Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

ウィルソン考ーキャスト・アウェイ

2014年05月28日 09時26分34秒 | 映画


この人の名はウィルソン。

録画してあった映画
「キャスト・アウェイ」* を見る。

飛行機事故に遭った男(トム・ハンクス)が
無人島に流れ着き
4年間そこで生活をして無事生還するという話。

4年の間に、国ではもちろん死んだことになっており
死体のないまま葬式も済み
恋人は結婚、出産していた…

が、そんなことは全くどうでもよくて
この映画の一番の見所は
無人島で、どう生き抜くかというところ。

島に一人しかいない、ので
まず台詞が極端に少ない。
ほとんど、無声映画というか
トム・ハンクスがジェスチャーで見せてきます。
波の音と、作業の音ばかり。

何の作業かというと
まず、あたりを散策し、食べ物と住居を探す。
食べるために、石を割ってナイフを作る。
そのナイフを利用して狩猟をし
そして火をおこすが…

うまく火がつかなくて、
手に怪我をおい、癇癪をおこす。
一緒に流れ着いたバレーボールに八つ当たりをしたところ
ボールに血の手形がついて
何故かそこに
丁寧に、丁寧に顔を描いてしまう。ウィルソン誕生。

というか、目鼻口を描いただけなんですけどね

もちろん、子供向けファンタジーではないから
ボールが話し出したりはしません。

で、ウィルソンがそばにあるというだけで
ウィルソンを見つめ(ウィルソンも見ている)
ウィルソンに話しかけ(ウィルソンも返事をしている)
住居である洞穴の壁に手形をばんばんつけて、ウィルソンの顔を描きまくります。

ボールが唯一の他者になり、
友人、神、自分を映す鏡にもなる。
それは生きていなくてもいいらしい
顔がそばにあるだけで、人は孤独から逃れることができるのか

人間が初めて洞窟に絵を描いた、
その動機はわからないけど
この映画を観ていると
何もないところから、生きること
そのプロセスを再体験することが出来る気がします。

4年後のウィルソン。

髪の毛?がはえています(笑)

トム・ハンクスはほとんど原始人みたいになっていて
台詞も爆発的に増えて
というか、全て独り言なんですけどね
ウィルソンと普通に喧嘩をしたり、仲直りしたり
脱出計画を相談したりします。

映画が描きたかったことは
もっと違うとこにあると思う。
人生について教えるところも多いのでしょうけど

私にとっては
ウィルソンとトム・ハンクスとの関係が
一番の見所でした。

当たり前のことですが
人間が複雑な精神を持った動物だってことが
実感できます。

是非観て下さい。

*キャスト・アウェイ(cast away 2000)

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id162818/




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