mimi-fuku通信

このブログを通して読み手の皆様のmimiにfukuが届けられることを願っています。

NHK-BS:『ソウル・ディープ(黒人流行歌の歴史)』全6回/再放送

2010-05-01 00:00:00 | Pop&Jazz


 BS世界のドキュメンタリー
 
シリーズ『ソウル・ディープ』(全6回)
  ~黒人による大衆音楽の変換と歴史~

 *第1回:ソウル・ミュージックの誕生
 ~2010年5月3日(月)深夜0時~0時50分

 *第2回:ゴスペルからソウルへ
 ~2010年5月4日(火)深夜0時~0時50分

 *第3回:モータウン・サウンド
 
~2010年5月5日(水)深夜0時~0時50分

 *第4回:サザン・ソウル
 
~2010年5月6日(木)深夜0時~0時50分

 *第5回:ファンク革命
 ~2010年5月7日(金)深夜0時~0時50分

 *第6回:ヒップホップ時代のソウル
 
~2010年5月8日(土)深夜0時~0時50分
 
 注:野球放送等により放送開始時間が変更の可能性があります。
    
 <mimifukuから一言。>

 今年(2010年)の1月初旬にNHK-BS1で放送された『ソウル・ディープ』。
 タイトルだけ読むと韓国のソウルか音楽のソウルか魂を意味するソウルか?
 テレビ番組表だけ確認して見逃した人も多いと思います。
 
 番組は2003年(2005年?)にイギリスのBBCが制作した音楽番組。
 BBCの制作では同じくNHK-BS1で放送された、
 『みんなロックで大人になった』が大きな話題を呼びました。
 ロックのルーツは黒人音楽(リズム&ブルース等)が大きな影響を与えています。
 ソウルもまた黒人が創り出した音楽(ゴスペルやブルース)の発展的形態。

 1960年代。
 キング牧師を指導者に据え高まる公民権運動。
 ソウル・ミュージックは重苦しいブルース様式よりも比較的ダンサブルで軽快。
 ベリー・ゴディが引入たモータウン・サウンドは白人にも受け入れられることで、
 黒人による黒人達の音楽は大衆性を持ち市民権を獲得していきます。
 ~ダイアナ・ロスもスティービーもマイケルもモータウンから始まった。
 
 第1回レイ・チャールズに焦点を当て、
 リズム&ブルース黎明期(1940年代)を紹介。
 番組冒頭でMCのピーター・バカランさんが、
 「あの頃の黒人が成功を手にする方法は音楽とスポーツしかなかった。」
 と語っていますが大衆性を手に入れることが成功への近道だったようです。

 第2回サム・クックがスターに駆け上る物語。
 ただし、
 “差別社会の中で成功したいと願う黒人社会”がある一方で、
 “大衆迎合を嫌う黒人社会=白人に媚を売る姿勢の除去”も存在。
 不幸な結末をむかえます。
 
 第3回モータウンの創業者:ベリー・ゴーディ氏の物語。
 戦争後帰兵してデトロイトの自動車工場に就職。
 退屈な毎日に飽き飽きして作曲の道を進むも、
 利益配分が少ないことに疑問を覚え起業。
 当初ジャズ等に目を向けるが大衆が望む音楽は単純性。
 ~この単純性(明快で親しみやすい)が最も重要なキーワードとなります。
 ゴスペルやブルースに甘美なアレンジを加え大衆音楽としてのソウルを発展。
 スモーキー・ロビンソンダイアナ・ロスなど大物歌手の、
 貴重な当時の映像が多彩に紹介されます。
 
ベリー・ゴーディ氏と言えば故・マイケル・ジャクソンさんの追悼式に出席し、
 「彼はキング・オブ・ポップではない。
  彼こそキング・オブ・エンターティナーだ。」
 と回想したことは強く記憶に残ります。

 第4回はサザン・ソウル特集。
 故:忌野清志郎さんが愛してやまなかったオーティス・レディングや、
 クィーン・オブ・ソウル:アレサ・フランクリンの映像を放送。
 キング牧師やマルコムXの時代。
 黒人達が差別に反発して立ち上がり解放を求めた時代。
 感情むき出しに歌うオーティス・レディングの勇士は目に焼きつきます。
 ~モータウンとは違った音楽による主張はその後の方向性を変える影響力。

 第5回ジェームス・ブラウンに多くの時間が割かれます。
 刺激的なリズムを強調したジェームス・ブラウンのファンク。
 黒人のために戦うJ.Bの音楽表現が黒人達に指示される理由が理解できます。
 さらに、
 ブラック・ミュージック界で最大のヒーロー:ステーヴィー・ワンダー
 ~あまりの成功ゆえの反発も多いと感じますが…。
 ブラック・ミュージックの戦士達の物語は、
 オバマ大統領の勝利演説に通じる映像の記録です。

 第6回はなんと言ってもメアリー・J・ブライジ
 レーガン政権下の貧富の格差の時代にメアリーは少女時代を過ごしました。
 スプリングスティーンが恵まれた環境の中でアメリカを憂えた1980年代。
 格差社会に反発する黒人層に芽生えた抵抗する意識。
 J.Bの強烈なリズムに触発されるようにヒップ・ホップ・サウンドが誕生します。
 メアリーの物語はあまりに黒人的で成功に群がる同胞の思惑と薬物使用の苦悩。
 
『ノー・モア・ドラマ』によりメアリーは悪循環との決別を宣言。
 ヒップ・ホップ・ヒロインの物語は心に響きます。
 さらにニュー・ヒロイン:ビヨンセも登場。
 若い世代にも必見です。

 番組ではマイケル・ジャクソン、プリンス、ホイットニー・ヒューストン等、
 日本人にも御馴染のブラック・ミュージックのスター達に光をあてません。
 ソウルと言う形態(カテゴリー)の難しさはノートリアスBIGや2パック等の、
 ラップスター達(ギャングスタを含め)をも除外します。

 公民権運動と黒人音楽の関係。
 黒人の意識の高揚と黒人音楽の歴史。
 白人に迎合したとされる黒人アーティストの悲喜交々。
 黒人社会の複雑さをも学習する番組の制作は名門:BBC。

 BBCの視点はキレイ事では済まされないソウル・ミュージックの歴史を、
 『みんなロックで大人になった』同様に真正面から取り組んでいます。
 “お涙頂戴のストーリー傾向”に流されがちな日本の番組制作サイドにも、
 この番組(ドキュメンタリー)の視点が生かされることを願いながら、
 『ソウル・ディープ』の番組紹介を終わります。


 ~以下NHKホームページより記事転載。

 <ソウル・ディープ(6回シリーズ)>
 
~ The Story of Black Popular Music

 ブラックミュージックの変遷と発展を様々なミュージシャンの、
 貴重なインタビューと楽曲でたどるシリーズ“ソウル・ディープ”。
 第1回は、レイ・チャールズを中心にソウル・ミュージックの先駆者を紹介。
 ソウルの基礎を作ったR&Bの誕生の背景に迫る。

 *第1回:ソウル・ミュージックの誕生

 1940年代。
 黒人ポピュラー音楽はレイス・ミュージック(人種音楽)に代わり、
 リズム&ブルース(R&B)と呼ばれるようになる。
 R&Bはやがてルース・ブラウンやジョー・ターナーの活躍によって、
 黒人社会で確固たる地位を築いていく。
 そのR&Bをゴスペルと融合させ、
 “ソウル・ミュージック”という新たなジャンルを生み出した1人が、
 レイ・チャールズだった。
 幼い頃に視力を失ったレイは盲学校でピアノを学び才能を開花。
 卒業し大手レコード会社と契約したあとは、
 その深みのある響く声で白人の若者たちの心をつかんでいった。
 しかし1950年代。
 黒人たちは依然として人種差別と闘っていた。
 そしてソウルはその経験を表現する音楽となっていく。

 *第2回:ゴスペルからソウルへ

 1940年代後半~50年代。
 ゴスペルは黄金期を迎え女性ゴスペル歌手や男性カルテットによる、
 旅回りの興行が各地で盛んに行われた。
 なかでも、
 ザ・ソウル・スターラーズのリード・ボーカルとなったサム・クックは、
 その甘いマスクと美しい歌声で絶大な人気を誇るようになる。
 牧師の家に生まれたクックは、
 ミュージシャンだけでなくビジネスマンとしての才覚も備えていた。
 巡業に不満を感じるようになったクックは、
 やがてタブーとされていたポピュラー音楽への転向を決意。
 音楽を通してソウルとポップス、
 そして人種間の垣根を取り除こうと精力的に活動する。
 しかし絶頂期にあった1964年。
 サム・クックは何者かによって殺害されてしまう。

 *第3回:モータウン・サウンド

 1960年代。
 アメリカ北部にある自動車産業の都市デトロイトで、
 モータウン・レコードは生まれた。
 創立者のベリー・ゴーディーはレコードの配給ルートを確立する一方で、
 優れた作詞家や作曲家を起用して黒人だけでなく白人にも受け入れられる、
 “若いアメリカの音楽”を追求。
 ザ・スプリームスやザ・テンプテーションズなど才能あるミュージシャンを発掘して、
 モータウン・サウンドを広めていった。
 しかし60年代後半。
 公民権運動の高まりによってデトロイト暴動が起きると、
 明るいモータウン・サウンドは次第にかげりを見せるようになる。

 *第4回:サザン・ソウル

 1960年代。
 アメリカ南部のメンフィスでモータウンと並んで、
 影響力をもっていたレコード会社がスタックスだった。
 黒人、白人を問わずどんなミュージシャンも受け入れたスタックスは、
 差別意識の強い南部におけるいわば避難所だった。
 オーティス・レディングは、
 彼らが作り出すサザン・ソウルの代表的なミュージシャンとして知られる。
 公民権運動が激化するなか、
 オーティスは愛や恋について歌い白人を含む幅広い層から支持されていく。
 しかし、
 名曲「ドック・オブ・ザ・ベイ」を録音した数日後に飛行機事故で帰らぬ人となる。

 *第5回:ファンク革命

 1960年代後半。
 ジェームズ・ブラウンはファンクの帝王として不動の地位を築いていた。
 自らを“ショービジネス界一番の働き者”と表現し、
 その歌やダンスで多くの人々を魅了していった。
 キング牧師の暗殺後に政治的な役割を求められるようになると、
 音楽を通して黒人としての誇りを持つよう呼びかけ、
 黒人たちの気持ちを奮い立たせていった。
 1970年代。
 ファンクはロックの要素が入った聴きやすい音楽や、
 より複雑なPファンクなどに発展していく。
 ジェームズ・ブラウンらが起こしたファンク革命は、
 1980年代以降もヒップ・ホップなど多くの音楽に引き継がれていった。

 *第6回:ヒップホップ時代のソウル

 アメリカで公民権運動が一段落した1980年代。
 ソウル・ミュージックはホイットニー・ヒューストンに代表される、
 大衆受けのする優しい音楽へと変化していった。
 一方ニューヨークのスラム街ではヒップ・ホップと呼ばれる新しいソウルが誕生。
 その中心にいたのが“メアリー・J・ブライジ”だった。
 悲しく苦しいアメリカの現実を表現するメアリーの音楽は、
 ソウルの復活を期待させた。
 そしてメアリーの後を追って、
 デスティニー・チャイルドらR&Bの新世代が誕生していく。

 原題: SOUL DEEP   FROM GHETTO TO FABULOUS
 制作: BBC (イギリス 2003年)

 

コメント (3)
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