TRY230ダイナ…
クラッチの不調で入庫。
確認すると現車はクラッチ接続時にジャダーが発生しており、非常に不快な振動が…
滑ってるような感じはありませんが、ジャダーの原因として考えられるのはクラッチディスクの摩耗や変形、ダイヤフラムのヘタリやスプリングの欠損…プレッシャープレートやフライホイールの歪みにアタリ不良、パイロットベアリング、レリーズベアリングの損傷などなど…
その他マイナーではありますがインプットシャフトが原因なんて事も…
どちらにしても外からでは何ともならない事ばかりなので、そんな時は潔くミッション降ろすに越した事ありません…
なのでリフレッシュも含めクラッチのO/Hを…

現車はダブルキャブなんですが、後部座席の足元にでっかいサービスホールがあるのでシングルキャブより断然作業性は良いです…


ミッション降ろして…

原因を探りつつ作業も進めていきます。
部品は注文済み…

クラッチディスクを外すと…
偏摩耗してます。

この減り方もジャダーによるものでしょう。

フライホイール側の当たり面も点検…

パイロットベアリングはゴリゴリしており…
錆びも出てます…

クランクシールは漏れてませんでしたが、今後の事も考え交換です…


パイロットベアリングは問答無用で交換。

新品のシールとパイロットベアリングを打ち込み。

フライホイールが歪んでないか?…の確認も

新品のクラッチカバーを仮合わせしてノックピンの位置が問題なく取り付けれるか確認。

今回は滑って走行不能になった訳じゃ無いのであまり心配はしてませんでしたが、クラッチが滑った車両なんかはフライホイールにも相当な熱がかかるんです…
その為、フライホイールが歪んでノックピンの位置がズレて新品のクラッチカバーが付かない…なんて事も。
で、フライホイールを取り付けて仮締め…
このエンジンのフライホイールの取り付けボルトは塑性域締め付けとなっております。
整備書にはボルトにアドヘシブ1324を塗布…と書いてありますがウチはロックタイト243を使ってます…
27Nmで締め付けた後…
フライホイールに適当な回り止めをして…

90°の角度で増し締めします…


更にクラッチディスクをセットして…

カバーを規定トルクで取り付け。


後はミッション側の作業を…

ウチではこの手のタイプはフォークやピボットも交換しちゃいます。
で、コレもスプライン部とスラスト部ではグリスの種類が異なるので…
用途に合わせたグリスを…


レリーズベアリングも組み付けてこちらも完成…

それとミッションを降ろす時に発見したレリーズシリンダーのブーツ破れもリペアキットで対応します…





ミッションをドッキングしてクラッチオイルのエア抜きを行い完成…

無事にジャダーは無くなりましたが…
明確な原因は分かりませんでした…
クラッチディスクもそれなりに摩耗してたし複合的な要因かもしれません…
後は分解整備記録簿を書いて納車です…
それから先日の出来事…
と言うより単なる自分の勉強不足の話ですが…
車検で入庫したレンジャーなんですが、フロントガラス下面に何かのカメラが取り付けられていたんです…

モービルアイ…
ご存知の方もおられると思いますが…
コレはいわゆる後付けの運転支援装置らしく取り付けられたカメラで前方の交通状況や自車の運転状況を認識して運転手に注意喚起を行う…といった物。
私はこのモービルアイの事を知らなかったんですが…
車検の受入検査をしてる時に、フロントガラスの下面への貼付物は禁止でしょ⁉︎…コレは外さないとダメだよなぁ…なんて思いながら…
その後お客様に電話で『このフロントガラスに取り付けられたカメラは外さないといけないんですよねぇ…』と話したんです。
するとお客様からは『イヤイヤ、それは取り付ける時に問題無いって聞いてるぞ⁉︎』と言われ…
『え?…マジっすか⁉︎』…と言う事で調べてみると…
確かにこのモービルアイは国土交通大臣の指定を受けており…
つまり、国の許可を得ている…という事で、色々と制限はあるもののフロントガラス下面への貼付は合法なようで…
よくみるとカメラ本体に許可証ステッカーまで貼ってありました。
なるほど…
これは…
完全な…
勉強不足ですな…
しかも指定を受けたのは2年前…(-_-)
今更ながら勉強になりました。
検査員や主任者講習で説明あったっけ…⁉︎
覚えてないとなると寝てたかな…笑
イヤ、本当に気をつけなければ。
保安基準に関してお客様の方が詳しいなんて整備業としては恥ずかしい限りです…
最近で言えばタイヤのはみ出し基準やマフラー出口の角度が改正されましたが…
主に外車に対する対応だと思うけど…
これもちゃんと勉強して理解しておかないとなぁ…