知る。
みんなが変えたがったので戦わなければならなかった。
最初に読んだ編集者は、
「これは素晴らしい物語だよ。
もっと素晴らしくする方法を教えてあげよう。」
と言った。
「チャーリイは知能を失わずにアリス・キニアンと結婚して、
永遠に幸せに暮らせばいい。」
ってね。
編集者は人の作品を変えさせたがるのさ。
と語っている。
→ http://www.bunshun.co.jp/bikkuri85/rank01_02.htm
この映画は2つのストーリーで成り立っており、
1つ目のストーリーは鑑賞者をドキドキ・ワクワクの世界へと煽り、
2つ目のストーリーは鑑賞者に不安と希望を抱かせながらも、
決して鑑賞者の期待する結末にストーリーを導いてはいない。
医療の進歩はもう1つのラスト・ストーリーを容易く用意できるはずなのに、
作品は現実直視を鑑賞者に促している。
~もう1つのラストが実現すればビジネス面で大きな成功を得ただろう。
と同時に鑑賞者を落胆させる“もう1つのストーリー”こそが、
作品の品位を高めアカデミーの受賞理由になっていると考えられる。
近年の話題で
ALS=筋萎縮性側索硬化症(全身の筋肉が徐々に硬化する難病)患者である、
照川貞喜さんの“希望死”を伝えるニュースを耳にした。
希望死の問題は今後の世界(先進国)の潮流になることは確実で、
この場(映画紹介の記事内)で私の意見を述べるような軽々しい問題ではない。
ただし、
“生きる”ことと“生かされること”は、
全く違う性質を持っていると私は考えている。
強制的に生かされること(=生かされ続けること)の苦痛。
個々がイメージする“生きることの意味”の違い。
“死は人間が求める最後の自由(=尊厳)となるのか?”
キリスト教国家であるアメリカでこの映画は制作され、
キリスト教国家であるアメリカで最高の映画賞を受賞した。
是非鑑賞すべき映画作品である。
~以下NHKホーム・ページ記事転載。
衛星映画劇場「ミリオンダラー・ベイビー」 <字幕スーパー>
不器用なあまり家族にも教え子にも去られた、
ボクシング・ジムの名トレーナー:フランキーの元に、
今の生活から抜け出すためプロを目指す女性マギーが訪ねてくる。
最初は拒絶したものの彼女の熱意に負け指導を始めたフランキー。
彼の信頼を得て順調に勝ち続けたマギーは、
100万ドルの賞金がかかったビック・マッチに挑むのだが…。
アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞に輝いた、
ヒューマン・ドラマの傑作。
【監督】
:クリント・イーストウッド
【出演】
:クリント・イーストウッド
:ヒラリー・スワンク
:モーガン・フリーマン
他
【製作】
:クリント・イーストウッド
:アルバート・S・ラディ
:トム・ローゼンバーグ
:ポール・ハギス
【原作】
:F・X・トゥール
【脚本】
:ポール・ハギス
【撮影】
:トム・スターン
【音楽】
:クリント・イーストウッド
【原題】
:MILLION DOLLAR BABY
~2004年:アメリカ/マルパソ・プロ制作~
<番組関連映画:放送ラインナップ>
*生誕80年クリント・イーストウッドの軌跡。
以下NHK-BS2で放送。
10日(月) 午後9:00~10:57 「ペイルライダー」(1985年・アメリカ)
11日(火) 午前0:45~3:21 「荒鷲の要塞」(1968年・アメリカ/イギリス)
11日(火) 午後9:00~11:08 「トゥルー・クライム」(1999年・アメリカ)
12日(水) 午前0:55~3:37 「バード」(1988年・アメリカ)
12日(水) 午後9:00~11:14 「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ)
17日(月) 午後9:00~11:12 「許されざる者」(1992年・アメリカ)
18日(火) 午後9:00~11:13 「父親たちの星条旗」(2006年・アメリカ)
19日(水) 午後9:00~11:22 「硫黄島からの手紙」(2006年・アメリカ)
24日(月) 午後1:00~2:41 「荒野の用心棒」(1964年・イタリア/西ドイツ/スペイン)
25日(火) 午後1:00~3:12 「夕陽のガンマン」(1965年・イタリア)
26日(水) 午後1:00~4:00 「続 夕陽のガンマン 地獄の決斗」(1966年・イタリア)
27日(木) 午後1:00~3:17 「アウトロー」(1976年・アメリカ)
28日(金) 午後1:00~2:32 「クリント・イーストウッドの真実」(2010年・アメリカ)
~以下NHK-BShiで放送。
24日(月) 午後10:00~午前0:04「ダーティハリー2」(1973年・アメリカ)
25日(火) 午後10:00~11:38 「ダーティハリー3」(1976年・アメリカ)
26日(水) 午後10:00~11:58 「ダーティハリー4」(1983年・アメリカ)
27日(木) 午後10:00~11:32 「ダーティハリー5」(1988年・アメリカ)